ディオールのメンズコレクション、2024-25は「ヌレエフ」。

Fashion 2024.01.27

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1月19日、エコール・ミリテールを会場に発表された2024〜25年ディオール メンズ コレクションより。ターバンやヘアバンドをつけたヘアもルドルフ・ヌレエフらしさを醸し出していた。

1月19日、パリでキム・ジョーンズによるディオールの2024-25秋冬メンズ コレクションが発表された。ショーの開催に先立ってDIORのインスタグラムで流されたのは、パリ・オペラ座のエトワールであるマルク・モロー、ユーゴ・マルシャン、ジェルマン・ルーヴェの3名がそれぞれルドルフ・ヌレエフを讃える映像だった。

開催前から期待が高まるこのコレクションについて、キム・ジョーンズはこう語っている。「今回、バレエダンサーのマーゴ・フォンテインとムッシュ ディオールとの関係について考えてみたのです。 そしてこの点をメンズの解釈に落とし込むにあたっては、フォンテインのもっとも有名なダンスパートナーとして知られたルドルフ・ヌレエフのことも考えてみました。ヌレエフは私の叔父であるフォトグファーのコリン・ジョーンズの関係で私のパーソナルヒストリーとも密接に絡み合っています。元々バレエダンサーだった叔父 は、このスターと親交があり、彼の写真も撮っていました」。ちなみにコリン・ジョーンズ(1936〜2021年)は英国ロイヤル・バレエ・スクールでダンスを学び、その後プロとして踊ったのち、20代半ばに写真家に転向。ダンス界との絆は深く、1966年にタイム・ライフ紙からの依頼で彼は当時世界の男性トップダンサーであったヌレエフの1日を撮影している。

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今回、コレクションのテーマはコントラスト。それはメゾンにおけるプレタポルテとオートクチュールのコントラストであり、また舞台と舞台裏のコントラストである。ヌレエフのダンサーとしての人生、実生活との違いだ。ディオールのアーカイブとダンサーとしての彼のスタイルが出合いを果たし、初のメンズクチュールが発表されることになった。ヌレエフが生きたふたつの人生を探ると、そこには緻密さ、卓越性、気楽さ、規律正しさが見いだせる。これらが今回プレタポルテとクチュールの共通の核となっている。

靴やターバン、意表を突く色合わせ......ヌレエフらしさがちりばめられたコレクション。ダンスシューズをイメージしたレザーシューズ、メリージェーンスニーカーを履いて会場を歩くモデルたちにはダンサーのアリュールが漂っていた。

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上段がオートクチュール、下段がプレタポルテ。photo:Adrien Dirand

そのプレタとクチュールのコントラストを見事に仕上げたのがフィナーレだ。円形会場の中央で回転するサークルにクチュールピースを纏った20名のモデルが並び、次いでその周囲を残りのモデルたちが囲み、そして中央のサークルは回転を続けながら上昇し......音楽は最初から最後まで、マックス・リヒターがこのショーのために編曲したセルゲイ・プロコフィエフの『ロミオとジュリエット』中の「騎士たちの踊り」。1965年にロイヤル・バレエ団のためにケネス・マクミランがこの作品を振り付けた際、ジュリエットの創作ダンサーはコリン・ジョーンズの妻リン・シーモアだったという。初日こそヌレエフとマーゴが踊ったが、その後の公演をリンはヌレエフ、そして創作パートナーだったクリストファー・ゲイブルと踊った。1984年、ヌレエフはこの作品をパリ・オペラ座バレエ団のために1984年に創作し直している。『ロミオとジュリエット』は叔父とヌレエフが結び付くバレエなのだ。

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2024-25秋冬プレタポルテコレクションより。

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メゾンのアーカイブはキム・ジョーンズにとって素晴らしいインスピレーション源。今回、イヴ・サンローランのテーラリングがボリューム感、ベント、プリーツ、ネックラインなどに重点が置かれメンズに昇華された。ヌレエフのスタイルと日々稽古に励むダンサーたちのスタイルが融合し、ジップ付きのウールのジャンプスーツやショートパンツ、リブネットなどに見られる。

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メンズクチュールコレクションより。

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photos:(左)Sasha Maro、(右)Pierre Mouton

自由を愛し、豪奢を好み、ナイトライフに勤しんだヌレエフ。クチュールにはそんな彼のステージの華やかさ、エレガンス、傲慢さ、そして個人的にアンティークテキスタイルのコレクターだった面が反映されている。左のシルバーの打掛は、ヌレエフが着用していたものをベースに引箔の技術を用い、日本で10名の職人が3カ月かけて完成させた。またクチュールにはアーカイブに着想を得た刺繍も多く登場。マーゴ・フォンテインも着用した、1950年代のディオールのドレス「ドビュッシー」もメンズウエアとしてこのクチュールコレクションのために再解釈された。

昨年は1993年1月6日に亡くなったルドルフ・ヌレエフの没後30年。キム・ジョーンズは叔父のコリン・ジョーンズとヌレエフに、このコレクションで素晴らしいオマージュを捧げたのだ。4月5日までオペラ・ガルニエ内のビブリオテック-ミューゼで『オペラ座のヌレエフ』展が開催されている。このコレクションでヌレエフのダンサーとしての仕事をもっと知りたいと思ったのなら、覗いてみるといいだろう。

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来場した豪華ゲストたち。

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ジェルマン・ルーヴェ(パリ・オペラ座バレエ団エトワール)

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ユーゴ・マルシャン(パリ・オペラ座バレエ団エトワール)

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横浜流星

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北村匠海

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HAERIN(NewJeans)

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TOMORROW X TOGETHERのメンバー

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Karry Wang Junkai|王俊凱(TFBOYS)

editing: Mariko Omura

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