【秋の夜長に乙女な小話 #01】秋色のエコファー。

Fashion 2019.09.20

フェミニンでロマンティックな世界観を提案する、スタイリストの小嶋智子とイラストレーターの岡崎マリー。高校より友人のふたりが考える、この秋気になることや欲しいものとは? ここ数年、スタイリストの小嶋が気になっているファーアイテムや、秋色カラーの着想源について語ってもらった。

秋冬になると気になる、ファーについて。

小嶋 ここ2年かな、ファーが気になるのは。去年のほうがもっとその気分だったかも。ステラ マッカートニーがいちばん最初に可愛いのを出して、そこからブームが来ましたね。

――ステラといえば、ファーフリー宣言やエシカルな取り組みに注目が集まりますが、そういった意識もありますか?

小嶋 エコに執着しているわけではないけど、ヴィンテージでリアルファーを買ったら、お手入れが大変で。ステラで見つけたピンクのエコファーのコートにチャレンジしてみたら、エコファーだから遊べる軽やかさがいいなと。リアルファーで色が付いてたら、ちょっとゴージャスすぎる。あとは家で洗えるのもうれしい。外出先でタバコの臭いとかがついたら、すぐドライクリーニングしてるよ。

岡崎 あ、あのコートはエコファーなのね。そう見えない。犬の毛みたいな、ぐるぐるした毛並みが可愛いよね。

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小嶋 そうなんだよね。ピンクかベージュか悩んでて、いつもならベージュを買うんですけど、ステラのプレスの方がピンクを推してて、じゃあと思って買ったらすごい好評で。それが2年前なのに、去年も使えたし、たぶん今年もたくさん使うんだろうなって。派手な色のほうが可愛いムードになるし、ベージュじゃなくてよかったです。

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――ファッションだと、秋冬ならではの素材やアイテムが出てきますよね。色や景色など、より抽象的なイメージの世界だと、岡崎さんはどんな気持ちになりますか?

岡崎 すごく好きな季節です。秋生まれというのもあるのかな。一年のなかで、いちばん盛り上がるかも。絵は自分の気持ちや思ったことを整理するために描く絵日記のような感覚があるのですが、秋になるとたくさん描くようになりますね。

先日、智子と一緒に南アルプスの仙丈ケ岳に行ってきたんですけど、前から描きたいなと思っていた景色がありました。

山に行くと、色や空気に影響される感覚があります。地上では見れないものが登山では見れるから、それを見つけに行く。

小嶋 花にもやがかかっていて、綺麗だったね。その景色をインスタにあげたら、いろんな友人から「行きたい!」って連絡が来ました。

岡崎 この色味は、すごく智子っぽいよね。

小嶋 マリーは「天国」って言ってたね。連絡をくれた友人も天国みたいと言っていて、その感覚がみんな一緒なのはおもしろかった。

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――小嶋さんはよく登山をされているイメージですが、登山がスタイリングやインスピレーションに影響していたりするのでしょうか?

小嶋 色の組み合わせとかはそうなのかもしれないです。あまり強い色が個人的に好きではなく、自然の色に近い、なじみのいい色が好き。自然の中には綺麗なグラデーションがたくさんあるし、そういうのにもしかしたら潜在的に惹かれるのかも。

――今回選んでいただいたアイテムも、すべて並べたら紅葉のグラデーションのようですね。

小嶋 色合わせは気にかけています。ここに唐突に突拍子もない色が入るのが好きじゃない。自然になじむ色。

岡崎 ほんとに山の色みたいな感じがするね。

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――おふたりが山に行くようになったきっかけは何ですか?

岡崎 最初は、智子が誘ってくれたことがきっかけで。6年くらい前かな。そうしたら思ってた感じと違くて。こんなに綺麗なんだと感動しました。山登り=高尾山のイメージで、森の探検みたいなものを想像していたんですけど(笑)。

その時は那須の山に行きましたね。11月だったので氷ができ始めていて、霜がかかっていてすごく綺麗だったのを覚えています。芸術を感じました。

小嶋 わたしは20歳くらいの頃に始めたかな。中学の頃、運動嫌いのわたしが唯一登山の時だけ元気だったのを思い出して。高尾山から行き始めたら、やっぱり好きだなと思って。

岡崎 すごく不思議なのが、運動苦手って言ってるのに登山だと平気だよね。普通に辛いし、相当体力がないとできないものなのに。

小嶋 登山だけはぎりぎり頑張れる……。

――自然や美しい色がたくさんある、それがパワーになるんでしょうか?

岡崎 景色がいちばんたのしみ。それを見るために行ってますね。空気が全然違う。

小嶋 空気が違うからいろんなものが澄んで見えて、いつもは気が付かないような「雲ってこんなに綺麗だったっけ」とか、「水はこんなにおいしかったかな」とか「葉っぱとか木って、こんな形だったっけ」とか。都会だと、イメージ的にスモークがかかってて。葉っぱも元気がないし。

岡崎 それがリセットされる感じだよね。

小嶋 うん、クリアになる。目が洗浄されて、また色を素直に、綺麗に見れるようになる感覚かな。やっぱり、人工的なものより、自然的なもののほうが好きなのかも。

そう思うと、ドリス ヴァン ノッテンが、自分の庭で花を摘んでデザインに落とし込んでいるのも近しいものがありそうですね。

小嶋 まさにそう。その部分の意識が近いブランドを、自然と手に取っているのかも。今回選んだファーコートも、もしかしたら紅葉やグラデーションからインスピレーションがあるかもしれないと思うと、ロマンティックですね。

●問い合わせ先:
ステラ マッカートニー カスタマーサービス(ステラ マッカートニー) tel:03-4579-6139
デミルクス ビームス 新宿(アパリス)tel:03-5339-9070
ドリス ヴァン ノッテン tel:03-6820-8104

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※この記事に記載している価格は、2019年9月時点の8%の消費税を含んだ価格です。

stylisme : TOMOKO KOJIMA, illustrations : MARY OKAZAKI

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