「華やかさと品格」を愛したヴァレンティノ・ガラヴァーニ、93歳で逝去。

Fashion 2026.01.20

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1960年代初頭の最初のコレクション発表の時点からジェットセットに絶賛され、ハリウッドの上流社会やヨーロッパ各国の王侯貴族に愛されたヴァレンティノ・クレメンテ・ルドヴィコ・ガラヴァーニは、徹底して女性らしいシルエット、オートクチュール、そしてオーダーメイドをこよなく愛していた。

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ヴァレンティノ・ガラヴァーニ。(1970年、ニューヨーク)photography: Fairchild Archive / Penske Media via Getty Images

彼の名を冠したメゾンは、シックさと官能性、ラグジュアリーと軽やかさを象徴する存在となった。最も華やかな装いで人前に立つことを好むスターたちの親しい存在だったヴァレンティノは、約50年にわたり、象徴的で洗練されたコレクションを生み出し続け、長いキャリアを通じて、女性の魅力を引き立て、その力を高める服作りに捧げてきた。エリザベス・テイラーは彼のクリエーション以外考えられないと語り、より保守的でありながら同じく要求の高いジャクリーン・ケネディは、1966年に「どうか100歳まで生きてほしい」と彼に願い出たほどだった。


最もパリジェンヌなイタリアブランド

1932年、イタリア北部ヴォゲーラに生まれたヴァレンティノは、ブルジョワ家庭の出身だ。若い頃から一日中、グラマーとラグジュアリーへの憧れをスケッチに描き続けていた。18歳になる前にパリへ渡り、ボザール美術学校とクチュール組合学校でファッションを学んだ。初期のメンターには、クリストバル・バレンシアガやギ・ラロッシュといった名匠が名を連ねた。両親の資金援助を受け、1959年にローマでアトリエを開設。カール・ラガーフェルドやイヴ・サンローランと同時代に活躍し、彼らと同様、クチュールを遊び心あるモダニティの時代へと押し出し、その枠組みを解き放ちながら、ファッションに消えることのない足跡を刻んだ。

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ヴァレンティノ・ガラヴァーニ(1993年3月18日、パリ)photography: WWD / Penske Media via Getty Images

ヴァレンティノは、あえて華やかさを前面に押し出した。肩を強調したジャケット、くっきりとしたウエスト、存在感のあるフリル、ドラマティックなドレープ、刺繍が施されたシルクの花々、そして完璧に身体に沿うシンプルなブラックドレス。彼のコレクションを際立たせたのは、深みのある赤が放つ圧倒的な存在感だった。その創作の根底には、『少ないことは死を意味する』という哲学があった。

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ナオミ・キャンベル、ヴァレンティノ・ガラヴァーニ、ジゼル・ブンチェン(1999年7月、パリ)photography: Pool Arnal / Charriau / Gamma-Rapho via Getty Images

スタイルに貫かれた品格

「どんな装いよりも醜いのは、品格の欠如だ」と彼は考えていた。常に完璧な装いを崩さず、自身のイメージやヘアスタイルを徹底して管理し、髪一本乱れることのなかったヴァレンティノは、「浮浪者のような格好をし、それを究極のシックさやスノビズムだと思い込んでいる人々」を厳しく批判していた。彼は、華やかさを追い求めながらも、下品に傾くことだけは決してなかった。そのさじ加減こそが、彼の誇りだった。人を惹きつけても安っぽくならず、贅沢であってもやりすぎることはなかった。美術品のコレクターでもあった彼は、ローマ、ニューヨーク、グシュタード、そしてパリ近郊ヴィドヴィル城といった自身の邸宅に、愛蔵する名画や希少な品々を配していた。夏になると、客人のために用意されたのはヨットだった。全長46メートル、光によって表情を変える『T.M.ブルー・ワン』。形式においても精神においてもフェリーニ的な存在だったヴァレンティノは、パーティをこよなく愛し、それを贅沢でありながらも気品に満ちた壮麗な酒宴へと昇華させていた。

カルト的存在のファッション・ジャーナリスト、ダイアナ・ヴリーランドは、彼のドレスについて「死者を蘇らせる」と語っていた。それらは少なくとも、感情を呼び起こす力を持っていた。ヴァレンティノはごく自然体で、自らを「モード界のロールスロイス」だと評していた。彼の知性は、気負いのない、肩肘張らないユーモアを生み出し、「私は美を愛している。それは私のせいではない」と語り、さらに「私は自分が触れるものすべてを美しくする」とも、当然のことのように語っていた。華やかな表舞台の裏、私生活において彼は、忠実で細やかな気遣いを忘れない人物だった。2008年、彼は自身のメゾンから退き、アーティスティック・ディレクターの職を、最も近しい協力者であったマリア・グラツィア・キウリとピエールパオロ・ピッチョーリに託した。彼の有名な名言の中に「私の後? 大洪水だ!」というものがある。レッドカーペットの華やかな場でも、彼には時折、ささやかなハプニングが降りかかることもあった。

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ヴァレンティノ・ガラヴァーニ
イタリアンスタイルと情熱の物語

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ヴァレンティノ・ガラヴァーニとジャッキー・ケネディ(1979年12月3日、ニューヨーク)photography: Ron Galella / Ron Galella Collection via Getty Images

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ヴァレンティノ・ガラヴァーニとモデルのリンダ・スピアリングス(1980年代)photography: WWD / Penske Media via Getty Images

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ヴァレンティノ・ガラヴァーニとブルック・シールズ(1982年、ニューヨーク)photography: Images Press / Getty Images

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ヴァレンティノ・ガラヴァーニとジャンカルロ・ジャンメッティ。ニューヨークのメトロポリタン美術館で行われる夜のイベントに向け、1982年秋冬コレクションの準備中。photography: WWD / Penske Media via Getty Images

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ヴァレンティノ・ガラヴァーニとジェーン・シーモア(1990年11月28日、ビバリーヒルズ)photography: Ron Galella / Ron Galella Collection via Getty Images

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ヴァレンティノ・ガラヴァーニとシャロン・ストーン(1993年10月13日、パリ)photography: Antonio Ribeiro / Gamma-Rapho via Getty Images

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エル・マクファーソンとヴァレンティノ・ガラヴァーニ(1994年12月7日、ローマ)photography: Franco Origlia / Getty Images

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ヴァレンティノ・ガラヴァーニ(2003年、パリ)photography: WWD / Penske Media via Getty Images

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カール・ラガーフェルドとヴァレンティノ・ガラヴァーニ(2005年10月29日、ニューヨーク)photography: Patrick McMullan / Patrick McMullan via Getty Images

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ヴァレンティノ・ガラヴァーニ(2007年7月7日、パリ)photography: Victor Virgile / Gamma-Rapho via Getty Images

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グウィネス・パルトロウとヴァレンティノ・ガラヴァーニ(2009年4月1日、ロサンゼルス)photography: Axel Koester / Corbis via Getty Images

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ヴァレンティノ・ガラヴァーニとジャンカルロ・ジャンメッティ(2015年5月4日、ニューヨーク)photography: Lars Niki / Corbis via Getty Images

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ヴァレンティノ・ガラヴァーニとジェシカ・アルバ(2016年10月2日、パリ)photography: WWD / Penske Media via Getty Images

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ヴァレンティノ・ガラヴァーニ(2017年2月12日、ロンドン)photography: Chris Jackson / Getty Images

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ヴァレンティノ・ガラヴァーニとナオミ・キャンベル(2019年7月3日、パリ)photography: WWD / Penske Media via Getty Images

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text: Elisabeth Clauss (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi

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