スポーツ選手や音楽家が「指導者となる」のは、なかなか難しいところがあります。自分が得意で難なくできることが、教え子たちにはなかなかできないからです。「できない気持ち」がわからなければ、うまく導くことは困難です。なぜできないのかがわからなければ、「こうすればいいよ」のアドバイスも思いつきません。名選手名指導者に非ず、とはよく言われます。
また、「できない人」の姿を見て初めて「自分が何を『できている』のか」を理解する人もいます。「なるほど、これができない人がいるのか!」という驚きは人を傲慢にするよりは、むしろ謙虚にするものなのかもしれません。なぜなら、他の分野では自分も同じように「できない」部分をたくさん持っていることに気づかされるからです。
今週以降、誰かが不器用に振る舞うのを見て「なるほど、自分はこういうことが上手なのか」と実感する場面があるかもしれません。自分ができることを人ができない様を見て「自分の長所はここなんだな」と理解できるのです。この理解は、貴方の精神的成長のきっかけとなります。心を動かされ、新しい共感が生まれ、人を受容する余裕が出てきて、人として深く大きくなれる。そうした変化が起こり始めるはずです。
今週、居場所や家族に関して「新風が吹きこむ」ような場面があるかもしれません。身近な人への見方が変わったり、新しい理解が生まれたりするようです。このこともまた「人間的成長」の重要なステップです。