おうちご飯が楽しくなる、テイクアウト日記。#04 料理人の創意工夫を凝らした、テイクアウト5選。
Gourmet 2020.05.25
外出自粛要請に伴い、多くの飲食店がテイクアウトを実施中。大好きな行きつけから、予約の取れない人気店、近所の隠れた名店まで、フードライターが自らテイクアウトしたおすすめをご紹介。今回は連載「今宵もグルマンド」をはじめ多くのレストランや料理人の取材を行う森脇慶子さんによる5軒。テイクアウトをおいしく味わう工夫を詰め込んだ逸品を堪能したい。
選・文/森脇慶子(フードライター)
1. うぶか(荒木町)
エビとカニを贅沢に使った太巻き。
「タラバ蟹と車海老の天ぷらの太巻き」1本¥5,000、ハーフ¥2,500
甲殻類専門の日本料理店として食いしん坊にはつとに知られた荒木町の人気店「うぶか」。さまざまな種類のエビやカニを多彩な手法で調理、甲殻類の新たなおいしさを楽しませてくれる同店の新たなテイクアウトメニューがこの太巻きだ。先日まで提供していた甲殻類のカレーに続き、こちらもこの店らしく具に活け締めのタラバガニと車エビがぎっしりと入っている。
「5月12日から時間短縮で店の営業を再開したので、作りたての弁当をお渡しするのが難しく、ならば作り置きしていてもおいしく食べていただけるようにと太巻きにしました。これなら、作りたてより具と酢飯が少しなじんだくらいのほうがおいしいですからね」とは店主の加藤邦彦さん。カリッと揚げた車エビの甘味が、塩茹でにしたタラバガニのインパクトに負けずに寄り添い、自家製のエビオイルて作るエビマヨが隠し味。甘味を控え出汁を加えて品よく仕上げた卵焼きがいわば繋ぎ役で、全体をソフトな味わいにまとめあげている。価格は1本¥5,000、ハーフ¥2,500。お酒とのセットは今錦の生原酒4合瓶(+¥1,500)や、シャンパンのアンドレ・クルエのハーフ(+¥4,000)もある。
東京都新宿区荒木町2-14 アイエスⅡビル1階
tel:03-3356-7270
営)17時~20時 ※テイクアウトの引き渡しは15時~18時(5/25現在)
休)日、祝
予約方法:前日までに電話にて要予約。
https://ubuka.jp
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2. 焼肉ステーキあつし(西麻布)
熟練の肉職人が手がける焼肉弁当。
「加藤牛肉店 特選山形牛焼肉弁当」¥3,240
牛肉の目利きと肉を捌く技にかけては一流の料理人も一目置く肉職人、加藤敦さん。1930年(昭和5年)創業の精肉店の3代目でもある彼が手がけた初の焼肉店が西麻布「焼肉ステーキあつし」だ。エサと水にこだわり、飼育日数も32カ月以上という山形牛の処女牛のみを扱う同店の隠れた人気商品が、この「特選山形牛焼肉弁当」。3種類あり、希少部位のトモサンカク(内モモの一部)やザブトン(肩ロースの一部)などを使う霜降りバージョンと、カメノコやシンシン(ともにモモ肉の一部)などを使う赤身バージョン、そしてそのミックス。今回いただいたのはトモサンカクを使った霜降りバージョン。
料理を任されている栗原正人料理長によれば「冷めても脂を気にせずおいしく食べられるよう、余分な脂を落とすようにして焼いている」そうだ。が、それでもなお噛んだ瞬間に滲み出る肉汁の豊潤さ、食後感の軽さは特筆もの。上質な牛肉なればこそだろう。弁当用にやや甘めに味付けしたタレと手切りゆえの厚みのある肉との絡みも絶妙。ご飯との一体感も完璧だ。
東京都港区西麻布1-10-7 Nishiazabu FTⅡビル1F
tel:050-3134-3829
営)17時〜00時(5/25現在)
休)日
予約方法:
www.yakiniku-atsushi.com
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3. 玉春(自由が丘)
毎日食べたい、中華麺とおばんざい。
「炒飯」(¥280)と「春雨サラダ」(¥380)、「薬膳湯麺」(¥1,000)、「八種餃子(焼きまたは水)」(¥1,000)。炒飯は日替わりで、この日は鶏の佃煮炒飯。
