「トッズ T ファクトリー」第3弾、黒河内真衣子へインタビュー。

特集

気鋭のクリエイターを迎え、カプセルコレクションを制作するプロジェクト「トッズ T ファクトリー」。その第3弾を手がけるマメ クロゴウチのデザイナー、黒河内真衣子に、クリエイションを巡るさまざまな話を聞いた。

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デザイナーの黒河内真衣子は1985年生まれ。2010年に黒河内デザイン事務所を設立し「マメ クロゴウチ」をスタート、18年の秋冬シーズンからはコレクションをパリにて発表している。日本各地のさまざまな職人と手を携え、伝統技法をモダンに解釈した作品作りをブランドの使命とし、そのクラフトマンシップを大切にする姿勢が今回のコラボレーションへ結実した。©Tod’s

ネイビーをメインに、ベージュや黒を差した静謐なラインナップ。シンプルな造形の裏側に、緻密に計算されたカッティングが見て取れる美しいフォルム。インタビューが行われたトッズのショールームには、「T ファクトリー」の第3弾となる「マメ クロゴウチ フォー トッズ」のサンプルが並んでいた。

笑いながらも真剣に、「売れ行きも心配しなくてはいけないのですが、個人的にオーダーしたアイテムが届くのがいまいちばんの楽しみです」と話すほど、デザイナーの黒河内真衣子にとって、満足のゆく出来栄えであり、彼女のパーソナルな思いが込められたコレクションでもある。

「マメ クロゴウチ」がまだパリコレクションの正式スケジュールでランウェイを始める以前、パリでプレゼンテーションを開催していたところへトッズ・グループ会長兼CEOのディエゴ・デッラ・ヴァッレ氏が自ら足を運んだことを機に、今回のプロジェクトが決まったという。

「10年前にブランドをスタートさせて以来、日本の地方にある工場を訪ねる旅を毎週末のように繰り返しているのですが、そのうちに自分自身のトラベルワードローブが出来上がりました。そして初めてディエゴさんにお目にかかった際、『旅のためのスタイルはありますか?』とお聞きしたら、『昔は荷物が多かったけれど、いまでは絞り込まれて決まったセットがあるんだよ』とおっしゃって。“ゴンミーニ”は、ディエゴさんがアメリカへの旅で経験したことから生まれたということも知り、“旅”というのがひとつ、トッズとマメに共通するところだと思ったんです」

女性を解放する、精神的な自由を与えてくれる旅。この服を着て仕事に向かう電車に乗ったけれど、今日はこのまま違う所へ行ってしまおうかしら。そんなことを思わせてくれる、快適でタイムレスなワードローブができたら、多くの女性たちから共感を得られるのではないか。黒河内のアイデアは、すぐさまディエゴ氏の心を掴み、「Prelude To A Journey」というテーマのもと、プロジェクトはスタートした。

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クラフトへの情熱が共鳴する、ものづくりの現場。

トッズが本社を構えるのは、イタリア・マルケ州のブランカドーロという小さな街。ここにはビジネス部門、アトリエ、そして工房もあって、デザイナーと職人が一緒に働く環境が整っている。

「保育所やジムも完備されていて驚きました。地元の方を雇用して彼らの生活を支えるだけでなく、伝統的なものづくりを守りながらも新しいプロダクトを作っていこうという、トッズ社の姿勢に感銘を受けましたね」

プロジェクトが始まって以来、何度も足を運び、次第に職人たちとも打ち解けていったという。

「ドレスに合わせてもエレガントさが出る“ゴンミーニ”を作りたくて、全体のシェイプを細くしたり、足を入れた時にどれだけ足首がきれいに見えるかなど、かなり細かいお願いをしました。現場のスタッフには女性も多くて、私だったらこっちがいいわ、とか、賑やかにやっていたら、それに対して職人さんがアドバイスをくださる。言葉を超えてのものづくりは初めての経験でしたが、形になった時の幸せな気持ちをみなさんと共有できた時間はかけがえのないものですね」

