纏うアート、ハイジュエリーの物語 カルティエ、第六感を呼び覚ますハイジュエリーのストーリー。
Jewelry 2022.01.31
6つのフレンチメゾンが仕立てた、ドラマティックなマスターピース。話題作からとびきりの逸品を選び抜き、職人技やモチーフの秘密を解説。
Cartier
色と形が、第六感を呼び覚ます。
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「シジエム サンス パル カルティエ」コレクションより、ネックレス(WG×ブルーカルセドニー×エメラルド×ブルーサファイア×ターコイズ×オニキス×ダイヤモンド)¥57,288,000(2021年11月時点の価格)/カルティエ(カルティエ カスタマーサービスセンター)
全方位的に美しい、カルティエのハイジュエリー。どんな角度から見ても隙がないよう、綿密にデザインされているからだ。
このネックレスも、まさにそうしたもののひとつ。あしらわれているのは、ビーズ状にカットされたブルーカルセドニーとエメラルドだ。よく見ると、ビーズにはあるフルーツを思わせるラインが入っていることに気付くはず。これはメロンカットと呼ばれるカルティエならではのカットなのだ。
さらにブルーサファイアやターコイズもちりばめられて、全体が絶妙なカラーハーモニーを奏でているのも魅力。このブルーとグリーンの組み合わせは、メゾンの3代目、ルイ・カルティエが20世紀初頭に「ピーコックパターン」と名付けた独特のカラーリング。メロンカットのジェムストーンも、アールデコ期にカルティエが得意としたスタイルだ。モダンに洗練されたデザインながらも、隅々にメゾンの歴史が息づいていることを知っておきたい。
このネックレスは最新作「シジエム サンス パル カルティエ」コレクションのひとつ。シジエム サンスとはシックスセンス、つまり第六感のこと。人の知覚を狂わせ、あらゆる感覚を刺激して想像力をかき立てるハイジュエリーが、眠れる第六感を呼び覚ます──との意味が込められているという。クジャクの羽の色彩を持つスタイリッシュなネックレスは、五感を超えた喜びを与えてくれそうだ。
デコルテのラインに沿わせるため、パーツには可動部分が隠されている。
かつて時代を牽引した メロンカットはいまも現役。
「フィガロジャポン」2022年1月号より抜粋
photography: Shinmei (Sept / objects) text: Keiko Homma