優しい気持ちが強まって、人に何かしてあげたいという情熱が湧き上がった時は、少し気をつけなければなりません。なぜなら、そういう時は相手の姿が少し、よく見えなくなっている可能性があるからです。あるいは、相手の声がハッキリ聞こえなくなっているのかもしれません。自分の心の声が強まると、相手の心の声は聞こえにくくなります。
「この人は困っているようだ、何かしてあげたい」と思ったらまず、相手をよく見て、相手が何を必要としているのか、よく確かめねばなりません。最終的には「きっとこうすることが助けになるだろう」と当たりをつけて「えいや!」とやってみるしかないのですが、それでも「えいや!」の前に、どれほど相手の発する情報をよく汲み取れるかが、何よりも大事です。
他人の心の中や、現状は、蓋を開けて調べることができないブラックボックスです。ゆえに、どんな専門家でも、どんなに近しい肉親でも、相手に完全にフィットするサポートをすることは、不可能に近いのだと思います。だからこそ、外側に発せられているわずかなサインをできるかぎりキャッチして、最終的に「当たりをつける」ことの精度を少しでも上げるしかないのです。
この時期、貴方は誰かにとても優しくすることになるだろうと思います。ケアをし、サポートし、誰かを救い出すようなこともできるかもしれません。その際、上記のことが非常に大きな意味を持つだろうと思います。まず相手の話を聞くこと、語られないことがあるかもしれないと想像すること、相手の様子を見ること、受け取れるだけ受け取り、汲み取れるだけ汲み取ること。
私たちは呼吸する時、まず息を吸い込んで、それから吐き出します。それと同じで、この時期はまず汲み取ることが、とても重要です。相手の発するものを思いきり吸い込んだら、後は自然に、必要なものを流し出すことができるはずです。