三吉彩花も出席! デムナの革新的なモードが光るバレンシアガのクチュール世界。
Fashion 2024.07.09
年に一度、夏のパリ・オートクチュール週間で発表される、バレンシアガのクチュール コレクション。世界のモードファンとセレブリティが注目するショーに出席するため、日本から三吉彩花が駆けつけた。三吉彩花のGETTING READYの様子をフィガロジャポンのウェブサイト独占でお届け。
6月26日。正午に開始されるバレンシアガ53rdクチュールコレクションのショーを控えて、ヘア、メークを整える三吉彩花。
最新のバレンシアガのドレスに身を包んで、いよいよ、ショーへ出発。
ショーに出席するルックはボディにフィットしたレザーのロングドレス。
「全身レザーのオールブラックなんですが、とても軽やかで、シェープが綺麗なので、存在感を出してくれます。バッグもピンヒールのバッグです」
会場前にはセレブリティを待ち受けるファンが人垣を作っている。アシュリー・グラハム、イザベル・ユペール、ジュヨン、ケイティ・ペリー、ミッシェル・ヨー、ナオミ・ワッツ......。国際的なセレブリティが到着するたびに、周囲から次々に大きな歓声があがる。華麗な招待客に混じって、三吉彩花もジョルジュサンク通り10番地に降り立った。
そこは1937年に創業者クリストバル・バレンシアガがメゾンをおいた歴史的アドレス。セカンドフロアにあるショー会場は、クリストバルの時代のままに修復された真っ白なクチュールサロンだ。壁に沿って一列だけ並べられたチェア、ほんの一握りのゲストだけを迎えて親密な雰囲気で行われるショーのあり方にも、創業者へのリスペクトが感じられる。
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モードの実験室の名にふさわしいクチュールコレクション
2021年に始まり、年1度だけ発表されるデムナのクチュールは、伝統のオートクチュールの技法だけでなく、常に独自の技術や革新的な新素材を追求するユニークなスタンス。オートクチュールはしばしばモードの実験室と形容されるが、まさにその言葉通りの革新性に満ちたコレクションだ。
今回のクチュールコレクションは、ストリートウェアやサブカルチャーに根ざすデムナ自身の個人的なスタイルと、クリストバル・バレンシアガが築いたメゾンのシグネチャーの橋渡し。創業者の最後の20年間のコレクションから、7分丈袖、コクーンシェイプ、ヘッドウェア、生地の革新という4つの恒久的な要素を選び、自身の美学に適用したという。
©Balenciaga
シルクスキューバサテンでライニングしたスウェット製のフーディとハイブリッドパンツ。手には、オートクチュールのショー伝統のルック番号の札を想起させる番号がハンドペイントされたウォレット。
©Balenciaga
ヴィンテージのポロシャツをアップサイクル。蝶のマスクは総手刺繍。
©Balenciaga
油絵の手法でハンドペイントされたフーディ。
デニムやTシャツのようなカジュアル素材にシルクスキューバサテンのライニングで張りを与え、特別な素材に昇華する。インスピレーション源は、スープ缶という日常のアイテムを芸術に変えてしまったアンディ・ウォーホルのエスプリだ。これらの素材は腰にトップスの袖を結んだようなパンツや、左身頃を体に巻きつけたようなジャケットになって、コクーンシルエットを描く。
革新的な素材の追求はコレクションの随所に見られた。真っ白なトレーンを引くドレスは、ビニール袋を溶解して繋いだアップサイクル素材。クチュールのアトリエに眠っていたデッドストックのファセットカットビーズを総刺繍でちりばめたストレッチニットのロングドレスは刺繍だけで8週間を要した作品だ。油絵の手法でゴシック風の肖像画が描かれたTシャツ。複数のガーメントが融合され、縫い合わせられたドレス。シルエットを完成させる大きな帽子は、樹脂で固めて成形したTシャツ素材で覆われている。
©Balenciaga
デッドストックのビーズを刺繍したドレス。
©Balenciaga
ビニール袋をアップサイクルしたドレス。
©Balenciaga
一枚の仔牛革をドレープで造形し、巨大なピンで留めたドレス。
フィナーレのドレスは、クリストバルが考案したガザール素材を再解釈したナイロン素材によるもの。47メートルもの布地をモデルのボディの上でドレープを施し、ステープルを打ちながら直接造形されたドレスは、美しいけれど儚い、たった一度しか着用できない作品だ。
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ショーを終えて
ショーを終えた三吉彩花は、感想をこう語ってくれた。
「はじめてクチュールコレクションに参加し、とても感動しました。クリストバル・バレンシアガへのリスペクト、そしてデムナが築き上げるクリエイティブの数々は、胸が高鳴るものばかりでした」。
最後に、三吉彩花が感激したルックを3点ご紹介。
©Balenciaga
「ヘッドピースの大胆なTシャツ使いも面白いですし、ボリューム感やボトムのディテールなど細かな部分のこだわりを感じました」
©Balenciaga
「どこかで着用してみたいドレスです。ベルドを巻きつけ垂らすようにしているデザインはとても目を惹きますし、遊び心満載でとても素敵でした」
©Balenciaga
「直接からだに布を巻きつけデザインを作っていく、まさに一度しか着用出来ない貴重なピースとなっており、見る私たちも同じ形は2度と見ることのできないドレスで感激しました」
photography:Tiziano.raw, text:Masae Takata(Paris Office)