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トッズのシグネチャーであるドライビングシューズ「ゴンミーニ」は、トッズ社会長の旅の経験から生まれた。黒河内はドレスなどエレガントなスタイルにも合う「ゴンミーニ」を誕生させるべく、職人やスタッフと細かな打ち合わせを重ねた。シューズ¥97,900/マメ クロゴウチ フォー トッズ(トッズ・ジャパン) ©Tod’s

自らの旅の経験を振り返り、必要なアイテムをラインナップして最初に描いたスケッチは、ほぼそのままコレクションに反映された。たとえばレザーのメッシュのバッグ(マーケットバッグと呼んでいる)は「エコバッグのような感覚で使えるA4サイズくらいのもので、だけどきちんとしたレストランにも持っていける。しかも軽くて小さくなる、レザーのバッグがあると便利だな」と、普段思っていたことが形になった。

バッグに関しては、膨大なアーカイブを実際に現地で見て、自身が持ちたいバッグはどんなものか?という観点から制作を進めたという。そうして出来上がったアイコンバッグ「D スタイリング」は、「コットンとサテンの生地を使って軽さを出し、ドレスにも似合うようにディテールを調整しました。そして、たとえば貴重品は取り外しができる付属のポーチに入れておいて、旅先でちょっと出かける時にはマーケットバッグにポーチごと貴重品だけ移して、というように、自分の一連の動作を思い出しながら考えたんです」

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「D スタイリング」からインスピレーションを得たバッグは2サイズを展開。このバッグの象徴であるセンターシームは、オリジナルバージョンでは本来隠す“はぎ”をデザインとして取り入れており、「レザーの制作の技術力が高いからこそできること」と黒河内。「マメ クロゴウチ フォー トッズ」のバージョンではパイピングしている。バッグ手前(H20×W26×D11㎝)¥207,900、奥(H24×W37×D19㎝)¥262,900/ともにマメ クロゴウチ フォー トッズ(トッズ・ジャパン) ©Tod’s

メインカラーに据えたネイビーは、女性を知的に華やかに見せてくれる色だとして、常々彼女が愛する色であり、自身の旅のワードローブを占める色でもある。

「ディエゴさんも初対面の際にきれいなネイビーのジャケットをお召しになっていて。旅、そしてネイビー、互いのDNAのようなものが似ていると、会話が始まってすぐに親近感を抱きました」

作り手のパーソナルな経験や思いが込められた服には、圧倒的なリアリティが宿る。「私自身、デザイナーであり経営者、そしてひとりの女性でもある。さまざまな状況に直面するなかで、自分に自信を持てる洋服はいちばんの武器になるし、愛おしい存在なんですね。だからデザイナーとしてそういう一着を作れたら、そしてそれが誰かの人生に彩りを添える、小さな花のような存在になってくれたら幸せだなと思っています」

旅にはもちろん、仕事にもデートにも、そして年を重ねても、きっとずっと寄り添ってくれる。多くの女性たちの共感を呼ぶワードローブがここに誕生したのだ。

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トッズのシグネチャーである「D スタイリング」は、ハンドルを細く、センターシームはパイピングで表現。バッグ上(H20×W26×D11㎝)¥207,900、下(H24×W37×D19㎝)¥262,900、細かいディテールにこだわって、職人たちとともに作り上げた「ゴンミーニ」。シューズ¥97,900/以上マメ クロゴウチ フォー トッズ(トッズ・ジャパン)

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マーケットバッグは黒河内が好きなカゴがデザインソースとなった。「カゴの中でも好きな編み方というのがあって。それをレザーで編むのではなく抜くことで、ぱっと見たところ編まれているように見えるバッグにしたかった」。ドレス¥223,300、バッグ¥149,600、シューズ¥97,900/以上マメ クロゴウチ フォー トッズ(トッズ・ジャパン) ターバン/スタイリスト私物

●問い合わせ先:
トッズ・ジャパン 0120-102-578(フリーダイヤル)

※この記事に記載している価格は、標準税率10%の税込価格です。

photos : HIROKO MATSUBARA, stylisme : TOMOKO IIJIMA, coiffure et maquillage : SHINICHI KAAWAMURA(mod's hair), cooperation : BACKGROUNDS FACTORY, réalisation : KAYORI MORITA

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