纏うアート、ハイジュエリーの物語 非対称が美しい、ディオールのハイジュエリーの作り方。
Jewelry 2022.02.02
6つのフレンチメゾンが仕立てた、ドラマティックなマスターピース。話題作からとびきりの逸品を選び抜き、職人技やモチーフの秘密を解説。
Dior
左右非対称が生む調和の魅惑。
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イヤリング「ディオール エ モア」(WG×サファイア×ラピスラズリ×オパール×パール×ラッカー×ダイヤモンド)¥10,560,000(予定価格)/ ディオール ファイン ジュエリー(クリスチャン ディオール)
あなたと私という意味のフランス語、トワ エ モワは、古くから愛されてきたジュエリーのスタイル。色の違うジェムストーンをふたつあしらっていて、伝統的な婚約指輪にも使われたデザインのこと。
このセンチメンタルなスタイルを再解釈し、現代によみがえらせたのが、ヴィクトワール・ドゥ・カステラーヌ。ディオール ファイン ジュエリーのアーティスティック ディレクターだ。ジェムストーンが魅力的なこのイヤリングも、ヴィクトワール流 にブラッシュアップされたトワ エ モワ。アシメトリーなのに調和が取れ、多彩なブルーのニュアンスを秘めていて、しかも2ウェイの使い方ができる。
サファイアとパールを配したドロップ部分は、耳たぶの後ろに装着するようになっていて、立体感のある着けこなしを演出。また、ドロップ部分を取り外し、オパールとラピスラズリのスタッドピアスとして着けてもシンプルに決まる。片耳だけドロップ部分を着けてもいい。
デザインの個性を豊かに演出するのは、ラッカーによる彩色。無地やグラデーションのニュアンスカラーが正面や側面を彩り、ジェムストーンの存在感を際立てている。ブルーサファイアを留めるホワイトゴールドの爪も、ブラックロジウムをかけて黒く加工しているため、青さが際立って見える。
シンプルだが職人技を極めたイヤリングだからこそ、使いこむほどに愛着が湧き手放せなくなるのだ。
ヴィクトワールによる美しいデッサンからすべては始まる。
まったく新しい15色を生み出したラッカーのカラーパレット。
「フィガロジャポン」2022年1月号より抜粋
photography: Shinmei (Sept / objects) text: Keiko Homma