砂糖ゼロのソフトドリンクは本当に身体にいいの?
Gourmet 2019.05.09
ソフトドリンクに含まれる砂糖などを避けるために、「砂糖ゼロ」と表示された飲み物を購入する人がいる。本当にこれら「ゼロ」表示の飲み物は健康上問題ないのだろうか?
健康維持のために「砂糖ゼロ」を選ぶ人もいる。これらは無害なのだろうか? Photo: iStock
周知のとおり、砂糖やソフトドリンクは節度を持って摂取すべきである。健康維持のため、多くの人が糖分の少ない商品を選ぶよう心がけている。ただ、問題はこれらの飲み物に含まれる砂糖の代わりとなる甘味料もまた体重増加と肥満に繋がるということだ。現在多くの人が「砂糖ゼロ」に切り替えているが、それは本当に解決法となるのか? それとも誤った方法なのだろうか?
砂糖は含まれないが甘味料は含まれる
「長期的に見ると、甘味料も体重増加を引き起こす」 – ピエール・ニス医師
現時点では、科学的根拠が十分揃っておらず、ソフトドリンクにさほど害はないようだ。では問題はないのか? 「甘味料入りのソフトドリンクには、カロリーはなく砂糖同様の甘い味をもたらす物質が含まれます」とパリ在住の糖尿病および分泌学の専門医であり、栄養学者でもあるピエール・ニス氏は述べる。「具体的に言うと、ソフトドリンクに含まれる甘味料の多くは、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、ステビアです」とパリ13大学の栄養疫学研究チーム(EREN)のディレクターであるマチルダ・トゥヴィエ博士は分析する。これらの物質は食欲と満腹感を乱す。
「それらの甘味料は、グレリン(胃から分泌されるホルモンで食欲を増進させる働きがある)の産生を減らす働きはありません。一方、満腹感を与えるペプチドの分泌が活性化されることもありません」とニス博士は語る。
砂糖を含まないソーダなどのソフトドリンクを飲んだとしたら、私たちは満足感がないため、食欲が湧く。「最終的にこれらの甘味料を含むドリンクは体重増加を引き起こす可能性があります」と同氏は警告する。また、表示されていなくても砂糖が入っていることもある。「100mlあたり0.5g以下の砂糖の含有量であれば、表示義務はありません(※フランス国内の場合)」と栄養士のイザベル・ラヴァシュール氏は付け加える。
発ガン性のリスクはあるのか?
ソフトドリンクを定期的に飲むようになると、お菓子を摂取することにつながる。「身体は甘味料が含まれるソフトドリンクに魅了され、砂糖を摂取したときのように反応します」とトゥヴィエ博士は言う。パリ13大学の栄養学者で研究員のシャンタル・ジュリア氏は次のように述べる。「これらの甘味料を含むドリンクを摂取すると、砂糖に対する欲求が止まらず、かえってもっと摂取してしまう可能性があります。長期的には体内に吸収された炭水化物は体内に蓄積し、糖尿病を引き起こす可能性があります」とニス医師は言う。
科学的根拠が十分ではないため、「砂糖ゼロ」のソフトドリンクにはまだ疑問が残る。トゥヴィエ博士は「動物と少人数を対象に行った研究では、アスパルテームに関連したいくつかの発がんリスクが示唆されています」と述べる。
科学者たちはこれらの甘味料とそのほかの添加物を混ぜた場合の作用やコーラ風味のソフトドリンクに添加されるカラメル色素についても疑問に抱いている。これらのまだはっきりしない問題に直面した際、大切なのは節度である。健康の専門家によるアドバイスに基づき、1日1杯程度にしておくのがよいだろう。
texte : Mélodie Castan (madame.lefigaro.fr), traduction : Hanae Yamaguchi