ダイアナ妃生誕60周年 いまなお愛され続ける、ダイアナ妃の華麗なスタイル。
Fashion 2021.07.01
見た目よりもはるかに表現力の高いワードローブで、ダイアナ妃は没後20年以上経ったいまも、ファッションアイコンとしての地位を確立している。ウィリアム王子とハリー王子の母親の最も美しいルックを振り返ってみよう。
サイレンセスターで行われたポロ競技大会の時のダイアナ妃。(イギリス、1983年8月9日) photo : Getty Images
2021年7月1日、ダイアナ・スペンサーは60歳の誕生日を迎えるはずだった。今日、ケンジントン・ガーデンズで、彼女の銅像が、彼女の息子であるウィリアム王子とハリー王子によって除幕される。
パリで亡くなってから20年以上経ったいまでも、ハートの女王は人々の話題に上り、その装いにも熱視線が注がれている。
ダイアナ妃の発言は、1995年、チャールズ皇太子とカミラ・パーカー・ボウルズの不倫について、ジャーナリストのマーティン・バシールに語った「あの結婚には3人いた(There were three of us in that marriage)」という有名な言葉を除いては、あまり話題にならない。ダイアナ妃が人前で話すことは、実はとても珍しいことだった。彼女は自分を表現するための他の方法を見つけ、ファッションもその一つだったと言われている。
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人々の目の前で起こった華麗な変貌
彼女のルックはレガシーからインスピレーションへと変わった。近年では、デザイナーのヴァージル・アブローが自身のブランドである「オフ-ホワイト」コレクションでダイアナ妃にオマージュを捧げ、テディ、ビックサイズの白シャツ、ママジーンズ、タータンチェック、ギゴット袖のドレスなどのアイテムを復活させている。英国王室では、会ったことのない義理の娘であるキャサリン妃やメーガン夫人のワードローブとも常に比較される。リアーナにいたっては、ダイアナ妃の顔が描かれたTシャツを愛用している。
振り返れば、ダイアナのスタイルの変遷は容易に再現することができる。彼女の外出やジムへの出入りまでもパパラッチに追われたのだから。彼女のルックはそれほどに世間を魅了したのだ。
彼女の華麗な変貌は、人々の目の前で起こった。最初の数回、若き日のダイアナ・スペンサーは特段目立ったところのない、非常に地味なスタイルで登場した。イギリスの人々が目にしたのは、小さな丸襟、プリーツスカート、ジャカードプリントのカーディガンを愛する保育士。おとなしく、理想的な“お嫁さん”の型にはまっていく。
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歴史的な結婚式
ウェディングドレスが、これから彼女にのしかかる義務の重さを思い知らせた。デヴィッド&エリザベス・エマニュエルがデザインした、きめ細やかなディテール、パフスリーブ、バランスを誇張したこのドレスは世界中の注目を浴びた。さらに英国王室では最初で最後となる、史上最長の7mのトレーン。ダイアナはこの時、いわば未来の女王としての新しい役割を果たすためのコルセットで、かっちりと固められたのだ。
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その後、ダイアナのワードローブは瞬く間に洗練されていった。それは、1977年からロンドンに滞在していたフランス人デザイナー、キャサリン・ウォーカーとの出会いによるところが大きい。シックで控えめな水玉模様、千鳥格子のスーツ、そしてハリウッドスタイルのイブニングドレスも、彼女のデザイン。ウォーカーはダイアナの1000着あまりのワードローブを手がけた。
しかし、1985年にロナルド・レーガンがホワイトハウスで行った晩餐会で着用したドレスはウォーカーのものではなかった。いまや象徴となったこのドレスは、俳優のジョン・トラボルタの情熱的なエスコートで踊ったダイアナ妃の姿を思い起こさせる。
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スタイルのルネッサンス
1990年代、ダイアナのワードローブに新たな転機が訪れる。離婚だ。破局は彼女のスタイルにルネッサンスをもたらした。王室のしきたりから解き放たれたダイアナは、脚やデコルテライン、肩をあらわにし、より自由なスタイルを見せてくれた。オーバーサイズのブレザー、ヴィンテージロゴの入ったスウェットシャツ、ハイウエストのワイドジーンズ、サイクリングショーツ、バルーンスリーブ......その時々のトレンドに合わせたアイテムを身につけ、彼女のシルエットは進化していった。
20年以上経ったいま、彼女のファッショナブルなスタイルは、かつてないほど注目されている。インスタグラムでは、ダイアナ妃はクールなアイコン的存在。彼女の1990年代のルックに特化したアカウントの数はもはや数え切れないほど。
また、ダイアナ妃の最も象徴的な90年代のルックに身を包んだインフルエンサー、ヘイリー・ビーバーを起用したフランス版「Vogue」をはじめ、キム・カーダシアンのサイクリングショーツやエミリー・ラタコウスキーのオフショルダーのミニドレスなど、彼女のルックへのオマージュは枚挙にいとまがない。
text:Sabrina Pons (madame.lefigaro.fr)