いま、レペットがインフルエンサーを泣かせているその理由。
Fashion 2025.04.02
2025年初頭から、フランスのバレエシューズブランド、レペットがSNS上で話題となり、多くのインフルエンサーの心を動かしている。
レペットのダンスウェアやアクセサリーがコンテンツクリエイターの間で大人気! Instagram @kozhuhovskaより
いま、ビューティーチュートリアルやファッションコンテンツの動画、ダンス動画をもおさえてTikTokで今大人気になっているカテゴリーがある。それは、大人が子どもの頃からの夢を叶える瞬間をシェアする動画だ。どこかノスタルジックで時には涙を誘う音楽が添えられたこれらの投稿は何千もの「いいね!」を集めているほど。
そんな中、2025年2月27日にインフルエンサーの@mathdcls(画像下)が投稿した動画がすでに100万回以上再生され、話題になっている。「バーキンを手にして涙する人もいるけれど、私はレペットのダンスウェアで胸がいっぱいになった」とコメントし、待ちに待った夢のアイテムを開封。
ピンクのサテンリボンできちんと結ばれたショッピングバッグの中から彼女が取り出したのは、白いレオタード、チュチュ、タイツ、そしてトゥシューズのセットだった。「子どもの頃、何年もクラシックバレエを習っていて、本当に大好きだった。ずっとレペットのダンスウェアを手にするのが夢だったの」ーーーそう語る彼女の目には涙が。感動の瞬間に多くの共感が寄せられた。
@mathdcls sachez que vous avez réalisé un rêve de petite fille @Typology Paris et @Repetto vous me le demandez beaucoup, du coup mon pull c'est un @American Vintage Officiel #devinelapersonne #dream #childhood #rêve #storytime #storytimestiktok #pourtoii son original - MATH
3月16日にも、TikTokで50万人のフォロワーを持つ写真家アリス・モワチエがレペットから届いた荷物を開封動画を投稿。中には、繊細なチュールを重ねた黒のロングチュチュが入っており、誕生日パーティーのためにと提供されたものだった。さらに、Instagramでも今年に入ってからレペットのシューズがたくさん紹介されている。特に人気なのは、赤いバレエシューズ「サンドリオン」や「カミーユ」。一方で、「ガランス」のメッシュデザインを選ぶ人もいれば、1970年代にセルジュ・ゲンズブールが愛用し、一躍有名になった「ジジ」を履く人もいる。
懐かしさを呼び起こす、レペットの提案。
昨今、日々不穏なニュースが蔓延する中、レペットは売上高5,000万ユーロを誇りながら「穏やかな暮らし」を提案している。目指すのは、ソーシャルメディアで支持を集める「プルーストのマドレーヌ」のような懐かしさを感じさせるファッションを提供すること。クラシカルなバレリーナの美学に触発されたトレンド「バレエコア」が再燃した理由のひとつであると言っても過言ではない。「バレエコア」は、シモーヌ・ロシャとミュウミュウの2022-2023年秋冬コレクションで注目され、ここ3年間でさらに注目を集めている現象だ。
このスタイルは快適で安心感を与え、柔らかな素材とパウダリーな色合いで全身を彩る。レペットはその魅力をしっかりと捉えている。2010年代には一部の人々だけが取り入れていた、シンプルなリボン付きバレリーナはもう過去のもの。2025年、レペットはすべての人々に向けて新たな提案をしている。その象徴として、1月8日にInstagramで初のスニーカー「テニス シルク」の発売を発表した(日本では4月中旬頃発売予定)。

オーバーサイズのデザインやアグレッシブな色使いではなく、むしろ子ども時代の思い出のように柔らかく軽いこのシューズは、サテンのダブルレースにチュチュのプリーツからインスパイアされたディテール、薄いソールが特徴。その結果、セレブたちは再びレペットを履き、その魅力と信頼性を再確認している。ロイヤルカスタマーには、リリー・ローズ・デップ、カイア・ガーバー、ヘイリー・ビーバー、そして「ゴシップガール」のスター、ケリー・ルースフォードが含まれている。
トレンドの最前線で。
レペットはそのイメージをさらに刷新するため、2月にマリーン・セルの「月」のロゴがプリントされたバレエシューズシリーズを発売した。マリーン・セルはパリのアップサイクルを専門とするブランドで、パリファッションウィークの長年のメンバーでもある。このプロジェクトには、ブランドのイメージを若返らせること、そして「遺産」としての側面を守り続けることのふたつの目的がある。


レペット×マリーン・セル「カミーユ」¥73,700(数量限定)/レペット(ルックブティック事業部)
「私たちは、マリーン・セルとのコラボレーションを非常に嬉しく思っています。このブランドの創造性と、より責任あるファッションへの取り組みは、私たちの遺産と技術に完璧に共鳴しています。このコレクションは、職人技と革新を讃えるものです」と、レペットのCEO シャルロット・ゴーシェは語っている。もうひとつのハイライトは、3月8日、パリファッションウィークの真っ只中に、マレ地区の中心にレペットの初のポップアップカフェをオープンしたことだ。
ファッションの潮流がブランドに有利に働いていることも確か。多くのインフルエンサーたちは、ギルバート・デラヘイ(1972年)の絵本『Martine petit rat de l'opéra』の有名なイラストを思わせるようなリボンやピンクのパウダーカラーに魅了されている。アメリカでは、オールドハリウッドが再評価され、授賞式のレッドカーペットではオードリー・ヘプバーン、エリザベス・テイラー、グレース・ケリーのスタイルを彷彿とさせるデザインを身にまとった女優たちが増えている。また、「コケットコア」トレンドも挙げられる。蝶ネクタイやフリル、ピンクキャンディ色を称賛するこのトレンドは、TikTokで270万件以上の投稿を集めている。変化の激しい現代社会では、ノスタルジアを感じるストーリー性を持つファッションブランドが再び人々の心、そしてクローゼットに戻ってきたことは驚くべきことではない。
From madameFIGARO.fr
text: Augustin Bougro (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi