ティファニーを象徴し続ける、エルサ・ペレッティのジュエリー。
Jewelry 2021.03.22
ティファニーを代表する女性クリエイター、エルサ・ペレッティが80歳で亡くなった。彼女が世に送り出したジュエリーを、いまこそ振り返ってみたい。ビーン、オープン ハート、ボトル、スコーピオン。彼女が生み出した、伝説的でグラフィックなデザインは、永遠に輝き続ける。
オーガニックな丸み、大胆なボリュームと前衛的なデザイン……。ティファニーのためにエルサ・ペレッティが手がけた象徴的なクリエイションを表現するなら、いくつかの言葉があればいい。ヘルムート・ニュートンお気に入りのいたずらっぽい表情のモデルとして注目を集め、マンハッタンの上流社会に出入りし、クリエイター、ジョルジョ・ディ・サンタンジェロのコラボレイターとなったエルサ・ペレッティ。1974年にティファニーへのコラボレーションを開始し、パロマ・ピカソやジャン・シュランバージェらに並ぶ、ティファニーのお気に入りコラボレイターとなった。
女性の身体と官能的な表現を融合させ、ミニマルでありながらもジュエリーで女性を讃えた。また、ダイアモンドを身近なものにし、手首のカーブ、まさに骨に寄り添うフォルムでシルバーを高貴な存在に変えてしまった女性。そのシンプリシティの探求によって、彼女は96年にCFDAファッションアワードのジュエリーデザイナー賞を受賞している。
エルサ・ペレッティは引退後に暮らしていたスペインで、80歳で亡くなった。彼女が残したもっとも象徴的なクリエイションを振り返る。
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ボーン
神話的アイテム、ボーン カフは誕生からちょうど50周年。左からボーン カフ(スモール)¥1,683,00、ボーン カフ(ラージ)¥3,520,000、ボーン カフ(ミディアム)¥2,156,00。最新のポップ&エレクトリックカラーのバージョンはhttps://www.tiffany.co.jpへ。Tiffany/ Photo presse
ピュアで彫刻的、アナトミック(人体解剖学的)な丸み。ボーン カフのデザインは、思いがけないほどエルゴノミック、手首にぴったりと沿う。ひとつだけ、あるいは両手首にダブルで着けてもいい。柔らかな曲線が美しいデザインに、50周年を記念して、ブルー、レッド、グリーンのポップ&エレクトリックなバーションが登場した。17世紀の教会の地下聖堂を訪ねたことに着想を得たというアナトミックなデザインは、ジュエリー史を語る上で外すことのできない存在となり、歴史に刻まれることになった。2009年、ロンドンの大英博物館のパーマネントコレクション入りを果たしている。
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オープン ハート
ゴールドのオープン ハート ペンダント。参考商品。Tiffany/ Photo presse
丸みのあるスマートなデザインのオープン ハートは、エルサ・ペレッティがティファニーのために提案した初期のクリエイションのひとつ。その名の通り穴あきハートのモチーフは、アーティスト、ヘンリー・ムーアの作品に見る穴からインスパイアされた。チェーンやコードにそのまま通して、セカンドスキンのように身に着ける。指輪やイヤリングなど全アイテムに展開され、その革新的なフォルムはグラフィックなデザインとして時代を超えて愛されることに。いまでは、ティファニーのマストアイテムとして君臨している。
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スコーピオン
ゴールドのスコーピオン ネックレス。参考商品。Tiffany/ Photo presse
蛇とサソリは、彼女のコレクションの中の、数少ないアニマルモチーフ。スペインの自邸の庭の、乾いた地面を這う蛇とサソリを眺めるのが好きだったというエルサは、毒を秘めた動物たちをゴールドの形にした。ディテールまで印象的で、いまにも飛びかかってきそう。その体はセンシュアルで魅惑的なカーブを描き、喉元に向かってくる。1987年、スーパーモデル、クリスティ・ターリントンが素肌に身につけ、シーラ・メッツナーが撮影した写真の記憶は、いまも鮮やかに残っている。
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ボトル
シルバーのボトル オープン ボトル ペンダント¥73,700。https://www.tiffany.co.jp。Tiffany/ Photo presse
蓋が開いたままの小さなシルバーのボトル。それは、香水を数滴入れたり、あるいは、エルサがポルトフィーノの街角で見たイタリア人たちが手にしていたように、クチナシの花びらを何枚かさしてもいい。身近なオブジェのように、シンプルに描かれたデザインは、彼女のシグネチャーになった。
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ビーン
ビーン クラッチ。参考商品。Tiffany/ Photo presse
最初はペンダントとして誕生したビーンは、エルサの最もミニマルなデザイン。いまではロングネックレスや指輪、ピアスにも。オープン ハートと同様に、ペンダントヘッドの中央にチェーンを通す。まるでもうすぐ芽を出しそうな、ピュアで象徴的なデザイン。鎖骨の間のくぼみにそっと寄り添うペンダントは、毎日のアクセサリーとして。また、ソワレの装いを彩る高貴なクラッチバッグも魅力的。
texte:Anne-Sophie Mallard (madame.lefigaro.fr)