言葉は何かを伝える機能よりも、何かを隠す機能が大きい、という考え方があります。言葉で何かを言い表すと、そこで語られなかったあらゆるものがハッキリと覆い隠され、もう見えなくなります。
たとえば、「昨日は何もない、平凡な一日でした」と言ったとたん、いつもとちょっと違っていたことがすべて、消え去ります。「なかったこと」になってしまいます。
今週、貴方と誰かの間に、多くのやり取りが生まれるでしょう。
たくさんの言葉をやり取りする中で、その言葉によって「覆い隠されるもの」「消え去るもの」が、結構たくさんあります。
ですがそこで「隠された」のは、あくまで一時的な現象です。
実はこの少し後に、今のやり取りにおいて見えなくなったものが、姿を現す可能性があるのです。
「大丈夫?」と尋ねて「大丈夫です」と答えた相手が、実は大丈夫どころではなかった、とわかるかもしれません。
素っ気ない態度の相手が、実は愛の情熱を燃やしていた、と、後でわかるかもしれません。
「もしかしたら、何かあるかも」と思いながら対応するのと、単に額面どおり受け取って対応するのとでは、少し、流れが違ってきます。