新緑の季節、おいしいコーヒーを屋外でも。

室内はもちろん、屋外でも淹れたてのコーヒーを味わえる最新プロダクト、「アメリカンプレス」を紹介しましょう。

新緑の美しい季節の到来。爽やかな風を感じながら屋外で過ごす時間を、ただいま私も楽しんでいるところです。休日には自転車で近くの公園へ。仕事のミーティングや取材も、カフェのテラス席で行うことが増えてきました。このように屋外で過ごす際にも、淹れたてのコーヒーを手軽に味わうことができるのが、アメリカンプレスです。

coffee-01.jpgPhoto: Courtesy of Ark Trading

その名が示す通りにアメリカの製品で、日本では今春、発売が始まったばかり。ちょうどその時、日本の代理店であるアークトレーディングの宮崎純子さんに見せていただく機会があり、デザインと操作方法のいずれにおいても気になってしまいました。私たちに身近で歴史も長いコーヒーであるだけに、すでに多くのデザイナーがコーヒーに関するデザインを手がけていますが、かつてなかった工夫がされていたのです。

170515-coffee-02.jpg Photo: Courtesy of Ark Trading

その名や姿を目にして、コーヒーの抽出方法のひとつであるフレンチプレスを思い浮かべる方も多いかもしれません。「押す」行為は共通しますが、抽出の仕方はフレンチプレスとはまったく異なるものでした。

開発者は、物理学を専攻した後にデザインを学んだ、アレキサンダー・アルバニーズ。彼の着想は、日々過ごしていた大学の研究室にありました。「教授や友人たちが研究室やスタジオで使っていたのはフレンチプレス・コーヒーメーカーだったんですが、コーヒーポッドの底にいつもコーヒーかすが残っているのが気になっていました。皆、きれいに洗うのが面倒だったんですね」とアレキサンダーは話します。

そこで彼が考案したのは、コーヒーを淹れる際にコーヒーの粉をポッドに封じ込めること。1年間の試行錯誤の末に試作品をつくりあげると、ポッドの手入れが簡単であるだけでなく、コーヒーの「おいしさ」そのものに彼自身が驚かされたのだとか。さらに改良を重ね、みごと製品として完成させたのが昨年のこと。コーヒーのスペシャリストたちも、アメリカンプレスの特色を称賛しています。

そうしたスペシャリストのひとりで、コーヒーの魅力を伝え続けている「Onibus Coffee(オニバスコーヒー)」代表の坂尾篤史さんに先日お会いし、坂尾さん直々に、アメリカンプレスでのコーヒーの淹れ方を教えていただきました。

170515-coffee-03.jpg Onibus Cofee 中目黒店。Photo: Noriko Kawakami

まずは弾いた豆を「密閉式ポッド」に詰めます。熱湯を注いだ容器にポッドを入れ、プランジャー(ハンドル)を少し押します。蒸らす時間をとらなくてもおいしいコーヒーを淹れられるようになっているのですが、薄めの味が好みなら30秒ほど、しっかりした味が好みなら1分30秒ほど、そのままに。

豆の種類や焙煎、挽き方など、コーヒーの好みに応じて蒸らす時間を調整することで、自分好みの味を楽しめるのがアメリカンプレスの特色なのです。この日、エチオピアのコーヒー豆を選んでくれた坂尾さんは、蒸らし時間を3分ほどとっていました。

170515-coffee-04.jpg

170515-coffee-05.jpg

170515-coffee-06.jpg photo: Noriko Kawakami

その後プランジャーを下げて、ゆっくりプレス。フィルターからじわじわっとコーヒーが抽出されていきます。この圧力抽出の様子は、フレンチプレスよりむしろエスプレッソマシンに近いのかもしれないと感じました。

170515-coffee-07.jpg

170515-coffee-08.jpg

「アメリカンプレスは豆にお湯が浸透するのがポイントです。また、ゆっくり抽出することで、コーヒーのコクや味わいを均等に淹れることができます」と坂尾さん。「淹れたコーヒーには油分が残り、コクもあります。ステンレス製のフィルターを使いながらも、シルキーな舌ざわりのコーヒーであることも特色です」

オニバスコーヒーでは、サステナビリティを考え、トレーサビリティも明快なスペシャルティコーヒーに一貫してこだわっていますが、そうした「スペシャルティコーヒーにもあう器具」と坂尾さん。こうした味に加えて、デザイナーのアレキサンダーが当初からこだわっていた「コーヒーの粉を簡単にとりだせる仕組み」がしっかりと実現されているのです。

170515-coffee-09.jpg

この日、コーヒーに関する楽しい話や、坂尾さんがこの道に進んだきっかけも改めて伺いました。「20代のとき、ワーキングホリデーでオーストラリアに3か月滞在するなかで、飲んだことのなかった風味豊かなコーヒーに出会ったのがきっかけです。カフェで一日が始まるコーヒーカルチャーそのものにも興味を持ちました」と坂尾さん。

「コーヒーに精神的な豊かさを感じました」。さらにアジア各地を2年かけて旅するなかで、人と出会える場所となるカフェの醍醐味を強く感じ、コーヒーを通して精神的な豊かさを伝える仕事に就きたいと考えたそうです。

その坂尾さんが2012年に立ちあげたオニバスコーヒーでは、「コーヒーを味わう時間を自宅でも」と、厳選したコーヒー豆の販売も行っています。またこのアメリカンプレスの販売も。おいしいコーヒーを味わえる器具を活かして、コーヒーの奥深い魅力をぜひ味わってみてください。

170515-coffee-10.jpg

オニバスコーヒー中目黒店。鈴木一史さんが手がけた空間にはNUBの家具が置かれています販売されているコーヒーカップはイイホシユミコさんによるオニバスコーヒーのオリジナルカラー。

これからの季節、アイスコーヒーという味わい方もありますね。アークトレーディングのサイトでは、アメリカンンプレスを用いた夏のコーヒーレシピも紹介されていく予定だそうです。皆さん、どうぞ楽しいコーヒータイムを!

170515-coffee-11.jpg

170515-coffee-12.jpg Photo: Courtesy of Ark Trading

●問い合わせ先
アークトレーディング
tel:06-6443-8177
www.arktrading.jp/americanpress

オニバスコーヒー
tel:03-6321-3283 
www.onibuscoffee.com
 
アメリカンプレス ワークショップ
日程:6月30日(金)
場所:タイム堂
京都府京都市上京区春日町426−2
www.timedou.com

祇園祭直前の夏に向けて、アイスコーヒーをアメリカンプレスで抽出する方法を石田謙介氏をゲストバリスタとしてお迎えし、プロのバリスタから直接学ぶことができます。また、京都ならではの日本茶の抽出デモも紹介される予定です。イベントのお申込みや今後の他の予定は、下記アメリカンプレスのフェイスブックをご参照ください。
www.facebook.com/americanpresscoffee

Noriko Kawakami
ジャーナリスト

デザイン誌「AXIS」編集部を経て独立。デザイン、アートを中心に取材、執筆を行うほか、デザイン展覧会の企画、キュレーションも手がける。21_21 DESIGN SIGHTアソシエイトディレクターとして同館の展覧会企画も。

http://norikokawakami.jp
instagram: @noriko_kawakami

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

フィガロワインクラブ
Business with Attitude
キーワード別、2024年春夏ストリートスナップまとめ。
連載-パリジェンヌファイル

BRAND SPECIAL

Ranking

Find More Stories