炭酸水についての通説、そのホントとウソを検証。
Gourmet 2018.09.12
炭酸水は普通の水より優れているの? 消化を促進する、ダイエット効果があるなど、さまざまな効能を謳われている発泡性の水。しかし、それらすべてが事実として認められているわけではない。三人の専門家が真偽を検証する。
炭酸水はいいことずくめ? photo:iStock
消化を促進する。
本当。具体的には、炭酸水は便通をよくする。「炭酸ガス、すなわち二酸化炭素は、胃の排出機能を高めて消化をスムーズにします」と、栄養学の専門家であるジャン=ミシェル・ルセールは言う。ただし、空気嚥下症の人やお腹にガスが溜まりやすい人は、炭酸水を飲むと症状が悪化する恐れがあるので、飲まない方がいい。
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食事中に飲むのは避けた方がいい。
嘘。専門家によると、こうした意見を裏づける研究はないという。「食事中にお腹が膨らむ感じがするのは、食べ過ぎか、食べるペースが早過ぎるか。炭酸ガスのせいではありません」と、同じく栄養学の専門家であるアレクサンドラ・ダリュは指摘する。彼女によると、「食事中に水を飲むことはむしろ体のためにいいこと。満腹感が高まるので、結果的に食べる量が減ることになりますから」。
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ダイエットに効果がある。
本当でもあり嘘でもあり、専門家の間では意見が分かれる。先に述べたように、食事中に水を飲むと、満腹中枢に信号が送られる。お腹がいっぱいになった時に発せられるこの信号には、食欲を抑制する作用がある。この意味で、炭酸水を飲むと痩せるという言い方もできると、ルセールは言う。「加えて、摂取した食べ物が消化器内を通過するのを早める効果も、炭酸水にはあります」。
しかし、これは炭酸の有無に関係なく、水全般に言えることだ。ダリュはむしろ、炭酸水に含まれるミネラルに痩身効果があるのではないかと言う。「炭酸水にはマグネシウムや重炭酸塩が含まれています。どちらも脂質の吸収を抑える働きをします。さらに、体重増加を促進させてしまう身体の酸性化(肉、魚、砂糖、ジャンクフード、チーズ、精製された穀物の摂取による影響)を軽減する効果もあります」
一方、栄養士のアレクサンドラ・ミュルシエによると、炭酸水に減量効果はない。逆に「炭酸水には塩分が含まれていることがあるため、食欲が増進される上に、体内に水分を溜めやすくしてしまいます」
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誰が飲んでも大丈夫。
嘘。「炭酸水はナトリウムを含むため、高血圧症を患っている人には禁物です」とルセールは注意を促す。「無塩食療法をしている人や、体内に水がたまりやすい体質の人も、無炭酸水を飲むようにしましょう」とミュルシエも付け加える。
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炭酸水は塩分が多い。
嘘。ルセール曰く、「すべての炭酸水に塩分が含まれているわけではありません。塩分を含むものもいくつかありますが、含有量は適正範囲に収まっています」。それでも心配なら、ナトリウム含有率の低いものを選ぶようにするといいだろう。
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無炭酸水より栄養面で優れている。
嘘。炭酸水でも無炭酸水でも、水にさまざまなミネラルが含まれていることに変わりはない。「無炭酸水も、たとえばカルシウムやマグネシウムを含んでいますから、やはり健康にいいと言えます」とルセールは指摘する。炭酸水の有無にかかわらず、自分の身体に合ったものを選ぶためには、成分表示をよく読むことが大切だ。
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炭酸水だけ飲んでいても大丈夫。
本当。もう何年も炭酸入りの水しか飲んでいないというみなさん、ご安心を。「塩分が過剰に含まれているものは別ですが、消化器官に問題がない限り、毎日飲んでも構いません」とミュルシエは言う。また、ルセールからはこうしたアドバイスも。「さまざまなミネラルを摂取するために、いろいろな種類の炭酸水を飲むようにするといいでしょう」
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人工より天然を飲んだ方がいい。
嘘。「現在のところ、こうした理論を証明する研究は発表されていません」と指摘するのはルセールだ。「確かに、湧水由来の炭酸水はより自然と言えますが、栄養成分上の違いはありません」とミュルシエも言う。
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リウマチや高コレステロール血症などの治療に有効。
本当……だが、ルセールはこう付け加える。「腎臓結石、高コレステロール血症、糖尿病といった、ある種の病気の治療に炭酸水療法が有効とされています。しかし実際は、そうした食事療法をしながら生活習慣全体を見直すことによって、症状が改善しているのです。食事の内容にこれまで以上に気をつけたり、運動をするようになったり、水分をより多く摂るようにしたり……単純に、そうした心がけの賜物ではないでしょうか」
texte : Louise Ballongue (madame.lefigaro.fr)