【フィガロジャポン35周年企画】 「家中が服だらけ!」パリのファッション一家で育ったプッチのアーティスティック・ディレクターに迫る。

Fashion 2025.11.22

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アールドゥヴィーヴルへの招待 vol.4
2025年、創刊35周年を迎えたフィガロジャポン。モード、カルチャー、ライフスタイルを軸に、豊かに自由に人生を謳歌するパリジェンヌたちの知恵と工夫を伝え続けてきました。その結晶ともいえるフランスの美学を、さまざまな視点からお届けします。

どんな環境で育ち、母親はどんなスタイルの持ち主で、父親からはどんな影響を受けたのか──。プッチのアーティスティック・ディレクターであるカミーユ・ミチェリは常にファッションに囲まれていた。恵まれた環境から、自然とモードの道へと進んだというこれまでの軌跡を、家族写真とともに振り返り語る。


家中が服だらけ! 恵まれた環境でモードの道へ。

Camille Miceli/カミーユ・ミチェリ
プッチ アーティスティック・ディレクター

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1990年からシャネルの広報を務め、97年よりルイ・ヴィトンで広報、後にジュエリーデザインを手がける。2009年、ディオールに移るが14年にルイ・ヴィトンに戻り、21年より現職。

イタリア生まれの父、ステファノからは、エキセントリックとユーモアが混じったある種のエレガンスの感覚を継承したと思います。母のドミニクからは、女らしさとは何か、自分の良さをどう生かすかを学びました。イタリアの雑誌「リネア・イタリアーナ」や「アミカ」の仕事をこなすファッション編集者でしたが、現在はドキュメンタリーを制作しています。アミ パリスやマーク ジェイコブス、ルイ・ヴィトンなどを取り上げています。母はとてもチャーミングで、いつもアライアのドレスやケンゾーのジャングルジャップで買った服を着ていました。常にハイヒールで暮らし、ヘアドライヤーと前髪に執着するけど、ほぼノーメイク。家は母が仕事で使っていたので、家中服だらけ!でした。父はもう亡くなりましたが、ファッションフォトグラファーから美術本の編集者になりました。父は典型的なイタリア人で、外見に大変こだわっていました。胸にいつも花を挿しているようなタイプです。ジャケットはローマでオーダーメイドし、シャツはシャルベ。スタイルをミックスすることにもためらいがありませんでした。弟のパトリツィオ(ラグジュアリーブランドのイメージをチェックするPR会社、アル・デンテの創業者)は、おしゃれでエキセントリックという点で父によく似ています。

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1970年代のロンドンで学生だった母。

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母ドミニクと父ステファノのサントロペでの結婚式。

住んでいたのはパリ。両親は交友関係も広く、よく外出していました。セットやパラス、クール・サンバといったナイトクラブの常連でもありました。1980年代の頃です! 当時大人気だったアズディン・アライアのモーヴカラーのモスリンドレスを着た母がなんと美しかったことか。その頃のドレスはいまでも取ってあります。アライアはよくセザールやアルマン、ピエール・レスタニーやギイ・ブルダンと一緒に我が家のディナーにやってきていました。幼い頃、アライアに「いつか私のウェディングドレスをデザインしてね」と言ったことを覚えています。その願いは実現しましたが、子どもだった私たちはお客の彼らに挨拶することしか許されず、その後はベッドに追いやられました! そういう時代だったのです。両親と一緒に朝食を食べたことはなかったし、学校へ連れていってくれたのは乳母でした。ただ、旅行にはあちこちへ行きました。トルコでのクルーズやセネガルでの素晴らしい旅を覚えています。夏はイタリアに行くのが習慣でした。そんな環境で育った私は、自分がとても恵まれていることを知っています。

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母と私と息子。ミチェリ家3世代。

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父とイタリアのポンツァでのヴァカンス。父からは、エキセントリックとユーモアが混じったある種のエレガンスの感覚を継承した。

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若い頃からアートかファッションの世界で仕事をするだろうと単純に思っていました。高校を卒業してすぐにシャネルから声がかかり、ファッションの道が自ずと開けました。そこで8年間働いた後は縁が繋がっていきました。ちゃんと育ててくれ、好奇心を伝えてくれた両親に感謝しています。

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パリの恵まれた環境で育った。私たちをきちんと育ててくれた両親に感謝している。

2021年にプッチに入社した時のことです。アーカイブに保管されていた「ヴォーグ」誌の中で、マリリン・モンローが毛沢東に扮した号が目に留まりました。ページをめくっているうちに、父ステファノ・ミチェリが撮った広告を見つけたんです! びっくりして、これは何かのおぼしめしだと思いました。

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最新コレクションは、渦巻くプリント「マルモ」をテーマに、エアリー・ボディコンシャスなルックを展開。

*「フィガロジャポン」2025年9月号より抜粋

photography: Olivier Hadlee Pearch  text: Marion Dupuis (Madame Figaro)

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