パリの川村さんちの朝ごはん

アレンジで楽しむ、クレソンとアンディーブのサラダ。

先週末、いつも買い物をするマルシェの生産者さんのスタンドに、紫がかった小ぶりのアーティチョーク(artichaut poivrade)が出ていた。いきなり現れた春に、驚いた。タンポポの葉(pissenlit)も登場した。ほろ苦い春の味わいを口の中に思い出し、心がほころんだ。と同時に、そろそろ季節の終わりを迎える野菜の存在も気になる。売っている間は買い続けるパセリの根は、すでに姿を消していた。アンディーブ(チコリ)もそろそろ下火になるだろうか。

泥付きのアンディーブは果物かと思うほどにみずみずしく、苦味よりも甘みが優る。くたっとなるくらいに火を通して食べるのもおいしいけれど、是非ともサラダとして楽しみたいものだ。

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フランスで定番のアンディーブのサラダは、ブルーチーズと青りんご、それにクルミを合わせる。私も大好きでよく作る。

でもそれ以上に我が家で頻度が高いのは、クレソンと一緒にピーナッツだれで和えるサラダだ。このサラダはとても使い勝手がいい。相性のいい組み合わせがいくつもある。

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今朝、冷凍庫にひとかけだけ残っていたバゲットを見たら、このクレソンとアンディーブのサラダを食べたくなった。ちょうど、出汁を取るために骨つきのまま茹でたほろほろ鳥の胸肉もあるから、加えることにしよう。

もともとは、タレには練りゴマを使っていた。でもあるとき、練りゴマがなく、代わりにピーナッツバターを使ったら、それもまたおいしかった。それからというもの、気分やその日に作る他の料理に合わせて、使い分けている。

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●スタンダードな材料は、
・クレソン
・アンディーブ
・鶏肉

●タレは、
・練りゴマ
・みそ
・砂糖
・塩 (味を見て、加えないことも多い)
・出汁または水
・好みで七味唐辛子だったり黒胡椒だったり

●アレンジは、
・鶏肉 → ほろほろ鳥やターキーでも。豚肉でも。
鶏肉でも茹でたり焼いたり、ローストや唐揚げの残りを加えてもいいし、好みのやり方で。
・練りゴマ → ピーナッツだれ
ピーナッツだれにするとコクが出てアジアっぽいごはんにしたくなる。
・塩 → 醤油、ヌクマム
醤油にして、昆布出汁を加えると蕎麦サラダにぴったりだし、ヌクマムにしてコリアンダーを加えたら途端にアジアンぽい味になる。
・出汁
鶏肉を茹でた茹で汁を、タレをのばすために加えることがほとんど。でも軽めに仕上げたければ、水にするといい。
・辛味アクセント
七味唐辛子、一味を振れば和風に、黒胡椒を加えると途端に異国風になる。

●食べ方
・サラダとして一品料理
・田舎蕎麦と和えて蕎麦サラダ
・ヌクマムで和えコリアンダーと人参のなますを加えてベトナムサンド風
・鶏肉を別添えにして、サラダを脇に盛り、タイ米(鶏の茹で汁で炊いても!)と合わせ、お新香を添えてワンプレートごはん
・中華麺と合わせてライムを搾り、黒胡椒をガリガリ挽いて和えると夏でも食欲が湧く

などなど。

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今朝は、ピーナッツバター(無糖)、みそ、ブラウンシュガー、水、黒胡椒を合わせたシンプルバージョン。ピーナッツバターにちょっと油分が少なかったので、ピーナッツオイルをほんの少し加えた。

このサラダ、食べ応えがあるから鶏肉を入れなくても十分においしい。

最近めったに買うことのないバゲットは、少し前にたまたま通りかかって見つけた9区のスタイリッシュなパン屋さんUnion(おそらく1年少し前にオープン)で買ってみたもの。好みのタイプではなかったのだけれど、気泡が多くとても軽やかで、サンドイッチ向きな印象だったから、このサラダで朝ごはんにぴったりだった。

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バゲットは冷凍していた場合、切れ目を入れず、少し水を降ってオーブン(もしくはオーブントースター)に入れ、焼けてから切り開く。そうするとほわわわーんと湯気が出てきて、その瞬間、幸せになる。中もホワホワで嬉しい。

アンディーブ、日本だとお値段が少し張るだろうから、何か代わりのもの……今の季節なら、うるいとか、どうだろう? と思うのだけれど、どうだろう…?
これがいいかも!ってものが見つかったら、是非、教えてくださいね。

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川村明子

文筆家
1998年3月渡仏。ル・コルドン・ブルー・パリにて料理・製菓コースを修了。
朝の光とマルシェ、日々の街歩きに日曜のジョギングetc、日常生活の一場面を切り取り、食と暮らしをテーマに執筆活動を行う。近著は『日曜日はプーレ・ロティ』(CCCメディアハウス刊)。


Instagram: @mlleakikonotepodcast「今日のおいしい」 、Twitter:@kawamurakikoも随時更新中。
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