Made in Prada Impossible Embroideries フリンジと刺繍に宿る、プラダの美しき手仕事。
Fashion 2024.02.22
プラダ 2024年春夏コレクションでは、フリンジと刺繍だけで作られたアイテムが大きな話題となった。高度なテクニックが駆使された手仕事の裏側を、madameFIGARO.jpがエクスクルーシブで紹介する。
「手法やテクニック、価値など『仕事』に焦点を当てたいと思ったのです」とミウッチャ・プラダが語り、「クラフツマンシップ、つまりこれらの服に込められた複雑な仕事について語ろうと考えました」とラフ・シモンズが述べたように、本コレクションは手仕事とテクニックに捧げられたもの。そのクリエイションの舞台裏を、エクスクルーシブで公開。
特殊な糸を使用したフリンジスカートには、3種類の大きさのアイレットが全体に75個施されているが、その技巧の複雑さは何千本もの糸が緩んで絶えず動いている構造に表れていて、全工程に3~5日もかかることから、高度なテクニックが必要とされるのがわかる。
刺繍職人はまず、糸を表面に広げてブラシでとかし、均一でコンパクトな外観にする。
スタッディングの最終工程では、刺繍職人が特殊な小型ミシンを使用し、ひとつひとつ手作業でアイレットをつける。
最後につけるブランドのタグも職人が手縫いする。
至近距離で見ると、精巧なテクニックがよくわかる。
---fadeinpager---
花モチーフが刺繍されたフリンジドレスは、まさに職人技と技術力の賜物。工程では、流動性のあるフリンジをコットンガーゼを敷いた枠の上に置き、すべての糸が平らでよく伸びるようにブラシでとかし、ガーゼの上に固定する。前後のネックラインのアウトラインに沿って縫ってから、手縫いでデザインをトレースし、刺繍の裏地を作る。クリスタル ラインストーンのチェーン、メタルチェーン、ベゼルラインストーンなどを花のかたちにするために、ひと針ずつ取り付けていく。刺繍ができたら枠は解体され、刺繍のステッチがほつれないように縦糸も横糸も1本1本丁寧にガーゼが引き抜かれ、その後24時間置かれてから完成に至るのだ。
丁寧に整えたフリンジの上に、刺繍するモチーフの型紙を置く。
それぞれの花の刺繍には、1.6mのクリスタル・マイクロラインストーンのチェーン、少し大きめのラインストーンが付いた2mのクリスタル・ラインストーンのチェーン、1.9mのメタル・フラット・メッシュ、12セットのローズモンテ・クリスタルラインストーン、カボションストーンのように素材に取り付けられたドーム型のメタルカップ8個を使用。もちろんすべて職人の手で取り付けられている。
刺繍職人の手は柔らかく、しなやかなカーブを描く。ステッチはきつすぎず、緩すぎないという絶妙な加減により、フリンジはよれることがなく平らなまま。
それぞれのドレスには16の花の刺繍が施されていて、ひとつの花を刺繍するのに熟練の職人であっても約9~10時間を要する。
AIが進化し、人間のあらゆる仕事が機械に置き換えられていく時代にあっても、卓越したテクニックが求められ、かつ人の感性に訴えかける美しいクリエイションは、プラダのようなハイブランドの手仕事だけが到達できる領域。
「具体性、身体性、現実性に立ち返ること。私たちは自分たちの仕事を最大限に全うし、美しいものを、今日のために作ろうと考えました。ありきたりな言葉に聞こえるかもしれませんが、それは真実なのです」とミウッチャ・プラダ。そんな彼女のメッセージが感じられる、本コレクションのフリンジアイテムのクリエイションの魅力が凝縮されたショート動画もぜひチェックして!
プラダ クライアントサービス
0120-45-1913(フリーダイヤル)
Courtesy of Prada text: Natsuko Kadokura