「マフィアの妻」ファッション、海外セレブに大流行の理由は?

Fashion 2024.02.12

Netflixでドラマシリーズ『グリセルダ』が始まった。1970年代から1980年代にかけて麻薬取引に暗躍したコロンビア出身の「コカインの女王」を取りあげたシリーズだ。おりしもSNSでは新しいトレンドが生まれつつある。おしゃれで趣味の良い「クリーンガール」から、ギャングスターの妻、すなわち極妻へ。ジャラジャラのジュエリーにヒョウ柄、フェイクファーを纏い、ヘアもゴージャスなMob Wifeトレンドに注目しよう。

言うなれば『グッドフェローズ』のロレイン・ブラッコのようなスタイルに、キム・カーダシアンのシルエットと、ツンとすましたメラニア・トランプを足したような感じだろうか。"mob wife"とか"mafiosa"と呼ばれる女性は自分の姓的魅力を存分に駆使してのしあがり、ブランドサングラスや派手なアクセサリーでそれをひけらかす。ゴールドのチェーンを光らせながら誰よりも素敵に毛皮を着こなし、革のヒールブーツでさっそうと歩く。派手なメイクは思いっきりセクシーだ。ハッシュタグ#MobWifeAestheticsは10日も経たないうちにビュー回数が5000万回を突破した。しかし、2024年に入ってからなぜ"極妻"がSNSで注目されているのだろうか。

大胆にしてタフ、冒険家精神に富んで自由な女性

AFP通信が報じているように、少し前からデュア・リパ、シェイ、ヘイリー・ビーバー、ケンダル・ジェンナーら多くのセレブがこのスタイルを採用している。「Mob Wifeとは大胆にしてタフ、冒険家精神に富んで自由な女性のこと」と言うのはニュージャージー出身の29歳のアメリカ系イタリア人、サラ・ジョーダン・アーキュリ(インスタグラムのフォロワー数12万人)だ。Mob Wifeトレンドの仕掛け人でもある。確かにこのスタイルを採用しているセレブたちには共通点がある。成功した男性が人に自慢するために結婚する"トロフィーワイフ"とは違い、男などいなくても高価なバッグやジュエリーを自分で手に入れて見せびらかすことができる女性たちなのだ。このトレンドにはマフィア映画の大御所、フランシス・フォード・コッポラも注目している。「マフィアの女の美学がカムバックしているらしい」とマフィアのカルト映画『ゴッドファーザー』三部作の監督はインスグラムに投稿した。

TikTokの女性インフルエンサーたちに"極妻"スタイルは大人気だ。ただし2024年バージョンとしては当然ながら毛皮はフェイクファーとなる。さらにヒョウ柄、 ガーターフリーストッキング、ゴールドのジュエリーの重ねづけ、そして腰に巻く派手なチェーンベルトでフルセットだ。メイクに関しては、TikTokで1530万人のフォロワーを持つミケイラ・ノゲイラが「スモーキーアイ」を勧める。目を黒く縁取り、たっぷりのつけまつげ、そして口元は「真紅のリップ」をどうぞ。ヘアスタイルは1980年代風の超ボリューミーなブロースタイルが合う。

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自信

2023年にはどのインフルエンサーも上品でミニマリストな「クリーンガール」ルック、クワイエット・ラグジュアリーに走った。だが流れが変わったのだろうか。イギリスのジャーノ・リサーチ社のトレンド専門家によれば「"mobwife "のGoogle検索は過去90日間で2.122%増加し、TikTokではハッシュタグ#mobwifeが1億6,090万ビューを、#mobwifeaestheticは1億3,060万ビューを獲得した」そうだ。

もちろん、このトレンドはポップカルチャー、とりわけこうした女性キャラクターを生み出したマフィア映画の存在なくして成り立たない。ただキレイなだけではなく、カリスマ性があり、なぜか犬を連れていることが多い女性キャラクターと言えば映画『スカーフェイス』(1983年)でミシェル・ファイファーが見事に演じたエルヴィラ・ハンコック、コッポラ監督の映画『ゴッドファーザー』のコニー、今から25年前に放送を開始した大ヒットドラマシリーズ「ザ・ソプラノズ」のカーメラ、あるいはより最近のドラマシリーズだと「ピーキー・ブラインダーズ」のポリー・グレーなどがいる。今年に入り、1970~1980年代のマイアミを舞台にコロンビアの「コカインの女王」を描いたドラマシリーズ『グリセルダ』がNetflixで配信開始され、このトレンドを後押ししている。

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photography: Getty Images

文化的流用

一方、このトレンドはイタリア系アメリカマフィアの "文化的流用 "ではないかと批判する声もある。これに対し、インフルエンサーのサラ・ジョーダン・アーキュリはこう反論している。「Mob Wifeはお金持ちになるための、あるいはパートナーを探すための哲学ではないし、人生哲学でもない。これは単に気分良く自信をつけ、自己解放するための手段。イタリア系アメリカ女性の専売特許ではもちろんなく、やってみたい女性全てのものよ」

text : Léa Mabilon avec AFP (madame.lefigaro.fr)

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