創造の世界を旅するカルティエの「ル ヴォヤージュ ルコマンセ」、いよいよ最終章。
Jewelry 2024.02.29
第3章であり、そして最終章となるカルティエのハイジュエリー コレクション「ル ヴォヤージュ ルコマンセ」が1月、パリのオートクチュール・ウィークに発表された。これはメゾンのデザイナーと職人たちが専門技術と美の追求を統合したクリエイションを、新しい出発点に戻って生み出してきたコレクション。ハイジュエリー クリエイティブディレクターであるジャクリーヌ・カラチの言葉に耳を傾けよう。「ライン、ボリューム感、カラーパレット、自然や世界各地の文化からのインスピレーションなど、あらゆる領域を追求することによって、カルティエは創造の可能性を推し広げ、新たな視野を広げています」
カルティエが尽きることのないインスピレーション源を求めて繰り返した旅の最終章から、代表的な作品5点を紹介しよう。誰もが入手できるジュエリーではないけれど、それぞれに潜むストーリーを知ることで長い歴史を持つメゾンが常に前進する姿勢への理解が深まり、そして夢を共有できる。
---fadeinpager---
宝石が描くしなやかな幾何学模様。
「スピナ」 ネックレス&ティアラ
ネックレスがティアラに変身するという驚きを秘めているのが「スピナ」だ。ダイヤモンドとサファイアが交互に配されて幾何学的な模様を描くネックレスは、驚くほどしなやかにデコルテで波打つ。中央のクッションカットのダイヤモンドは2つ合わせて4.56カラット。その下で神秘的な青を輝かせるのは29.16カラットのスリランカ産のサファイアで、それが上を向くようにネックレスを上下逆にするとアーチのフォルムが反り返ってティアラとなる。専用の骨組みを取り付けることで額に綺麗に沿い、毅然とした美しさが放たれる。究極のトランスフォームでは? なお「スピナ」には幾何学的模様とサファイアを組み合わせた時計、指輪、イヤリングも揃っている。
「スピナ」のネックレス&ティアラ ホワイトゴールド、サファイア、ダイヤモンド
「レロ」ネックレス
八角形にカットされた合計5.62カラットのコロンビア産のエメラルドが目を奪う「レロ」のネックレス。白く輝くダイヤモンドの幾何学モチーフのラインが、鮮やかで力強いグリーンへと目が向かうようデザインされているのだ。モチーフにはオープンワークが施され、ところどころにテーパードカットのダイヤモンドが配されて、ネックレスには動きが感じられる。構築的な印象とは裏腹にモチーフ部分のつけ心地はとてもしなやか。
「レロ」のネックレス。ホワイトゴールド、ダイヤモンド、エメラルド。
---fadeinpager---
あるがままの自然からもインスパイアされる創造性。
「パンテール コンフィアント」 ネックレス
1914年に登場して以来、メゾンの歴史とともに歩み続ける「パンテール」。ダイヤモンドのボディに黒いオニキスの斑、そしてエメラルドの瞳という組み合わせは従来通りだけれど、「パンテール コンフィアント」 のネックレスはそこに思い切りカラフルで華麗な装飾が施されている。ごく自然にリラックスした珍しいポーズでパンテールが佇むのは、26.52カラットのカボションカットのペリドットの上。その下に連なるのは、4つの八角形のペリドットだ。その周囲に縦溝のついたコーラルビーズが鮮やかさを添えている。カルティエの伝統的な赤と緑のカラーコンビネーションを、ここではレッドのコーラルと淡いグリーンのペリドットの変調で表現。このネックレスの下部をアレンジしたセットのイヤリングも、チャーミングだ。
「パンテール コンフィアント」ネックレス。プラチナ、ペリドット、コーラル、オニキス、エメラルド、ダイヤモンド。
「ピレオ」リング
丸いフォルムのあちこちに顔を覗かせるホワイトゴールドの"ピコ"(棘)! 5.12カラットの6角形のダイヤモンドからウニのアイデアが生まれ、それを自由に解釈した指輪はまるで海底に咲く花のようだ。球体を覆うのはローズカットとブリリアントカットのダイヤモンド。それらをセットする役割も担うホワイトゴールドのピコは鏡のように磨かれていて、ダイヤモンドに負けぬ輝きを見せる。さらにこの棘皮動物リング、球体部分が回転しその眩さを倍増させるという驚きを秘めているのだ。
「ピレオ」リング。ホワイトゴールド、ダイヤモンド。
---fadeinpager---
異国への憧れと好奇心がジュエリーに込められて。
「イファロス」 ネックレス
ダイヤモンドの繋がりが波のうねりを感じさせるネックレスは、暗礁を意味するギリシャ語でイファロスと命名されている。白く輝くダイヤモンドとエメラルドビーズの波しぶきに感じられるのは、地中海の躍動感だ。中央に配された力強い存在は、縦並びの2石のカボションカットのターコイズである。カルティエならではの見事な石で、上は曇りのないブルーアジュール、下はブラウンの縞模様入りのターコイズ。深海から波飛沫となるまでの果てしない海がここに表現されている。
「イファロス」ネックレス。プラチナ、ターコイズ、コーラル、エメラルド、ダイヤモンド
●問い合わせ先:
カルティエ カスタマー サービスセンター
0120-1847-00(フリーダイヤル)
www.cartier.jp
text: Mariko Omura