Kawakyun 「使われなくなった」素材に光を当てた、革ときもの地のコラボレーション。

Fashion 2025.02.10

PROMOTION

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丁寧に仕立てられた、シボのある革製のカードケース。蓋をあけると、美しいきもの地が現れる。レザーときもの地という異素材使いが目を惹くこのアイテムは、革財布・革小物を専門に手がける豊岡の「ラ・ヴェッタ」と、きもののアップサイクルをテーマにさまざまなファッション小物を発表している、京都発の「cravatta by renacnatta(クラヴァッタ・バイ・レナクナッタ)」のコラボレーションにより誕生した。ユニークなアイテムが生まれた背景を追いかけてみよう。

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「ラ・ヴェッタ」の木下航さん。父は、豊岡で長年鞄製造業を営んできた「キノシタ」の創業者。「父が鞄なら自分は財布・小物を極めようと、財布職人から伝統の技法を学びました」

柳行李に端を発し、1200年以上の長い歴史のなかで鞄製造技術が発展した兵庫県豊岡市。その豊岡で、革財布・革小物を専門に手がけるのが、木下航さん率いる「ラ・ヴェッタ」だ。鞄に比べると財布の製造は工程数が多く手間がかかるため、豊岡市で革財布・革小物を専業とするメーカーは「ラ・ヴェッタ」だけだ。
「日本の革小物には、見た目の美しさや使い勝手のよさを追求して生まれた風琴マチや菊寄せ、ネン引き*といった、独自の伝統技法があります。こうした日本古来の技術を取り入れ、海外のものには見られない製品づくりを目指しています」(木下さん)

*「ネン」と呼ばれる金属の道具を使い、革製品のコバから一定間隔のところに直線の筋をつける技法。

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風琴マチ。マチを山折りにすることで中身の出し入れがスムーズに。ごく薄く仕上がっている点にもご注目を。
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風琴マチの作業風景。熟練した職人の手作業により、薄く緻密なマチが完成する。

風琴マチとは収納部のマチを外側に設けた、つまり山折りの形状に仕立てる技法。一般的な蛇腹状のマチに比べるとカードや札の端がマチに引っかからないため、スムーズな出し入れが可能になる。薄く漉いた革を折り紙のように折り返し、糊で圧着させるという高い技術を要するが、縫製をしないため薄くすっきりとした仕上がりとなる。菊寄せは、革小物の四隅の処理に用いられる技法。四隅に生じる革のたるみを、細かく均一にヒダを寄せて処理する。どちらも非常に細やかな技法であり、熟練した職人の技術が求められる。

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菊寄せは、細かなヒダを職人が手作業で寄せて仕上げるコーナーの処理方法。

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そもそもこの企画は、豊岡市の地方銀行が行う地場産業支援のプロジェクトから生まれたものだった。「cravatta by renacnatta」とコラボレーションを行うことが決まったことで、木下さんはタンナーのもとに眠っていたデッドストックレザーを使ってこれらの伝統技法で仕上げるカードケースを提案した。
「というのも、『cravatta by renacnatta』のファーストラインである『renacnatta』は、着ら"れなくなった"アイテムや使わ"れなくなった"素材や技術に着目し、いまの時代に合った形で甦らせることをテーマとしているからです。ブランドを主宰する大河内愛加さんもとても興味をもってくださいました」(木下さん)

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ミラノを拠点に、日本とイタリアのデッドストックや伝統工芸品などの素材を組み合わせる「renacnatta」と、着物をアップサイクルする「cravatta by renacnatta」の運営を行う大河内愛加さん。

一方の「cravatta by renacnatta」は、きものが糸をほどけば布の形に戻るという利点を生かし、ネクタイやボウタイ、ポケットチーフなどに仕立て直している。
「かつて日本人は、きものを何度も仕立て直し、生地がぼろぼろになったら敷物や雑巾にリメイクし、ものの寿命が尽きるまで利用していました。そのように、ものを無駄なく大切に使いきる昔ながらの循環を、現代的にアップデートして提案しています」(大河内さん)

「cravatta by renacnatta」でレザーアイテムを扱う予定はなかったが、タンナーの工場を見学し、革は食肉の副産物であること、いただいた命を余すことなく活用したアップサイクルな素材であることを知り、感銘を受けたという。
「聞けば、タンナーのもとには使われていないデッドストックの革があり、小物であればうまく活用できるとのこと。また、木下さんのところでは、大量生産の時代に逆行するような手間暇かかる技法を伝承しているとも聞きました。こうしたストーリーをもっと多くの人に届けるべく、『cravatta by renacnatta』のプロダクトとして紹介しようと思ったんです」(大河内さん)

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フルオーダー、カラーオーダー、パターンオーダーなどに対応する、「ラ・ヴェッタ」のショールーム。製品だけでなく、素材としての革を手に取ることができる。

コラボレーションにあたって、大河内さんも木下さんとともにタンナーのもとで革選びも行った。デザインは、年齢や性別、使用シーンを問わず手に取ってもらえるよう、表側はプレーンな革に。「表から見えないところで遊び心を演出したい」と、内側に華やかなきもの地をあしらった。きもの地は、革との相性を見ながら大河内さんが選定。きものを一枚ずつほどき、洗い、反物に戻して使っている。

とはいえ、まったく異なる性質の革ときもの地を貼り合わせる工程は難易度が高かったそうだ。
「革と絹では処理の方法や補強の仕方がまったく異なります。きもの地を扱うのは初めてでしたので、伸縮の度合いを見極めながらどのくらいコシをもたせて補強するのか、どういう糊を使うのか、試行錯誤の連続でした」(木下さん)

こうして完成した「cravatta by renacnatta」の使われていないレザー×着られなくなった着物のカードケース。
「風琴マチや菊寄せというすばらしい技術とアップサイクル素材の融合を、ぜひ手に取ってみていただきたいと思います」(大河内さん)

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問い合わせ先:
ラ・ヴェッタ
https://lavetta.jp

cravatta by renacnatta
https://www.cravatta-by-renacnatta.com

*日本タンナーズ協会公式ウェブサイト「革きゅん」より転載

天然皮革の魅力を発信する「革きゅん」サイトをチェック!

editing & text: Ryoko Kuraishi

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