ニナ リッチの若きクリエイティブディレクター、ハリス・リードにインタビュー。

Fashion 2024.07.19

1932年にパリで創業したラグジュアリーブランド、ニナ リッチ。2022年に26歳でクリエイティブディレクターに就任したハリス・リードが、ポップアップイベントに合わせて初来日! 若き才能が語る、デザインやアールドゥヴィーヴル、そして東京の印象について。

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「イザ トーキョー」で開催するニナ リッチのポップアップイベントに合わせて来日したクリエイティブディレクターのハリス・リード。※ポップアップ開催期間は2024年7月4日(木)〜8月4日(日)


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――「イザ トーキョー」で開催中の2024年秋冬コレクションを集めたポップアップイベントについて、ラインナップの特徴とお気に入りのアイテムを教えてください。

往年のモノクロ映画など、パリのクラシックな雰囲気を表現したいと考えました。色使いはモノトーン、柄はポルカドットや千鳥格子のアイテムが充実しています。

なかでもお気に入りは、ランウェイに登場した白いブラウス。大胆なオープンバックで、後ろ襟の下にブランドのシンボルでもあるリボンをあしらいました。アーカイブに敬意を払いながらモダンな解釈を加えた、新生ニナ リッチを象徴する一着だと思います。

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2024/25秋冬コレクションより。ブラウス¥121,000/ニナ リッチ(イザ)

――ニナ リッチのクリエイティブディレクターとして、デザインをする際に最も大切にしていることを教えてください。

ブランドがもつ伝統や築いてきたものを大切にしています。そのうえで、現代の女性に向けたモダンな解釈を加えて新たな提案をしたいですね。今回の来日では、そういった点でも大きな刺激がありました。東京の女性たちの着こなしからプロポーションの違いや嗜好を知ることができたので、今後のクリエイションに生かしたいです。

――デザインをするうえで思い描く女性像やミューズはいますか?

常に変わりますが、いま挙げたいのはモニカ・ベルッチとディーヴァ・カッセルの母と娘。2世代に渡ってファッションを楽しみ、アクティブに各国で活躍している姿に惹かれます。ニナ リッチは母のニナと息子のロベルトによって創設されたブランドであり、お客さまは母から娘へ、祖母から孫へと、ニナ リッチの服を受け継いでいます。これからも、世代を超えて楽しんでいただけるファッションを提案したいです。

――クリエイティブディレクター就任から2024年秋冬で3シーズン目。ファーストコレクションから現在にいたるまで、心境に変化はありましたか?

YES! 就任から22ヶ月が過ぎましたが、学びは尽きません。約1世紀続くブランドの伝統とアーカイブの豊かさ、深さに日々感銘を受けています。ニナ リッチにはポルカドット、リボン、ドレープ、レースといったコードがあります。ブランドについて学び続け、理解を深めながら今後コードをどう生かしていくか、そんな楽しみも感じ始めています。

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2024/25秋冬コレクションより。左:ジャケット¥239,800、パンツ¥121,000、ブラウス(参考商品) 右:ドットトップス¥159,500、ドットスカート¥121,000、 ハット¥181,500/以上ニナ・リッチ(イザ)

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――あなたにとって、アールドゥヴィーヴルとは?

遊び心をもつこと、自分に素直であること、常に好奇心をもつこと。これらがアールドゥヴィーヴルを体現するにあたって大切なことだと思います。

――自分の暮らしに欠かせないものを教えてください。

愛、家族をはじめとする周りの人たち、美しい服。纏う服は自分を表現するものであり、日々を楽しむためにあるものだと考えています。ロマンティックな気分やドラマティックな気分になれる服が好きですね。

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左からハリス、パートナーのエイタン、チリに住むエイタンの家族。「家族のサポートは私の人生に欠かせないもの。夫や夫の家族と過ごす時間がパワーをくれます。自分の母とも義母ともすごく仲良しで、親友のような関係です」

――人生を楽しむ秘訣は?

