力強い女性のための洗練された黒を印象付けた、エルメスの2025-26年秋冬コレクション。
Fashion 2025.03.11
2025年3月8日(現地時間)、エルメスの2025-2026年秋冬コレクションのショーがギャルド・レピュブリケーヌで開催。アーティスティック・ディレクターであるナデージュ・ヴァネは、洗練された雰囲気の中、深い黒と力強いシルエットを印象的に打ち出した。
エルメス 2025-2026年秋冬コレクション。photography: Imaxtree
まず招待客たちは、暗く広大な円形状の迷路のようなセットの中に土が敷き詰められた会場に案内されるところから始まった。天井からは無数の小さな星のようなライトが会場を照らし、独特の空間を作り出す。最前列には、ジェシカ・アルバ、ルー・ドワイヨン、アミラ・カサール、レベッカ・ズロトヴスキらが落ち着いた様子で着席し、昨今フロントローを賑わせているスターたちの登場による騒ぎとは、一線を画す静かな雰囲気を醸し出す。
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黒の力強さを探求。
エルメス 2025-2026年秋冬コレクション。photography: Imaxtree
エルメスの2025-2026年秋冬コレクションは、暗く厳しい時代を予感させるかのように、黒を基調としていた。エルメスの2025年冬のコレクションにおける、並外れた決意をもつ女性像は力強く歩みを進めた。
レザーのミニスカートとジップ付きのニットトップ、光沢のある馬術風フラットブーツを着用し、圧倒的な魅力を放つルックや、ウールフェルトのブランケットコート、寒い季節にあえてのキルティングのショートパンツ、脚を見せるベルベットのラップスカート、さらには火山灰のような色味のグレーのカシミアとシルクのレギンスなどが次々と登場。カーディガンを無造作に腰に巻き、グレーのカーボンデニムのセットアップや、光沢のあるレザーパンツを合わせたバイカージャケットのルックは、女性たちを誇らしげに見せる。グレインレザーのキャバンコートのシルエットを引き立たせるタートルネックのセーターの着こなしは、洗練された印象を与えていく。
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ラディカルにシックに。
エルメス 2025-2026年秋冬コレクション。photography: Imaxtree
男性的と女性的、その両方の要素も巧みに取り入れた。サルトリアルなコートにワイドパンツ、シルクギャバジン素材のボンバー風ジャケット、またはカシミアニットのロングドレスにレザーのディテールとミトンを組み合わせたスタイルも登場。その姿はまるで目の前に来るすべての挑戦に立ち向かう準備が整っているような、冷静な出立ち。
ワードローブには、鞍職人の伝統的な技術が息づいている。絶対的なエレガンスを放つダークカラーのアイテムの中に、サイプレスグリーンの明るいセットアップや、重ね着したジレとスリット入りのベージュキャメルのスカート、または美しいマーブルホワイトのウールフェルトコートなど、少しの色と温かみが絶妙に加わっている。
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揺るぎない強さを感じて。
エルメス 2025-2026年秋冬コレクション。photography: Imaxtree
ショーの終盤には、ヘーゼルナッツ・ブラウンやエボニー・ブラウンといった秋の温かく燃えるような色合いが登場。木の皮のような葉脈を持つドレスや乗馬コートを引き立てた。揺るぎない「強さ」を持つエルメスの女性像は、「フォーブル・サントノーレ」に本拠地を構えるメゾンの成功の高まりにも共鳴しているようだ。
ラグジュアリー市場が低迷する中、2024年の売上高は15%増となり、特にプレタポルテ部門は素晴らしい結果を収めている。エルメスは予測される逆風をものともせず、引き続き成長を遂げている。2026年には、その卓越したブランド力を背景にオートクチュール市場への進出を予定している。
From madameFIGARO.fr
text: Marion Dupuis (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi