ヒョウ柄人気が復活の兆し?着こなすための3つのポイントとは
Fashion 2024.01.17
セレブリティの間でトレンドとして復活の兆しを見せているヒョウ柄だが、着こなしが意外と難しかったりする。ネコのようにしなやかに着こなすコツをご紹介。
クラシックにもアヴァンギャルドにも着こなせるヒョウ柄は時代を超えて愛される。(ミラノ、2023年2月26日)photography: Beescoop / Beescoop/ABACA
TikTokで#leopardprintというハッシュタグを含む動画の再生回数はなんと10億回以上にも達する。2023年にトレンドインしたヒョウ柄は、時代を超えたアイテムとして、これからも愛されるだろう。そんなヒョウ柄にはファンもアンチもいる。意見が真っ二つに分かれるのは万能であるが故。ある人にとってはパワフルな女らしさ、自信たっぷりの魅力、権威に抗う存在の具現化であり、ある人にとっては下品で知性に欠ける尻軽女の代名詞だ。
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ヒョウ柄の歴史を簡単におさらい
ファッションにヒョウ柄という言葉が登場したのは1940年代のことだ。それまでヒョウといえば文字通り、動物の皮でしかなかった。当時の毛皮は大金持ちだけが手にすることのできるエキゾチックな憧れの対象だったのだ。ところが1947年2月、クリスチャン・ディオールというデザイナーは初コレクションで大胆にもヒョウ柄の服を登場させた。その後、多くのデザイナーがこれに続き、ヒョウ柄は女性にとってなじみ深い存在となった。
ランウェイから飛び出したヒョウ柄は、華やかなセレブたちが纏うコートとなった。1970年代から1980年代にかけては反体制派の象徴にもなり、以後、時代を超えて人々に愛されてきた。今日、セレブも王族もヒョウ柄を愛用し、キム・カーダシアンから故エリザベス女王まで、誰もが愛用する。さあ、あなたはこの柄をどう着こなす?
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クラシックに着こなす
サンローラン2016年春夏コレクションでのカトリーヌ・ドヌーヴとピエール・ベルジェ。(パリ、2015年10月5日)photography: Bertrand Rindoff Petroff / Getty Images
気品あふれるエレガントな佇まいで名高い女性のなかには、ヒョウ柄をこよなく愛した人もいる。カトリーヌ・ドヌーヴは1960年代以降、ヒョウ柄が定番アイテムとなった。ミモレ丈のヒョウ柄コートにクロコダイルのバッグを合わせるのが彼女のスタイル。ジャッキー・ケネディもヒョウ柄コートを愛用し、こちらは黒のタートルネックと合わせていた。オードリー・ヘプバーンはベレー帽に、エヴァ・ガードナーは超ミニ丈のビュスティエスドレスで、ソフィア・ローレンは毛皮のチャプカハット、エリザベス・テイラーは首や頭に巻くスカーフにこの柄を使用していた。王族も負けてない。グレース・ケリーは毛皮のコートに大ぶりのサングラスを合わせ、エリザベス女王は黒いアンクルブーツを合わせ、ダイアナ妃はヒョウ柄のビキニを着こなした。
彼女たちのようにこの柄をエレガントに着こなすには、コートやスーツ、ベレー帽といったメインのアイテムのどれかをヒョウ柄にし、上品な小物とコーディネートするのがコツだ。ヒョウ柄の持つアイコニックな側面を活かした着こなしと言えよう。
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流行りのスタイルで着こなす
規律に縛られない自由な存在であるケイト・モスのグランジスタイルは、反抗的なファッションのお手本。(ミラノ、2015年9月23日)photography: Beescoop / Beescoop/ABACA
クラシックな着こなしの真逆のスタイルでもヒョウ柄は活躍する。ここでのヒョウ柄は大胆で気まぐれ、上品さもシックさも不要だ。反抗のシンフォニーを奏でる不遜で自由な女性たちの名は、まずもちろんケイト・モス、そしてアレクサ・チャン、インフルエンサーのカミーユ・シャリエール、クロエ・セヴィニー、オルセン姉妹らだ。彼女たちにイメージを近づけたいのなら、スリムジーンズ、グラフィックTシャツ、パーカー、スタッズブーツ、ボルサリーノハットにヒョウ柄を合わせよう。ポイントは、違った世界観を持つアイテムとミックスすることだ。
彼女たちの美学が「インディー・スリーズ(Indie Sleaze)」スタイルとしてヒョウ柄と共に2024年のトレンドに復活した。半ばロックで、半ばボヘミアンな快楽主義的なスタイルは、2010年代にインスパイアされている。やんちゃなヒョウ柄を飼いならすのは、デザイナーにとって魅力的なエクササイズなのだ。
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尖ったスタイルに着こなす
サンローランのヒョウ柄は着る人をネコのような存在に変身させ、身体に官能的な動きを与える。photography: Saint Laurent on Imaxtree
クリスチャン・ディオールのニュールック・コレクション以来、デザイナーたちはこぞってヒョウ柄を使うようになった。フランスのブランドはエレガンスと洗練の代名詞として、イタリアのブランドは裕福さや贅沢の代名詞として。2023-24年秋冬コレクションでヒョウ柄は偏在していた。サンローランでは、官能的な動きを身体に与える存在として、ディオールでは、ふかふかのセーターとして。さらにジャンポール・ゴルチエ、ジョルジオ アルマーニ、フェラガモではフェイクファーを彩り、セリーヌ、ブルーマーブル、ジュリー・ドゥ・リブラン、MSGMではウェストシェイプジャケット、ガンニではパンツとなり、アンダーカバーではニットの中にさりげなく潜んでいた。メンズコレクションにも登場し、ディオールのジャケットやサンローランのアンドロジナスな毛皮に見られた。服や小物に発揮されたワイルドな創造性は、若い世代にも伝播していくだろう。
インスタグラムやTikTokで絶大な人気を誇るアニマル柄。身につける場合、控えめにというのが鉄則だ。「ヒョウ柄はニュートラル(カラー)」というのは、J.CREW(ジェイクルー)の元クリエイティブ・ディレクター、ジェナ・ライオンズの名言。数百万回も引用されてきたこのフレーズのもとに、ネットユーザーは自撮り動画を次々と生み出している。このフレーズの意味するところは、ヒョウ柄が黒や白、グレーと同様、万能で何にでも合わせられるものであるということ。だからベージュや黒としか合わないと思う必要はない。ビビッドカラーや他の柄とも相性がいい。
これまで見てきたようにヒョウ柄は奇抜でも派手でもない。だが使用上の注意ポイントは多少ある。フランス人ブロガーのクレール・マルネットは、ぴったりしたデザインよりもオーバーサイズのデザインを選ぶことを勧める。コートやセーター、パンツは大きめ、むしろ、ぶかぶかなくらいがいい。スパンデックスやレーヨン、ポリウレタンといった素材よりもウールやコットンの自然素材の方が相性がいい。また全身ヒョウ柄で固めるのは素朴すぎる。これらの点だけ気をつければ、あとはなんでもありだ。メインアイテムでも小物使いでも、ヒョウ柄は軽々と時代やスタイルを超越する。
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【画像】ヒョウ柄の着こなし
ジャケットとミニスカートのセットアップ、セリーヌ2024年春夏コレクション。(パリ、2023年10月20日)
