【ルイ・ヴィトン】2026 春夏ウィメンズ・コレクション、親密さを「アール・ドゥ・ヴィーヴル」として讃えて。
Fashion 2025.10.04
去る9月30日、ルイ・ヴィトンはルーヴル美術館で、2026 春夏ウィメンズ・コレクションを発表。
ショーのファーストルックは、コルセットやナイトガウン風のワードローブ。
ショーの舞台は、ルイ14世の母であり、フランス王妃のアンヌ・ドートリッシュがかつて暮らしたルーヴル美術館の壮麗な空間。この場所を舞台美術家/デザイナーのマリー=アンヌ・デルヴィールが、アーティストのロバート・ウィルソンの作品、18世紀の家具職人ジョルジュ・ジャコブの家具、1930年代のミシェル・デュフェが手がけたアールデコ調の椅子、19世紀の陶芸家ピエール=アドリアン・ダルペラによる彫刻、そして彼女自身が手がけた家具など、さまざまな時代の家具や作品を集めて、モダンなアパルトマンにコーディネートした。さらに、フランス人のエレクトロニックミュージックのプロデューサー兼パフォーマーであるタンギー・デスタブルが作曲した楽曲には、トーキング・ヘッズのデヴィッド・バーンによる「This Must Be the Place(ディス・マスト・ビー・ザ・プレイス)」の歌詞が引用され、ケイト・ブランシェットが朗読という贅沢な演出は、まさにビッグメゾンにふさわしい。
かつて王妃が暮らした空間に、さまざまな年代の家具や美術品をコーディネートし、モダンなアパルトマンに見立てたショーの舞台。
---fadeinpager---
インティマシー(親密さ)を"アール・ドゥ・ヴィーヴル"として讃えた本コレクションは、ファッションの自由、そしてある種のスタイルの解放を表現するラインナップ。それは、通常「インドア」向けのワードローブに求められる原則や機能性を覆す独創性を感じさせる。
ドレープの美しいリラックス感漂うドレス。
アパルトマンに見立てた"室内"を歩くモデルたちが纏うのは、ナイトガウンやネグリジェを想起させるゆったりとしたシルエットのドレス。ジャケットにはカジュアルな部屋着のようなパンツを合わせたり、クリノリンスカートのトップはスウェットシャツのような装いだったり......。そのほかパジャマ風のセットアップや着心地の良さそうなオールインワンなど、ワードローブに無限の自由と広がりを持たせている。
つけ襟に遊び心が感じられるジャケットスタイルには、スポーティなレギンス風パンツを合わせて。
クリノリンスカートには同色のカジュアルなトップをオン。
クラシックな壁紙または陶器の絵柄を思わせる柄が描かれたパジャマ風セットアップ。
部屋着と外出着の境界を祓うオールインワン。
ナイトキャップを思わせるヘッドアクセサリーをドレスとお揃いで。
自身のアパルトマンを巡るという"旅"は、ジャンルの原型を探求するものであり、その中で服は秘密を語り、視点を掲示し、そして個性を宣言する。本コレクションは、どこへ旅しても自分の在り方を守り続けるという基本的な信念に導かれた、メゾンの旅のひとつであるのだ。そしてインティマシーを尊重すること。それは内面的な礼儀作法をアール・ドゥ・ヴィーヴル(暮らしの美学)として実践することであり、自分自身のために服を纏い、本来の個性を表現するという究極のラグジュアリーでもあるのだ。
インティマシーを表現するランジェリー風トップは、外出着に拡張される。
誰もが部屋着に持っているようなボーダー柄をリュクスに昇華。
躍動感あるフリンジと豊かな色彩がファッションの自由を象徴する。
---fadeinpager---
バッグは、クラッチ、ハンドバッグ、ショルダーバッグと今季もバリエーション豊富に展開。素材やパターンもさまざまで、コーディネートの楽しさが広がりそう。
---fadeinpager---
シューズはショーのテーマに合わせた室内履きのようなスリッパ風ミュールのほか、モカシンやブーツなども登場。
text: Natsuko Kadokura