ひるまず新たな冒険にトライすること。ヘルシー&アクティブでいること。ファッションのみならず、すべてについて学ぶ姿勢をもつこと。

出張や旅が多いので、体調管理はとても重要。自分にはウエイトトレーニングが合っていて、心身のバランスを整えてくれます。

――暮らしや生き方について、好きな言葉を教えてください。

Follow your gut。「gut」は直訳すると腸ですが、"お腹の底のほうで感じる"から転じて、"直感を信じなさい"という意味。幼い頃から母がよく言ってくれた言葉です。

――昨年ご結婚をされましたが、あなたにとって結婚とは?

最高です! 自分も夫もあちこちを飛び回っていますが、世界のどこにいても愛し愛されている大切な存在がいることに心から喜びを感じています。以前からサポートをし合えるパートナーがほしいと思っていたので、本当に幸せです。

一方で、お互い多忙なのでどうバランスをとっていくかが重要だとも感じています。それぞれキャリアを築きながら、支え合ってともに成長していきたいですね。

――昨年に開催されたウェディングパーティでは、シンプルでシックなウェディングルックがとても素敵でした。あなたにとってパリシックな着こなしとは?

私が好きな"パリシック"は、モダンなツイストが利いた着こなし。クラシックなスタイルを、現代の価値観やいまの気分でアレンジした着こなしが好きです。

ニナ リッチについても同様で、ポルカドットなどクラシックかつアイコニックな要素を現代に合わせたデザインに落とし込んでいきたいです。また、パリシックといえばエフォートレス。パリジェンヌたちの気負わない自然体の着こなしは美しいですね。

ハリスのインスタグラムより、昨年秋にロンドンで開催されたウェディングパーティ。

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――初来日とのことですが、東京の印象を教えてください。

すっかり恋に落ちました(笑)。感銘を受けたのは、伝統や歴史を大切にしながらいまの時代に合わせて再解釈やアレンジをしている点。先ほどお話したパリシックに通じる、モダンなツイストをいたるところで感じました。街や建物が清潔で、人が親切で優しいところも素敵です。自分がいままで訪れた国にない、日本ならではの魅力だと思います。

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到着したホテルのエレベーターで早速セルフィー。来日は念願だったそう。

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「『アマン東京』の日本家屋を感じるラウンジにうっとりしました」

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到着してすぐに老舗料亭「菊乃井本店」へ。「本物の日本料理を食べるのは初めて。感動しました」

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翌日はメディア関係者とのディナーで加賀料理の料亭「浅田」へ。「赤坂の芸者さんたちのパフォーマンスに感涙」

――東京のファッションについて印象を教えてください。

どの国でもストリートファッションを観察するのが好きなのですが、東京の女性たちはレイヤードが得意なことに驚きました。

たとえば、パンツとソックス、靴で色を合わせたり、時計やリングなど手元や指先の重ね付けを楽しんだり。オリジナリティのある配色や細かい部分まで考えた着こなしに独自のセンスを感じます。ファッションを心から楽しんでいて、それぞれが個性を発揮している点も印象的。デザイナーとして大きな刺激を受けました。ぜひこれからのクリエイションに生かしたいと思います!

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ポップアップイベントのプレビューでは、関係者へのお土産にシックな色のカラーをセレクト。

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ポップアップイベントの店内にて。「東京の女性はアクセサリーの重ね付けが素晴らしい」と絶賛するハリスだが、本人もリングのレイヤードがお見事!


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インスタグラム用の動画インタビューにも応じてくれたハリス・リード。モデル顔負けのスタイルと私服を生かしたセルフスタイリング、明るくフレンドリーな人柄に取材スタッフもすっかり大ファンに。

NINA RICCI POP UP EVENT AT IZA Tokyo
期間:開催中〜2024年8月4日(日)
会場:東京都港区南青山5-8-3 IZA Tokyo
03-3486-0013
営)11:00〜20:00

問い合わせ先:
イザ
0120-135-015(フリーダイヤル)
https://www.ninaricci.com/ja-jp 

editing: Naoko Monzen photography: Courtesy of Nina ricci, launchmetrics

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