いつかの旅に思いを馳せる、夏のスイーツレシピ。#02 ハノイで出合った新感覚の「チェー」を自宅でアレンジ。
Gourmet 2020.08.28
ヴァカンスに出かけない人も多かった今年の夏。ヴァカンスをイメージしながら、家でスイーツを手作りしてみるのはいかが? 旅好きな料理のプロたちが、それぞれ思い出の地で味わったサマースイーツのエピソードをたどりながら、おうち時間に簡単に手作りできるアレンジレシピを公開! ベトナム、インド、バスクなどの旅にも精通する料理研究家・植松良枝さんの思い出のひと品は、ベトナム北部・ハノイで出合ったベトナムスイーツの代表格、チェーに、旬のフルーツをふんだんに使った一品。
盛りだくさんのフルーツとザクザクの氷がポイント。
「フレッシュフルーツのチェー」
植松良枝(料理研究家)
このチェーに出合ったのは15年ほど前のこと。それまでは煮豆や寒天などが入ったチェーしか知りませんでしたが、知人に「ハノイにフレッシュなフルーツメインのチェーを出す店ばかり並ぶ通りがあるよ」と教えてもらったことがきっかけです。現地では“ホアクアザム(ホアクア=果物、ザム=つぶす・混ぜる)”と呼ばれているこのチェーは、ミックスフルーツをグラス7分目くらいまで詰め、ココナッツミルク、コンデンスミルクを入れて氷を盛り、全体をよく混ぜながら食べるスタイル(写真左側)。ジャックフルーツやドラゴンフルーツ、釈迦頭(シャカトウ)など、日本ではなかなか食べられないフルーツも入っていて、何よりどのフルーツの味わいもクオリティが高いのには驚きます。ベトナムの食文化の豊かさを体感させてくれた忘れられない味。旬のねっとり系フルーツ(バナナ、アボカド、マンゴー)とイチゴのソースでアレンジしてみました。ねっとり系フルーツはマストで入れるのがポイント。なかでもアボカドがよい仕事をしてくれます。あとは春ならイチゴやメロン、夏ならブルーベリーやナシ、スイカ、秋ならイチジクやカキ、リンゴなど好みのフルーツでアレンジも自在です。
〈材料 作りやすい分量〉
●ミックスフルーツ
アボカド、マンゴー、バナナ(この3種はマスト) 各適量
季節ごとのフレッシュフルーツ(キウイ、パイナップル、スイカ、ドラゴンフルーツなど)3〜7種 各適量
●イチゴソース
冷凍イチゴ 100g
グラニュー糖 50g
●トッピング
コンデンスミルク 適量
バジルシード 適量
ココナッツミルク 適量
クラッシュアイス 適量
〈作り方〉
1. 冷凍イチゴとグラニュー糖を小鍋に入れて弱火で軽く煮詰め、イチゴソースを作る。そのまま冷まして、しっかり粗熱をとっておく。
2. フルーツはそれぞれ1.5センチ角にカット。ボウルでさっくり混ぜ合わせる。
3. グラスの底にまず1を適量入れ、その上に2を入れたら、ふやかしたバジルシードをトッピングする。
4. 3にココナッツミルク、コンデンスミルクをそれぞれ適量をかける。
5. 4の上にクラッシュアイスをこんもりとのせ、さらに上からコンデンスミルクをかける。
6. スプーンで全体を混ぜながらいただく。
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memories of my trip
ベトナムの思い出の味と風景。
ローカルが通う、ハノイの人気フルーツパーラーで食べたフレッシュフルーツのチェー。コンデンスミルクたっぷりの甘いヨーグルトと旬のフルーツをうつわに盛り、氷をかけて混ぜ合わせて食べるスタイル。
ホーチミンでも、中心部のベンタイン市場内にチェーのお店が集まる一角を発見。左から、バインフラン(ベトナムプリン)とチェー。
料理研究家。自家菜園で野菜やハーブを育ててきた経験から、旬の食材を生かした季節感あふれるレシピを提案。雑誌や書籍のほか、料理教室やイベント、レストランのプロデュースなど幅広く手掛ける。旅好きとしても知られ、国内外の旅で得たその土地ならではの料理や雑貨をセンスよく取り入れたレシピやライフスタイルも人気。著書に『とれたて野菜レシピ 菜園発、おいしい120品』(NHK出版刊)、『春夏秋冬ふだんのもてなし 季節の料理のヒントとレシピ』(KADOKAWA刊)、『春夏秋冬 土用で暮らす。』(主婦と生活社刊)などがある。今秋『ヨヨナムのベトナム料理』(文化出版局刊)を刊行予定。
Instagram : @uematsuyoshie
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