あなたは平気? 失敗しないためのテーブルマナーガイド。
Gourmet 2018.03.17
海外の人気ドラマ「デスパレートな妻たち」でいかなる時も完璧な妻を貫いたマーシャ・クロス演じる、ブリーバン・デ・カンプ。Photo : Getty Images
マナーが守られなくなっている、特にテーブルマナーがなっていない、という声がよく聞かれる。
しかし、私たちは本当のマナーを知っているだろうか? 礼儀作法の権威ローランス・カラカラが指南する、食事の席でのマナー。
口にものを入れて話す、食事中に携帯電話に出る、メインディッシュを待っている間にパンを頬張る、こういった失態は、さすがに大抵の場合は避けているはずだろう。しかし、礼儀作法の基本はわきまえているつもりでいてもすべてを知っている、と自信を持って言えるだろうか? 『パリジェンヌの礼儀作法』(グラッセ出版)の著者でありジャーナリストのローランス・カラカラによるマナー講義の内容に沿って見てみよう。
“ボナペティ”はもってのほか
「胃腸の中で起こる現象をイメージさせないことが鉄則です」
まずは、招待をする時からさっそく失態を演じないように気をつけたい。「“今夜、わが家に夕飯を食べに来ませんか”という言い方は、すでに間違いです」とローランス・カラカラは忠告する。「 “食べる(manger)”ではなく、“味わう(déguster)”という言葉を使います。あるいは、わが家で朝ご飯でもどうですか、昼ご飯でもどうですか、おやつでもどうですか、夕飯でもどうですかという言い方をしましょう」。“食べる”という言葉は、口にものを入れ、咀嚼し、飲みくだし、消化するということを意味する。
一方、食事の席では、胃腸の中で起きていることについてイメージさせないのが鉄則だ。「同じように、ディナーの前に、“ボナペティ!(よい食欲を)”と言ってはいけません。“ボナペティ!”という表現は、消化の話をしていることになりますから。相手に向かって、“胃の働きがよくなりますように”と言っているのです。むしろ、“おいしそうね”といった表現を使うほうがいいでしょう」とジャーナリストはアドバイスする。
礼儀の15分を守ること
夕飯に招待されたら、何時に相手の家に行くべきか? 招待主に言われた時間の15分後。この慣習は不変だ。「これは礼儀の15分と呼ばれるもの。招待した家の主婦あるいは主夫が、慌てずにもてなしの最後の仕上げに専念できるためなのです」。これは肝に銘じておこう。
前腕はテーブルの上に出して、姿勢を正す
姿勢をよくすることは社交の場で心がけるべき基本的なルールのひとつ、私たちは子どもの頃にそう教わる。そして「それは礼儀作法の初歩です」とローランス・カラカラは言う。「食事中は、必ず背筋をぴんと伸ばすこと。背中を椅子の背もたれにつけてはいけません。前腕(肘ではなく)もテーブルの上に出ているようにしましょう」。
食べ物をナイフで寄せない
「ナイフは肉や魚を切るためだけに使います。それ以外、たとえば野菜やキッシュロレーヌを切るというような場合には、フォークを使います」。皿の上で食べ物を寄せるときも、やはりナイフは使わない。その場合はできるだけ、ちぎったパンを使うこと。
席を外さない
食事中に中座する、これも専門家によると気をつけたいマナー違反だ。「お手洗いはテーブルにつく前。メールや電話は食事の後」と彼女は力説する。「食事の最中に電話に出るのは大変失礼です。招待してくれた人に、相手と食事に参加することよりも大事なことがあるのだと思わせてしまいます」。緊急事態で、数分席を外さなければならない時は、招待主に一言声をかけ、失礼を詫びてから席を立つこと。
フォークは決して皿の縁にかけて置かないこと
食事の最中に皿の縁にナイフやフォークをかけて置いたり、手に持ったままでいるのは、言語道断。「ナイフレストがあればそれを使います。ない場合は、ナイフはテーブルクロスに直接置くようにしましょう」。フォークに関しては、皿の上に水平に置く(食事が終わった時も同様)のがマナー。
食後にナプキンを折り畳まない
「口をぬぐう、というのはごしごし拭くという意味ではありません。口元をそっと押さえ、唇を軽く叩く程度です。特にワインを飲む時には」。次に、ナプキンは食後に決して折り畳まないこと。折り畳むのは、「翌日もまた来て、このナプキンをまた使うつもりだ、という意味になります」したがって、形は気にせず、無造作にテーブルに置けばいい。
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社交の場できらりと光るための次なる指令は? 食事の終わりにはナプキンを決して畳まないこと。photo : istock
ワインを注ぐのは殿方の役目
慣習上(やや時代遅れではあるが)、女性はアルコールの瓶に触れてはならないことになっている。男性、特に招待した家の主人が、招待客のグラスが空になっていないか気を配り、必要な場合は注ぎ足さなくてはならない。「このルールは社交的なディナーでは現在も適用されています」
料理を自分の皿に取るときは分量を控えめに
たとえお腹がすいてたまらない時でも、 食いしん坊と思われないよう、料理を多く取りすぎないこと。足りなかったらもう一度取っても構わない。ただし、チーズは例外。チーズだけは招待主が自分で調理するものではないからだ。「チーズを二度取ると料理が口に合わなかった、それに量が足りなかったという意味になりかねません」とローランス・カラカラは注意する。それでも、「このチーズとてもおいしかったわ。二度取るのはマナー違反だし、今夜はずいぶんごちそうになったけど、このとろりとしたカマンベールには抵抗できないわ」というような気の利いたことを言って、このルールを回避するという手がある。マナーの権威は最後にこう一言。「社交の場では、ルールを知っている、ということが相手にわかればいいのです」
texte : Anne-Laure Mignon(madame.lefigaro.fr)