今週誰かからギフトを受け取ったら、どこかにメモを残しておくといいかもしれません。あるいはモノでなくとも、便宜を図ってもらったり、よくしてもらったりしたことは、やはり記録して忘れないようにすると、後で役に立ちそうです。
私たちは人から何かしてもらうと、その重みに敏感に反応し、「お返しをしなければ」という義務に似た思いを抱きます。すぐに「ありがとう」と言うのは、その現れです。ですがその一方で、たとえば「お祝いをもらったら半分だけお返しをすること、また、少し時間をおいてからお返しすること」といった慣習もあります。「半分だけ返す・すぐには返さない」というのは、「ちゃんと受け取る」ということの重要さを意味しています。満額ですぐに返すことは「精算」であり、好意や関係性までが文字通り「精算」されてしまうのです。実際、ある文化圏では「親しい間柄では、何かしてもらっても、あまりお礼を言わないのが正しい」という礼儀の感覚もあります。すぐにお礼を言うのは他人行儀で、相手を受容していない、信頼していないと感じさせてしまうのだそうです。

今は「お返しをする」ことよりも「受け取る」ことがずっと重要です。「受け取る」ということは、ある種のアンバランスを残しておく、ということなのだと思います。「お世話になりきる」「甘えきる」ということは、すぐにお金で精算したりするよりも、ずっと人間的に高度な技です。また、そのことを後まで覚えていて、ずっと後になってちゃんと「恩返しする」ことは、さらに高度な精神性を要する営為です。こうしたやり取りが重ねられる時、真に厚みのある人間関係が生まれます。今はそうした人間関係の「種」が蒔かれるようなタイミングなのです。

あるいは、この時期貴方が受け取るものは『ジャックと豆の木』のジャックが手に入れたマメのようなものなのかもしれません。ゆえに、しばらくしなければその「真価」が解らない可能性があるのです。