ロールケーキにショートケーキ、日本の洋菓子名品を辿って。

Gourmet 2018.01.21

バウムクーヘンやショートケーキ、モンブランにロールケーキたち。東京を中心に、20世紀を代表し、いまなお愛される洋菓子を、おいしさの秘密とともに紹介。

1919年

ユーハイム の バウムクーヘン
創業者のカール・ユーハイムは、第1次世界大戦の捕虜として来日し、日本で初めてバウムクーヘンを焼いたドイツ人菓子職人。横浜で開業後、神戸に本店を開設した。アーモンドパウダーと国産バターで作る生地と焦げ目の層を木の年輪のように重ねた、素朴な味わいのバウムクーヘンが大好評。卵黄の乳化作用や卵白の起泡性を生かした、伝統製法で作られている。

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定番はホールタイプの「バウムクーヘン20」¥2,160/ユーハイム


1924年

コロンバン の ショートケーキ
ケーキの代表選手ショートケーキは、コロンバン創業者の門倉國輝が考案した日本独自のもの。1920年代に渡仏した彼は、パリのコロンバンで本格的なフランス菓子の製法を究めたうえで、日本人の味覚に合うケーキを開発。口どけのよいスポンジ生地の間には生クリームとイチゴが2層挟まれ、素朴な生地の風味とクリームのほどよい甘さ、イチゴの甘酸っぱさが三位一体に。洋菓子店として唯一の宮内庁御用達。

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「ショートケーキ」¥594/コロンバン


1933年

モンブラン の モンブラン
初代社長がヨーロッパで心惹かれた山、モンブラン。その姿を模した「モンブラン」を、帰国後考案。発祥の店だけあり、同店の看板ケーキだ。愛媛県の中山栗のクリームでできた山肌の上に、万年雪に見立てた白いメレンゲがのる。土台のカステラの中にはカスタードクリームと栗の甘露煮が丸ごと1個詰められ、その上にはバタークリームと4種をブレンドした生クリームが。併設のティールームでも味わえる。

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「モンブラン」¥670/モンブラン


1947年

銀座ウエスト のモザイクケーキとリーフパイ
レストランとして創業後、喫茶に転向したウエスト。さっくりとした食感と白ザラメ糖の歯ざわりがクセになる代表作「リーフパイ」は、東北の原乳を使用したフレッシュバターと、小麦粉の生地を256層に折りたたみ、職人が手作業で木の葉の形に成形したもの。ココアスポンジとバタースポンジをモザイク状に組み合わせた「モザイクケーキ」も創業当時からある。

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上から、「モザイクケーキ」¥411、「リーフパイ」5枚入り¥648/ともに銀座ウエスト


1952年

マッターホーン 創業
地元、学芸大学で長く愛される一軒。「ダミエ」は創業当時からの定番。画家、鈴木信太郎のイラストがあしらわれた包装紙も好評。


1965年

成城アルプス の モカロール
「菓子の命は鮮度」と考え、店舗併設のアトリエで菓子作りを続ける、成城の有名店。薄い生地にコーヒーのバタークリームを薄く塗り、何層にも巻き上げたモカロールは、創業時からの名物。しっとりした弾力のある生地の食感は、きめ細かな生地を作り、最適なタイミングで窯から出すという熟練の技に支えられている。どこを切っても生地とクリームのバランスが均一なのは、お見事。

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「モカロール」M ¥1,700/成城アルプス


1968年

ルコント の フルーツケーキとスワンとスウリー
パリの高級ホテル、ジョルジュ・サンクで活躍したアンドレ・ルコントが、1968年に開業した本格的なフランス菓子専門店。現在はルコントの薫陶を受けたパティシエが「万事、フランス流に」という信念を受け継ぎ伝統を守る。スペシャリテは、ラム酒の香るドライフルーツがたっぷり入った

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「フルーツケーキ」。人気のシュークリーム「スワン」「スウリー」も健在。左から、「フルーツケーキ」1本¥2,808、「スウリー」¥454、「スワン」¥378/以上ルコント


1973年

レピドール 創業
創業者の大島陽二は、フランスやスイス、ドイツで修業を重ね、帰国後に同店を構えた。カラメルカフェ風味のロール生地を使った「ルーローモカ」は開店当時から人気。


1976年

西洋菓子しろたえ のレアチーズケーキ
製菓学校を卒業後、フランスで洋菓子を学んだ川越盛一郎が創業。当時のケーキはほとんどが記念日用だったため、本格的なチーズケーキは珍しかったが、ティータイムのお供として徐々に定着。2.5×2×6.5㎝と小ぶりだが、全体の9割に上質なクリームチーズを使った贅沢な配合ゆえ、しっかりした食べごたえ。濃厚ながら甘さは控えめで、ほどよく利いたレモンの酸味が爽やか。

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「レアチーズケーキ」¥260/西洋菓子しろたえ


1984年

ハーゲンダッツ 日本上陸
1961年にニューヨークで生まれ、84年に日本で販売を開始した。厳選素材を惜しみなく使うことで生み出した贅沢な味わいで、市販アイスクリーム界、注目の的に。


1985年

ホブソンズ 日本上陸
ジェラートが日本で広まりつつある中で、1985年にアメリカ西海岸から西麻布に上陸。独自のマシンでミキシングするブレンドアイスクリームが話題になった。


1987年

西洋銀座 の 西洋モンブラン
あまたの有名パティシエを輩出したホテル西洋銀座。ホテルは2013年に閉業したが、シェフパティシエの浦野義也が継承する味と技は、現在も、松屋銀座本店などにある西洋銀座で楽しめる。厳選した2種のマロンペーストと濃厚な生クリームを用いた「西洋モンブラン」は、ホテルが在りし日と変わらぬリッチな味わい。独自の技法で絞り、ひだのように重なったマロンペーストが美しい。

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「西洋モンブラン」¥616/西洋銀座

●問い合わせ先:
ユーハイム 0120-377-816(フリーダイヤル)
コロンバン 0120-55-4282(フリーダイヤル)
モンブラン 0120-63-1181(フリーダイヤル)
銀座ウエスト tel:03-3571-1554
成城アルプス tel:03-3482-2807
ルコント tel:03-3447-7600
西洋菓子しろたえ tel:03-3586-9039
西洋銀座 tel:03-5643-2340

*『フィガロジャポン』2018年12月号より抜粋

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