東京で食べるイタリア郷土料理。#01 【イタリア郷土料理】シチリアの海の恵みを召し上がれ。
Gourmet 2019.09.22
発売中の「フィガロジャポン」本誌11月号は、イタリア特集! それぞれが個性的な町や村がモザイクのように煌めく、イタリアの魅力がぎゅっと詰まった一冊です。オンラインでは、東京のイタリア料理店でいただける、イタリア10州の郷土料理をフィーチャー。シチリア州からは、代表的な料理のひとつであるカジキマグロの炭火焼きをご紹介。
シチリア州「カジキマグロのパレルモ風炭火焼」
トラットリア シチリアーナ・ドンチッチョ(渋谷)
「カジキマグロのパレルモ風炭火焼」¥2,700。肉厚のカジキマグロは、しっとりとジューシー。シチリアの代表的な料理のひとつで、「トラットリア シチリアーナ・ドンチッチョ」ではパン粉もシチリア産を使っている。
地中海の十字路に位置する島、シチリア。古くから戦略的な重要拠点であったため、アラブやスペイン、ノルマンなどさまざまな民族の支配下に置かれた歴史があり、このことは、シチリアの食文化に大きな影響を与えている。なかでもアラブの影響は色濃く、シチリア料理でよく使われる柑橘類やピスタチオ、乾燥パスタ、そしてマグロ漁法などはすべてアラブ人によって伝えられたものだ。
「地中海で獲れる海の幸が豊富で新鮮。イワシやマグロ、ウニもよく食べますね。また、燦々と輝く太陽の恵みのおかげで、ナスやトマトといった野菜が豊富でおいしいことも特徴でしょうか」
こう語るのは、都内におけるシチリア料理店の草分け的存在「トラットリア シチリアーナ・ドンチッチョ」の石川勉シェフ。シチリアの名店「チャールストン」で研鑽を積んだ石川シェフの料理は、「カジキマグロの燻製のカルパッチョ ルッコラ オレンジ ウイキョウ」や「イワシとウイキョウのカサレッチェ」など、シチリア色満載だ。
「ピスタチオとボッタルガ、ブジアーティ」¥2,400。クルクルとねじれた形をしたパスタのブジアーティは、生地を竹串に巻いて作る。シチリア島西部の街トラパーニ近郊の伝統的なパスタだ。
石川シェフによれば「シチリアではカジキマグロは高級魚。肉のようにステーキやグリルにしたり、煮込んだりといろいろな調理法で食べる」とか。「カジキマグロのパレルモ風炭火焼」もそのひとつ。オレガノやペコリーノチーズ、オリーブオイルにトマトソースなどを混ぜた香草パン粉をカジキマグロにまぶし、炭火焼きにした一品だ。
また、パスタは乾燥させたものが主流。S字形の断面が特徴の、シチリアの伝統的なショートパスタ、カサレッチェもぜひ試してみたい。
2006年にオープンした、シチリア料理店の先駆け的な一軒。グランドメニューから本日のおすすめまで、メニューは豊富。コースはなくアラカルト中心。何を食べてもおいしいが、ことにトマトソース系パスタは秀逸だ。
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photos : KAYOKO UEDA, texte : KEIKO MORIWAKI