ミラノデザインウィーク開幕、アルマーニ / シーロスでは安藤忠雄展。

デザイン・ジャーナル

ミラノサローネ(国際家具見本市)、ミラノデザインウィークが今年も開催されました。最新デザインはもちろん、意欲あふれるさまざまな提案に出会うことができ、創造の力にたっぷりと触れられる1週間です。

190412-armani03.jpg

熱気に包まれるなか、ミラノ市内の「アルマーニ / シーロス(Armani / Silos)」では、安藤忠雄さんの個展が始まりました。本人が設計した建築が会場となっていることでも話題となっている展覧会です。

日本人の深い感受性、そして安藤さんの建築哲学と緻密な空間構成に感銘を受けていたと述べるアルマーニ氏。彼に多目的空間の設計を依頼したプロジェクト「アルマーニ / テアトロ(Armani / Teatro)」は 2001 年に完成、さらにその近くに2015年、今回の展覧会会場であるシーロスが完成しました。

190415-ando04.jpgphoto : Delfino Sisto Legnani e Marco Cappelletti 

「彼の感性は私が求めるものにとても近い」とアルマーニ氏。「安藤忠雄の建築では、鉄、コンクリートといった質量のある物質が、人々を歓喜にいざなうものに変化させるように感じる。彼の光の使い方、その空間を特徴づける構成の組み立て方がすばらしい」とも。

「彼は誰もが認める美しい感性をもった稀代の建築家。アルマーニ / シーロスという、簡素で洗練された心に訴えかける創造空間は、彼の仕事を披露するのに最適な場所だと考えました」

190415-ando02.jpgphoto :  Delfino Sisto Legnani e Marco Cappelletti

「半世紀にわたる建築の挑戦」と安藤さん自ら語る活動の軌跡は、「空間の原型」「都市への挑戦」「風景の創造」「歴史との対話」というセクションでの構成に。東京の国立新美館とパリのポンピドゥー・ センターで開催されて好評を博した個展がこのために構成されての開催です。

活動の原点ともなる住宅「住吉の長屋」や30年近く関わる「直島の一連のプロジェクト」、パリで進行中の「ブルス・ドゥ・コメルス」まで、色鮮やかで魅力あふれるドローイングを始め、模型、写真が展示されています。

---fadeinpager---

今回は、アルマーニ / テアトロ(2001年)の展示が加わりました。テアトロで行われるコレクションのショウの映像、アルマーニ氏との写真も。

190412-armani01.jpg

「私は永く残る建築をつくりたい。それは物理的な意味ではなく、人々の心に永く生き続ける建築ということ」。安藤さんが本展に際して述べていたことばです。

「建築という仕事は、多くの条件と課題に直面する。その課題をどうやって乗り超えるか、そこでさまざまな事象との対話が生まれます。私はこの対話によって、とどうしたら人々の心の本質に訴える建築を生み出せるかと考えています」

「答えはひとつではなく、プロジェクトによって独自の文脈を読みとらなければなりません。これが今日まで半世紀あまり取り組んできた私の挑戦です。これからも建築をつくることによって、終わりなき挑戦に挑み続けていきたい」

190412-armani04.jpg

街を巡っていくかのように建物内を歩きながら、約50のプロジェクトを目にできる展覧会。私は東京、パリの展覧会をそれぞれ目にしていましたが、アルマーニ / シーロスで目にできたことで安藤さんの創造の魅力を改めて強く実感しました。

---fadeinpager---

190412-armani05.jpg

展覧会会場に入ってすぐの空間には、安藤さんのプロフィールにあわせて、本人による旅のスケッチ、そして写真も。彼の創造の原点ともなってきたのが、旅。東京、パリに続きミラノでの今回の展示を目にしていると、本人の著書でこれまでに読んだいくつかのフレーズが私の頭に浮かんできました。

「旅は不思議に日常を断ち切ってくれる。見知らぬ風土に身を置くと、新たな地平を垣間見ることができる」。「魅力ある風土とそこにちりばめられた宝石のような建築、これらを求める私の旅はまだまだ続くであろう」(安藤氏の著書『旅』(星雲社刊)より)

アルマーニ / テアトロ、アルマーニ / シーロスを手がけた安藤さんが、ここミラノで感じとったものとは何だったのだろう? そうしたことにも思いを巡らせながら会場を進んでいくのも、ミラノ展ならではの醍醐味です。

高い天井、多数の開口部ごしに感じる空間の広がり、壁の表情。安藤建築はコンクリートの打ち放しが特色ですが、ここではイタリアの建築の伝統的漆喰仕上げであるイタリアンスタッコのテクスチャーに。そしていたるところで実感するのが、光の美しさ。壁や床に柔らかな陰影をもたらしています。

190412-armani07.jpg

偶然、会場で知人のイタリア人建築家に会いました。「アンドウの大ファン」と目を輝かせる彼は、アルマーニ / テアトロの模型や図面の前で、「ここを初めて訪れた時に、アンドウの空間に宿る日本の美意識を強く実感した」と感動の様子。「このアルマーニ / シーロスもまた日本的だ。同時にイタリアの空気も心地よく流れている。そこがすばらしいんだ」とも。

展覧会はデザインウィーク以降も続き、7月28日(日)まで開催。会場の2階、3階にはジョルジオ・アルマーニのコレクション展示も目にできます。「挑戦者 安藤忠雄」の世界を存分に味わえると同時に、偉大なるふたりの人物の対話の様子もまた伝わってくるすばらしい展覧会です。

190415-ando01.jpgphoto : SGP

Tadao Ando. The Challenge』
期間:2019 年4月9日~7月28日
場所:アルマーニ / シーロス
Via Bergognone 40, Milan
tel:+39 02 91630010
www.armani.com/silos/jp

川上典李子 Noriko Kawakami

ジャーナリスト
デザイン誌「AXIS」編集部を経て独立。デザイン、アートを中心に取材、執筆を行なうほか、デザイン展覧会の企画、キュレーションも手がける。21_21 DESIGN SIGHTアソシエイトディレクターとして同館の展覧会企画も。
http://norikokawakami.jp

RELATED CONTENTS

BRAND SPECIAL

    BRAND NEWS

      • NEW
      • WEEKLY RANKING
      SEE MORE

      RECOMMENDED

      WHAT'S NEW

      LATEST BLOG

      FIGARO Japon

      FIGARO Japon

      madame FIGARO.jpではサイトの最新情報をはじめ、雑誌「フィガロジャポン」最新号のご案内などの情報を毎月5日と20日にメールマガジンでお届けいたします。