この5月10日にオープンしたばかりのニューフェイス「玉春」。中華そばとおばんざいが看板メニューの店だけに、「春雨サラダ」や「手羽揚げ」、「ニラ玉」などなど毎日食べても飽きない小皿料理が満載。これらをほぼすべてテイクアウトできるうえ、1パック¥280〜¥500ほどのお手軽価格。まさに近所にあったらうれしい一軒だろう。しかも、中華そばもお持ち帰りOK! 具と麺、スープは別々にパッケージされており、自宅では麺を茹でるだけ。
「沸騰した湯で、1分30秒から2分程度茹でてください」とは岡田三郎シェフ。国産全粒粉の麺は、しなやかなコシとほどよいもちもち感が後を引く。老鶏やモミジ(鶏足)、豚の皮、豚足などでとるコラーゲンたっぷりのスープとの絡みも上々。いわゆるラーメンと中華料理の麺との中間をいくあんばいのよさはさすが。また、ナツメやクコの実、ハスの実、トウキ(当帰)、カソウカ(夏草花)入りの薬膳スープが滋味豊かな「薬膳湯麺」は、薬膳マイスターの資格を持つ岡田シェフならではの逸品だ。また羊肉フェンネルや牛タン、豚ニラなど8種類揃う餃子もおすすめ。100%手作りで皮も手打ち。しかも牛タン餃子の皮には黒胡椒、チーズ餃子の皮にはパルミジャーノ入りと具材に合わせて皮も色とりどり。8種類の盛り合わせもある。
世田谷区奥沢6-33-14
tel:03-6432-1390
営)11時30分〜20時L.O.(5/25現在)
無休
予約不要、売り切れ次第終了。
https://kiwa-group.co.jp/tamaharu
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4. 鮨 在(広尾)
革新的な鮨店の、豪華なバラちらし。
「特選バラちらし」¥8,000
カスゴ(タイの稚魚)の昆布締めやコハダなど江戸前の伝統的な握りから、ノドグロの手巻きといったいまどきの一品まで、機知に富んだ鮨やつまみで評判の広尾「鮨 在」。オープンして1年目の同店が新たに始めたのが、バラちらしや太巻きといったテイクアウトメニューの数々だ。
なかでも、トロやウニが入った豪華な「特選バラちらし」は、同店ならではの鮨ダネが満載! アナゴや車エビといったバラちらしの定番から本マグロの赤身やいまが旬の桜マスの漬けのようにひと捻りしたものまで、約10種類がぎっしり。どこから箸をつけようかと迷ってしまいそうな艶やかさだ。持ち帰り用にやや柔らかめに炊いた鮨飯には、カンピョウやゴマを混ぜ込む手間も心憎いばかり。焙じ茶風味の卵焼きが存在感のある「太巻き」(¥4,000)もおすすめ。
東京都渋谷区広尾5-3-13 Barbizon86 5F
tel:03-3446-1134
営)18時~20時(月) 12時~14時、18時~20時(火~土) ※テイクアウトの受付は10時~19時、引き渡しは14時~20時(5/25現在)
休)日曜を中心に月8回
予約方法:電話にて要予約。売り切れ次第終了。
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5. チプーン(オンラインショップ)
ヘルシーで絶品、ヴィーガンラーメン。
「ヴィーガンヌードル」(具付き)¥980
肉や魚、卵、乳製品など動物性の食品は一切使わないヴィーガン料理。ヘルシーそうだけど味気ないのでは?と思っている方も多のではないだろうか。そんな懸念を払拭してくれるのが、原宿「チプーン」の「ヴィーガンヌードル」だ。モダンチャイニーズの先駆者である銀座「レンゲ」の西岡英俊シェフが手がけただけに、何といっても旨味のバランスが見事。「香味野菜をベースに羅臼昆布で底味を支え、煎り大豆や干しシイタケで旨味に奥行きを与えています」とのこと。
その言葉どおり、あっさりとしたなかにも舌にじんわりと残る味わいの余韻は深く、もちろん化学調味料は無添加。隠し味のレモンの酸味が全体の味を引きしめている。いっぽう、自家製ラー油の風味が食欲をそそる麻辣味の「ベジタブルタンタンヌードル」は花椒の香りが食欲を刺激。辛味と旨味のバランスのとれた秀作。現在は店舗が休業中のため、オンラインショップを利用して自宅で味わいたい。
「ベジタブルタンタンヌードル」(具付き)¥980
http://shop.chipoon.tokyo
※この記事に記載している価格は、軽減税率8%の税込価格です。
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photos et texte : KEIKO MORIWAKI