レコール ジュエリーと宝飾芸術の学校が、新カリキュラム登場でパワーアップ。

Jewelry 2025.12.22

2024年6月、パリ9区の大通りに面した18世紀の館、メルシー=アルジャントー邸に拠点を移した「レコール ジュエリーと宝飾芸術の学校」。広々した展覧会スペースで行われる企画展と宝飾専門書店「レスカブークル」を併設してパリの新名所になったレコールに、新講座が加わった。

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新講座「ハイジュエリーのグアッシュ3:素材」では実際に筆を取って素材の違いを描き分ける。© L'École des Arts Joailliers - Photo Laurent Kariv

「レコール ジュエリーと宝飾芸術の学校」は、ヴァンクリーフ&アーペルの支援によって12年に開講した。ジュエリーという文化を一般に広く伝えることを目指し、現在ではパリのほか、香港、上海、ドバイに常設校を持ち、各地で定期的に特別講座を開いている。

講座は「原石の世界」「ジュエリーの芸術史」の座学と、プロのジュエラーと同じ道具を使ってセッティングやモデリングを体験する「サヴォワールフェール(匠の技)」の3つのカテゴリー。宝石鑑定家や美術史の研究者、さらにはプロのジュエリー職人が講師を務め、ハイジュエリーの世界を別の角度から発見させてくれる。

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新講座「レソト レジェンド:ダイヤモンド原石からハイジュエリーコレクションへ」より。© Pauline de Courrèges

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そんなレコールに、この冬、新たに3つの新講座が加わった。

ひとつめは、世界最大級のダイヤモンド原石の物語を巡る座学「レソト レジェンド:ダイヤモンド原石からハイジュエリーコレクションへ」。18年に発見された910カラットの原石の誕生と発掘から始まる講義は、そこから67個のダイヤモンドがカットされ、ヴァン クリーフ&アーペルのアトリエで「レジェンド オブ ダイヤモンド」の25作品に生まれ変わるまでを語ってゆく。

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「レソト レジェンド:ダイヤモンド原石からハイジュエリーコレクションへ」では、レプリカで原石の大きさを実感。© Pauline de Courrèges

ダイヤモンドについての歴史や伝説、分析を解説してきた人気の既存クラスに加え、たぐい稀な原石がジュエリーのピースに姿を変えるまでを多角的に語るこの講座は、ダイヤモンドの物語を身近に感じさせてくれるはずだ。

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「レソト レジェンド:ダイヤモンド原石からハイジュエリーコレクションへ」より。「レジェンド オブ ダイヤモンド」コレクションに姿を変えたダイヤモンドたちをグアッシュで確認。© Pauline de Courrèges

ふたつめは実技の「ハイジュエリーのグアッシュ3:素材」。1点ものであるハイジュエリーの制作過程では、グアッシュと呼ばれる精巧なデザイン画が職人に渡される。メタルと貴石が織りなす光と色をどう表現するかを学んだこれまでのグアッシュ2講座に加え、新講座では素材にフォーカス。アールデコスタイルのブローチをテーマに、翡翠、真珠、オニキス、ダイヤモンドをあしらったデザイン画を仕上げていく。

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「ハイジュエリーのグアッシュ3:素材」より。© L'École des Arts Joailliers - Photo Laurent Kariv

三つめは、「原石の世界」と題する新サイクル。ダイヤモンド、エメラルド、サファイア、ルビー、真珠の5つの石をテーマにしたそれぞれ1時間半の座学で、鉱物学と美術史のふたりの講師が解説を担当する。

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「原石の世界」サファイアの講義より。photography: Masae Takata

たとえばサファイアでは、その定義である科学組成、青やそのほかの色が生まれるわけから、透明度、色の分析、主要産地、色を濃くするための技術までを解説。ルビーとサファイアが同じ科学組成を持つこと、色を最も美しく見せるために、過去にはアシンメトリーなカッティングが頻繁に行われてきたことなどに驚かされる。

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「原石の世界」より。実際にカットされたサファイアを手に、色や透明度、インクルージョンを観察。photography: Masae Takata

また美術史の観点からは、世界のジュエリーにおけるブルーサファイアの位置づけから、青という色の持つ意味を見つめていく。なぜ人が宝石に魅せられるのか、その理由が実感できる。

レコールのあるメルシー=アルジャントー邸は、グランブールヴァールの大通りに面した数少ない18世紀の私邸で、その一部は歴史的建造物に指定されている。19世紀に加えられた大広間は現在企画展のメイン展示室。また、講義室であるルイ16世スタイルのサロンや大階段が往時の姿を忍ばせる。歴史建造物の中で学ぶジュエリーの物語と、宝飾を巡る異色の展覧会と専門書店。日本での特別講座を待つ間、パリのレコールに足を運んでみてはいかがだろうか。

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18世紀の趣そのままのサロンが講義室。© L'École des Arts Joailliers - Photo Benjamin Chelly

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開催中の展覧会は『石たちの夢』。フランス人作家ロジェ・カイヨワが蒐集した、イメージのある鉱石を展示。自然や街の風景を思わせる鉱石の姿が作家の詩心を刺激した。26年3月29日まで。

L'École des Arts Joailliers
16 bis, boulevard Montmartre 75009 Paris
https://www.lecolevancleefarpels.com

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text: Masae Takata (Paris Office)

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