オニール八菜、シャネルを纏いパリ・オペラ座で舞う。
Fashion 2025.11.11
バレエの聖地とも言えるパリ・オペラ座で、オニール八菜がシャネルの最新コレクションを身に纏い、舞う。

チュールのトップ¥650,100、ツイードのトップ¥877,800、チュールのスカート¥368,500、ツイードのショーツ¥632,500、ピアス¥108,900/以上シャネル(シャネル カスタマー ケア センター) トウシューズ/本人私物
ピンクが好きで、バレエ用品もショール、レッグウォーマー、スカートにいたるまでピンクで揃えているという八菜。そんな彼女を喜ばせたピンクのセットアップはツイードのジャケットとショートパンツの上にそれぞれチュールが重ねられている。
「上がふわりとしていて、重みが中に感じられるのが不思議な感覚でした。通常とは逆のレイヤリングで、動いた時の印象がおもしろかったですね」。
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ニットドレス¥930,600、ニットパンツ¥562,100、ネックレス上から¥149,600、¥393,800/以上シャネル(シャネル カスタマー ケア センター)
「着心地のよいワンピースとパンツの組み合わせ。ニットの重みが身体にとても快適でした。こうしてアクセサリーを着けると、ニットでもエレガントでフェミニンになりますね」。
赤という色とゴールドのボタンは、着る人へ自信にあふれるアティチュードを求めるものだとも。今年150周年を祝うガルニエ宮の有名な大階段で、思わず舞うようにポーズ。
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ジャケット¥913,000、中に着たブルゾン¥1,036,200、パンツ¥632,500、ネックレス上から¥267,300、¥492,800、シューズ¥447,700/以上シャネル(シャネル カスタマー ケア センター)
「コーデュロイのブルーのパンツルックはちょっとマニッシュだけど、とても可愛い! オーバーサイズなので男の子っぽい感じがするけど、着てみるとすごくフェミニン。さすがシャネルだなと思いました。動きやすさのある装いに合わせたのは、ゴムのバックストラップのモカシン風の靴。履き心地がとてもよくって......」とステップも軽やかに。
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Interview with
Hannah O'Neill
ダンサーのオニール八菜が衣服に袖を通す時には、ふたつの異なる時間がある。ステージで彼女が纏うのは衣装である。「とりわけ物語性の高い作品では役柄に入り込み、その振り付けを踊るためにコスチュームが果たす役割はとても大きいですね。現在(取材時)リハーサル中の『ジゼル』の第1幕は村娘、第2幕は精霊。衣装は全然違います。だから稽古の時から、衣装に近いウエアを着るようにしています」と八菜。オペラ座のコスチュームは身体にぴったりでありながら、動きを妨げない素晴らしい作り。身体ですべてを表現する言葉のないバレエにおいて感情面を含め、思いどおりの身体表現を可能にしてくれるのだ。
「オペラ座のイベントの際に着る機会があるシャネルの服にも同じことが言えます。着心地がよくて、動きやすい。歩くのに苦労する服って嫌ですよね。その点、シャネルはシックだけれど、着ていてごく自然体で自分らしくいられます」
役柄の衣装を脱いだオフステージは、自分自身を表現する時間だ。
「好みは結構クラシックでシンプルです。そして、そこに私らしさを加えて、自信が感じられるファッション。派手ではなく、でも地味でもなくて。意識していることのひとつにフェミニニティがあります。選ぶアイテムということではなく、着ていて女性らしさを私が感じられること。そういう装いが好きです」
とはいえ、毎週木曜日は"適当に"装ってしまうそうだ。週の疲れがいちばん感じられ装いに気を使う元気もない曜日。
それは身体にも反映される。
「普段は忙しいこともあってピピピッて感じの早歩きなのに、木曜日だけは......」と笑った。
東京都生まれ。東京、オークランド、メルボルンでバレエを学ぶ。2013年にパリ・オペラ座バレエ団に正式入団。プルミエール・ダンスーズ時代から多くの主役を任され、23年にジョージ・バランシン振り付け『バレエ・アンペリアル』を踊り、エトワールに任命された。
*「フィガロジャポン」2025年12月号より抜粋
photography: Paul Phung styling & coordination: Masaé Takanaka hair: Yusuke Taniguchi makeup: Go Miyuki text: Mariko Omura





