東京美的デザイン空間案内。

料理家の思いが詰まった食とうつわのセレクトショップ。

特集

建築、内装、そこで働く人が作り出す、美しい空間。そこに足を運べば、ショッピングだけではない特別な体験ができる。食とうつわの素敵なセレクションに出合えるのがここ、フードフォーソートだ。

料理家が選んだ食のアイテムが映える、柔らかな黒。

フードフォーソート

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広さ30㎡ほど。炭を塗りこんだダークグレーの壁と漆黒のカウンターが、黒子のように白いうつわや銀器を引き立たせている。柔らかい光を落とすアンティーク調の照明は、福井県のガラス工房製。

 代々木上原駅から歩いて10分ほど。住宅街の中に料理家の渡辺有子がオープンしたセレクトショップ、フードフォーソートはある。レシピ本や文章などの一方通行の料理提案ではなく、双方向のコミュニケーションをとりたという思いから2015年に始めた料理教室のアトリエと同じ名前。

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ショップと同じ通り沿いにあるアトリエは、食材や料理のための清潔な白の世界。約5mもある継ぎ目のない人工大理石の調理台は圧巻。同じ高さに作ったステンレスの作業台など随所にこだわりを詰め込んだ。

「食べることから心豊かな暮らしを探る、という活動の延長であり、うつわまで広がったのがこの店」と言う。だからアトリエと同じインテリアデザイナー、片山正通に依頼した。

 何より印象的なのは、洞窟か蔵の中を思わせる黒の空間。そして黒の漆喰でできた大きなL字型のカウンター。
「料理とのつながりを大切にしたくて、昔の台所に当たる“おくどさん”をイメージしてお願いしました」

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昔の日本家屋に見られる板戸を配したような外観。一見では何の店かわからない。

食器をディスプレイする舞台として黒は思いつきにくい色だけれど、それを聞いて納得。細部にいたるまで思い描いたイメージをデザイナーに伝えながら作り上げていったという内装は、職人泣かせでもあった。漆喰は通常、壁面に使うもので、加重がかかるテーブル面には向いていない。強度を保証できないと一度職人に断られたという。それでも譲れなかったのは漆喰の持つ柔らかさを取り入れたかったから。そのカウンターには、年に2回渡仏して蚤の市やブロカントで探す日常使いの白い磁器や、自身でも愛用する日本の作家もののうつわを中心に、アトリエで作るジャムやチョコレートも並ぶ。

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色みと質感、丸みを帯びた仕上げで、黒でも柔らかな表情。壁にかかる大竹利絵子の木彫りの天使も温かみを添えている。

 アトリエで料理を学ぶとうつわが欲しくなる。店でうつわを見ると料理を習いたくなる。どちらも「生活のヒントになる場所」。ここに行けば、丁寧な暮らしに近づけそうな気がしてくる。

フードフォーソート
Food for Thought

東京都渋谷区上原2-33-4
営)11時~19時
休)月、火
tel:03-6416-8294
http://520fft.tumblr.com

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*『フィガロジャポン』2018年6月号より抜粋

photos : YASUYUKI TAKAGI, réalisation : KANAE HASEGAWA

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