photography: Céline on Imaxtree
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たっぷりしたフェイクファーコート、フェラガモ2023年秋冬コレクション。(ミラノ、2023年2月26日)
photography: Ferragamo on Imaxtree
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毛皮のコートの下のロングドレス、カヴァリ2023年秋冬コレクション。(ミラノ、2023年2月23日)
photography: Cavalli on Imaxtree
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ベルト付きトレンチコート、サンローラン2024年春夏コレクション。(ベルリン、2023年6月13日)
photography: Saint Laurent on Imaxtree
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コートのディテール、N°21の2023年秋冬コレクション。(ミラノ、2023年2月23日)
photography: N°21 on Imaxtree
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しなやかなスカートやウールのセーター、ディオール2023年秋冬コレクション。(パリ、2023年2月28日)
photography: Dior on Imaxtree
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ポインテッドトゥパンプス、レジーナ ピョウ2024年春夏展示会。(ロンドン、2023年11月30日)
photography: Rejina Pyo on Imaxtree
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ショートジャケット、ロンドン・ファッションウィーク2023年春夏コレクションのゲスト・ストリートスタイル。(ロンドン、2022年9月)
photography: Imaxtree
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光沢のあるロングドレス、サンローラン2023年春夏コレクション。(パリ、2023年9月27日)
photography: Saint Laurent on Imaxtree
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オーバーサイズのコート、ニナ リッチ2023年秋冬コレクション。(パリ、2023年3月3日)
photography: Nina Ricci on Imaxtree
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ラペルカラーのショートコート- ロンドン・ファッションウィーク2023年秋冬コレクションのゲスト・ストリートスタイル。(ロンドン、2023年2月)
photography: Imaxtree
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超ビッグなマフラー、パリ・ファッションウィーク2023年秋冬コレクションのゲスト・ストリートスタイル。(パリ、2023年1月)
photography: Imaxtree
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同系色のカーディガン、アンダーカバーの2023年秋冬コレクション。(パリ、2023年3月1日)
photography: Undercover on Imaxtree
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ハンドバッグ、ニューヨーク・ファッションウィーク2023年春夏コレクションでのゲスト・ストリートスタイル。(ニューヨーク、2022年9月)
photography: Imaxtree
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ワイドパンツ、ガニーの2024年春夏コレクション。(コペンハーゲン、2023年8月11日)
photography: Ganni on Imaxtree
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たっぷりしたパンツにロングブーツ、 2023年春夏コペンハーゲン・ファッションウィークのゲスト・ストリートスタイル。(コペンハーゲン、2023年2月)
photography: Imaxtree
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ロングコート、コーチ2024年クルーズコレクション。(ロンドン、2023年6月7日)
photography: Coach on Imaxtree
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バギーパンツ、エリー・ロブ。(マンチェスター、2023年12月30日)
Instagram/@ellieerob
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アンコン(芯なし)ジャケット、ブルーマーブル2024年春夏コレクション。(パリ、2023年6月22日)
photography: Bluemarble on Imaxtree
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ドレスの下のパンツ、パリ・ファッションウィーク2024年春夏コレクションのゲスト・ストリートスタイル。(パリ、2023年9月)
photography: Imaxtree
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アディダス×ウェールズ・ボナーのスニーカー、コレット・アンド・リリのインスタグラムより。(2023年11月25日)
Instagram/@coletteandlili
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暖かいウールのコート、ロンドン・ファッションウィーク春夏コレクションのゲスト・ストリートスタイル。(ロンドン、2022年9月)
photography: Imaxtree
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ショートジャケット、ジュリー ドゥ リブラン2022年秋冬コレクション。(パリ、2023年7月8日)
photography: Julie De Libran on Imaxtree
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パンプス、n°21の2023年秋冬コレクション。(ミラノ、2023年2月23日)
photography: N°21 on Imaxtree
text: Sarah Renard (madame.lefigaro.fr)