ジュエラーと王室、相思相愛の麗しき絆。 プリンセスたちがウェディングに選ぶ宝飾は?
Jewelry 2024.01.17
晴れ姿を見せることで国民、そして世界に幸福感をもたらすことは、ロイヤルメンバーにとっての重要な責務。なかでも華やかなロイヤルウェディングは、その最高潮ともいうべき国家を挙げた一大イベントだ。ティアラから婚約指輪、ウェディングジュエリーまで、王室の至宝がプリンセスたちの幸せな笑顔をより一層輝かせる。
母から贈られた逸品をハレの日に身に着けたキャサリン妃。
Cartier / Robinson Pelham
キャサリン妃がロイヤルウェディング(写真上)で着用したロビンソン ペラムのイヤリングは、実家のミドルトン家の紋章にちなんでドングリとオークの木をモチーフにした母からの贈り物。頭上に輝く「ヘイロウ ティアラ」は、1936年にカルティエが制作し、後のクイーンマザーとなるエリザベス王妃が所有しその後娘であるエリザベス女王の18歳の誕生日祝いに贈ったもの。
キャサリン妃がウェディングで着用したイヤリングと同ブランドのイヤリング「アスペン」は公務などでも度々愛用する姿が目撃されている。(WG×ダイヤモンド)¥2,200,000/ロビンソン ペラム(チェリッシュ インク)
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花嫁の頭上に輝くティアラは栄光の歴史の象徴。
Chaumet
スウェーデンの次の女王となるヴィクトリア皇太子(写真上)がウェディングで着用したのは、ショーメ製のティアラ。ダイヤモンドを用いず、ギリシア神話に登場する神々を刻んだカメオとパール、ゴールドで仕立てられた珍しいパリュール(ネックレス、イヤリング、ブローチとのセットジュエリー)の最初の所有者は、ナポレオン公妃ジョゼフィーヌ。その血筋をひく孫娘がスウェーデン王室に嫁いだ際にもたらされた。最近ではスウェーデンの王室の公式ポートレートでヴィクトリア皇太子の母のシルヴィア王妃(写真下)も着用している。
Chaumet
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Chaumet
2023年に華やかなロイヤルウェディングのニュースが続いたのがヨルダン王室。3月にアメリカの投資家と結婚式したイマン王女(写真上)のティアラは祖母のムナ・アル・フセイン王女のものでショーメ製と報じられている。
6月にフセイン皇太子と豪華絢爛のロイヤルウェディングを行ったラジワ皇太子妃が身に着けたティアラ(写真下の左)には、義理の母となったラーニア王妃がアブドッラー2世国王と結婚した際に着用したフレッドのティアラ(写真下の右)に「神に栄光あれ」と刻んだ事例にならい、「神がもたらす希望」と刻まれた。結婚式ではラーニア王妃とともにティアラをつけて並ぶ麗しいショットも公開された。
ウェディングなどロイヤルメンバーが正装する際に着用するティアラだが、髪の生え際から指2本分の位置に着けるのが正式な着け方。また、ティアラを着用したら頭は下げず、片足を後ろに引き、もう片方の足の膝を曲げて挨拶(カーテシー)を行うのがロイヤルの作法だ。
Fred
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美女を輩出するモナコと、テーマカラーを大切にするオランダ。
Repossi
モナコのシャルレーヌ公妃(写真上)の婚約指輪は王室と縁の深い、レポシの特注品。センターのペアシェイプダイヤモンドは約10ct。リングの"テテュス(海の女神)"という名前は元水泳選手のシャルレーヌ公妃にぴったりと大きな話題となった。
映画『喝采』でアカデミー主演女優賞を受賞するなどハリウッドで女優として活躍した後にレーニエ大公に見染められモナコ王室に嫁いだグレース・ケリー公妃(写真下)の婚約指輪はカルティエ製。10.47カラットのエメラルドカットダイヤモンドの両脇にバケットカットダイヤモンドを添えたデザインが、クールで知的な美貌にマッチ。ケリー公妃はこのリングを生涯にわたって身に着けていた。1956年のウェディングにあたりモナコのレーニエ大公がケリー公妃に贈ったのは、ヴァン クリーフ&アーペルによるパールとダイヤモンドの美しいウェディングセット。これを機にヴァン クリーフ&アーペルは"モナコ公室御用達"の宝飾店と呼ばれるようになり、その関係は現在のシャルレーヌ公妃にまで続いている。
Cartier
吸い込まれるような透明度をたたえたエメラルドカットの婚約指輪(PT×ダイヤモンド)はカルティエ製。
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オランダのマキシマ王妃(写真下)の婚約指輪は、同国のロイヤル・アッシャーがカットを手がけた珍しいオレンジダイヤモンド。オランダ王室のファミリーネームがオレンジ・ナッサウー家であり、オランダ王室の王位継承者に与えられる称号は"オレンジ王子"または"オレンジ王女"であることにちなんだものと考えられ、マキシマ王妃はこのリングを日常的に着用し、その姿はさまざまなシーンで目撃されている。
Royal Asscher
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英国王室でハレの日も日常も受け継がれるジュエリー。
*「フィガロジャポン」2024年1月号より抜粋
text: Tomoko Shimizui