何かを伝えたいと思った時、私たちは同時に「知りたい」気持ちも抱くものではないかと思います。たとえば、愛を伝えたいと思ったら、同時に、「相手がそのことをどう思ったか知りたい」という思いが湧きます。勉強を教えたら、相手が理解できたかどうか知りたいでしょう。新しいニュースを伝えたら、相手がそれにどんな考えを持ったか、教えてほしくなるはずです。ボールを投げた瞬間に、相手からのボールを待つ気持ちが生まれる。このことはコミュニケーションの面白さの源泉であると同時に、辛さの源でもあります。なぜなら「こたえてもらえない」「期待どおりの答えが返ってこない」ことも、たくさんあるからです。そうした辛さを引き受け、乗り越えて、人間はコミュニケーションを積み重ねます。
今週、そうした「コミュニケーションの苦労」が、大きく報われるかもしれません。なかなか伝わらないけれど、諦めずに伝えてきたことが、伝わるかもしれません。誰かをやっと説得できるのかもしれません。わからないなりに学び続けてきたことが、いきなりストンとアタマに入るのかもしれません。研究してきたテーマの「謎が解ける」瞬間が訪れたり、ずっと夢見ていた招待状が届いたりするのかもしれません。これらはすべて、貴方の「コミュニケーションの努力」の成果なのだと思います。