【大人の東京ブランド #02】男性デザイナーが提案する、新時代のユニセックス。
Fashion 2020.04.11
さまざまな着こなしを経た大人の女性が求めているのは、余計なものを削ぎ落とした服。シンプルで洗練された美しさがありながら、時代の空気と遊び心を感じる服。そんな気分に寄り添うのが、東京発のブランドたちだ。今回は全3回にわたって、注目の6ブランドをピックアップ。ブランドコンセプトやデザイナーのコメントから、その魅力に迫る。
第2回は、男性デザイナーが手がける「シュタイン」と「ポステレガント」をフィーチャー。両ブランドのユニセックスな表現に、新時代のファッションが垣間見える。
シュタイン / STEIN
人気セレクトショップ「ナイチチ」(現在は閉店)を経て、2016年に自身のセレクトショップ「キャロル」をオープンした浅川喜一朗がパンツ3型からスタート。2018年春夏から本格的に展開を開始。‟無から有へ。その狭間の部分を表現する”をコンセプトに、ユニセックスなデザインをウィメンズに落とし込んだウエアを提案。
今季からスタートした、製作の過程でうまれたものを製品にする別ライン、シュタイン マイナス〈stein(-)〉のルック。
▶▶ デザイナーへの、3問3答。
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イメージする女性像は?
静寂を漂わせながら、凛とした強さ、美しさをもつ女性。
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2020年春夏のテーマは?
COMPLETE AND INCOMPLETE。完成された美と、未完成の美。
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デザインのインスピレーション源は?
写真、映画、洋服、プロダクト。特に好きなのはマーク・ボスウィックの写真。作品が持つ独特の空気感や、ファッションフォトと別の角度からファッションにアプローチしている点に惹かれます。ジム・ジャームッシュの淡々と進む静かな映画も独自のセンスを感じます。
Tシャツなどのプリントを作成する際、フォントを活かしたデザインが好きで強い関心を持つようになったことから、春夏は自分がタイポグラフィに感じる‟完成された美と、未完成の美”をテーマに据えました。完成度を追求したフォントが放つ美しさと、未完成の段階に潜む美しさ。その双方をウエアで表現したいと考えたのです。また、製作の過程にある生成りのシーチングを使ったトワル組みが‟未完成の美”に重なり、今季から生成りの別ライン「シュタイン マイナス」をスタートしました。
ブランドを通して、自分が多くの方々、ひいては社会にとって少しでもお役に立てるようであれば非常にうれしいです。纏うこと、触れることで人の心に何かが届くような、シュタインがそんな存在であれたらとても幸せだなと思います
▶▶ Recommend Items
シンプルなトレンチに見えるが、袖にはファスナーや一部を取り外しできるボタン付き。洋服の完成形ともいわれるベーシックなコートを再解釈した一着だ。トレンチコート¥90,200/シュタイン(スタジオ ファブワーク)
トラッドな柄をあえてオーバーサイズで表現。体型や着こなしに合わせて、その人だけの美しさが完成する。グレンチェック柄ジャケット¥79,200/シュタイン(スタジオ ファブワーク)
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ポステレガント / POSTELEGANT
アカデミー・アンテルナショナル・ドゥ・クープ・ドゥ・パリを卒業し、文化ファッション大学院大学を首席で修了した中田優也が2017年にスタート。‟価値のある行いの先にあるもの”をコンセプトに、ミニマルでユニセックスなウエアを展開。ブランド名は「ポスト(次の、後の)」と「エレガント」の造語。
▶▶ デザイナーへの、3問3答。
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イメージする女性像は?
自由に強く生きる人。女性に限らず、‟人間像”になります。
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2020年春夏のテーマは?
シーズンやコレクションテーマは特になし。
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デザインのインスピレーション源は?
すべて素材から。いかに素材が生きる服が作れるか。日本の職人の高い技術から生まれる、繊細で上質な生地の表情が引き立つ服作りを目指しています。
コンセプトに掲げる‟価値のある行い”とは、縫製やパターンなど高度な技術を組み合わせて価値のある一着を作り出すこと。その服には力が宿り、魅力が備わり、国や時代を超えて残るものと信じています。その出発点となるのが素材。たとえば、春夏は和紙の糸を使った素材を多用しました。軽くドライなタッチで、高温多湿な日本の夏に最適です。
骨格の違いなどに対して余白を設けた、‟着る人を選ばない”服を念頭に置いています。その結果、ほぼユニセックス。婦人服/紳士服とくくらず、‟人間服”を作っている感覚です。ブランドとして、人や社会がよい方へ向かうきっかけを生み出したいですね。誰もが着こなせる服によって、ひとりひとりの気持ちが豊かになり、次第に周りにも波及して……。私たちを取り巻く世界がよくなるようにと願ってものづくりをしています
▶▶ Recommend Items
ポステレガント定番の形を、透け感と光沢のあるサマーウールで仕立てた新素材バージョン。さらりと着心地がよく、色違いで揃えたくなる。Tシャツ 各¥19,800/ともにポステレガント(ショールーム セッション)
洗いざらしのような風合いが楽しめる、表情豊かなリネンを使用。羽織にもできる前開きタイプ。ドレス(取り外し可能なレザーベルト付き)¥46,200/ポステレガント(ショールーム セッション)
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※この記事に記載している価格は、標準税率10%の税込価格です。
photos : ASA SATO, réalisation : NAOKO MONZEN