うつわディクショナリー

うつわディクショナリー#27 使う人と一緒に育む小澤基晴さんのうつわ

うつわディクショナリー

こだわりを手放すことで芽吹いたオリジナルの色

日本人が親しんできた色とも、欧米人が親しんできたであろう色とも違う、
独特のブルー、グリーン、イエロー。小澤基晴さんのうつわは、
並んでも買いたいと求める人が増え続ける特別な魅力を持っています。
 
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—小澤さんのうつわは、色とフォルムのバランスが絶妙ですね。
小澤:ブルー、グリーン、イエローというのは、一見、料理と合わせるのに勇気のいる色かもしれません。僕自身も、最初はうつわでこんな色を作っていいのかなって半信半疑だったくらいですから。
 
—そうなんですか。それは意外なエピソードです。
小澤:僕はもともと、釉薬の色の変化に興味があって焼物にのめり込みました。釉薬は、同じ成分でも調合を変えるとまったく違う色を発色する。なかでも変化が面白い鉄釉、飴釉、ブロンズなど渋い焼物を好んで作っていたので、明るい色に挑戦するとなって、なおさら不安でした。
 
—それなのになぜ、色の冒険ができたのですか?
小澤:酸化鉄を成分とする鉄釉というのはすごくユニークで、黒から黄色まで発色する性質があるんです。その色のバリエーションをいろいろと試していた時に、いま「淡黄釉」と呼んでいるマスタードのような色が出て、直感的に「いいかもしれない」と思ったのがきっかけです。もともと釉薬が好きなのに、渋いものという縛りを自分のなかで作ってしまっていたことに気づいて。それではもったいないかもしれない、もっと釉薬を楽しもうと。こだわりを手放すことで、できることがぐっと広がりました。
 
—鉄釉が黒系ではなく黄色に発色するとは驚きです。その後はどう色を展開したのですか?
小澤:次にできたのは「翡翠」と呼んでいるグリーンでした。緑系に発色する銅を成分とする釉薬です。基本的には、もともとやっていたブロンズや粉引と一緒に使って違和感がなく、気持ちよく合わせられる明るい色を探っていくという作業です。その後「すみれ」という名のブルー、今回の個展の新作でもある「ゆかり」という紫にいたりました。シンプルなかたちに僕の色をのせていくことが、僕らしさなのかなと思っています。
 
—ブロンズや粉引を基準にした深い色味だから、料理に合うのかもしれませんね。
小澤:どんな料理に合うかは、使いながら日々、発見していくという感じです。僕自身、料理をすることも、自作のうつわを使うことも好きなのですが、大皿にのせることが多いんですね。だけど、インスタグラムなどで使ってくださる方を見ると、献立とうつわの合わせ方が本当に自由。発想が豊かでびっくりします。
 
—なかでも輪花の豆皿は、たくさんの人が使うことを存分に楽しんでいる人気の品です。
小澤:豆皿は、使うというより、見た目に可愛らしいものが食卓にあってもいいかなという気持ちで作ったんですが、豆料理をのせたり、ひじきをひとくち盛り付けたり、色のあるうつわを王道の和食に使ってくれている人が多いことが新鮮でした。色を増やすにしたがって「輪花三姉妹」といってコレクションしながら使ってくれたり。ままごとみたいな楽しみもあるのかなと、作るこちらもとても嬉しくなります。
 
—使う人と一緒になって日本のうつわの可能性を育んでいるようですね。
小澤:僕が作っているものですが、最終的には使う人のものになって気持ちが積み重なっていくのが理想だし、うつわのあるべき姿だなあって思うんです。そういう意味で、毎日、長く使っていただけたら嬉しいなと思います。
 
※2018年3月27日まで「スタイルハグギャラリー」にて「小澤基晴 個展」を開催中です。
 
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今日のうつわ用語【豆皿・まめざら】
小さな小皿。ルーツは手塩皿。手塩皿とは、古来日本人の食事の形式で箸の脇に置いたお皿であり、塩や醤油、酢などを注ぐもの。食事の形式の変化に合わせて大きさや用途が変わり豆皿となった。
【PROFILE】
小澤基晴/MOTOHARU OZAWA
工房:岐阜県土岐市
素材:陶器
経歴:多治見工業陶磁化学芸術家終了後、製陶会社に勤務。 2005年 多治見市に築窯。2007年 岐阜県土岐市に工房を移転。1974年東京生まれ。

スタイルハグギャラリー
東京都渋谷区千駄ヶ谷3-59-8-208
Tel. 03-3401-7527
営業時間:11時〜20時
定休日:不定休
http://www.style-hug.com
✳展示会開催中のみオープン
✳商品の在庫状況は事前に問い合わせを

「小澤基晴 個展」 開催中
会期:2018年3/24(土)〜3/27(火)
営業時間:11時〜18時(最終日〜17時)
会期中無休

photos:TORU KOMETANI realisation:SAIKO ENA

衣奈彩子

ライター、エディター

「フィガロジャポン」編集部を経て独立。うつわを中心に工芸、インテリア、雑貨など暮らしにまつわる記事を執筆。うつわと食を愉しむ提案をするUTSU-WA?主宰。著書に『うつわディクショナリー』(CCCメディアハウス刊)、『料理好きのうつわと片づけ』(河出書房新社刊)。編集した書籍に『どっちつかずのものつくり』(安藤雅信著・河出書房新社刊)。http://enasaiko.com

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