丸ごとタマネギで、熱々のオニオングラタンスープ。
明けましておめでとうございます。
本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。
昨年末のパリは、これまでに体験したことのない生ぬるい天気だった。連日、日中の気温は10度を超え、大晦日には日が差し、青空も見えて、最後の最後にもう一度! と盛大に窓を開け放して掃除機をかけたくらいだ。
そんな年の瀬に、ポトフの材料を買った。
ポトフは煮込んだその日よりも翌日の方がおいしいし、一度作れば、その後いろんなものに使い回せる。「お正月の味はもう十分だな」と感じる頃に、ポトフがあったらいいんじゃないかな、と思ったのだ。
私は日本にいた頃、ポトフとは塊のベーコンや太いソーセージ、それに タマネギやジャガイモを入れて煮込むものだと思っていた。時にはキャベツも加えたりして、大学生の時には、実家のオーバル型のル・クルーゼによく作った。
フランスに来てから、本場のポトフは牛肉で作ると知った。
豚骨スープのラーメンを“ラーメン”と認識していたのに、「いや、これが普通のラーメンだよ」と醤油ラーメンを出されたような、それくらい別物に思えた。
牛の肩やら肘やら脇腹肉やらのじっくり火を通して味の出る部位を2つ3つと、ポロネギ、カブ、ニンジンをコトコト煮込み、食べる時には、まず具だけを装って食べ、後でブイヨン(スープ)を楽しむ。
一方で、鶏の ポトフも存在する。プール・オ・ポと呼ばれるそれは、雌鶏で作られ、スープの色は澄んでいる。
昔、この“プール・オ・ポ”を店名に掲げた店で、鶏のポトフのブイヨンを利用して作るオニオンスープを、ラーメン丼ほどの大きなボウルに出していた。若干黄色味がかったほぼ透明で、オニオンスープは茶色いものと思っていたから、初めて食べに行った時には、「これがオニオンスープかぁ」と新鮮な驚きがあった。
出汁が違うこともあるけれど、タマネギを色づくまで炒めないのだな、とも発見した。
それから、家でオニオンスープを作る時には、鶏のスープを加えるようになった。
ただ、アルザス(地方の)料理用語辞典を見ると「オニオンスープはアルザスで生まれた」と主張されていて、それには牛肉でとったブイヨン(出汁)を加えるとある。
普通のレシピ本でも、鶏か牛のブイヨン、と材料欄に書かれていたりするのだけれど、牛肉で出汁をとることは滅多にない。
だから、牛肉版のスタンダードなポトフを作るからには、多めに拵えて、ブイヨンをオニオンスープに活用する。
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お正月に気軽なデザートを作り置きしておこうと思って、フルーツのコンポートを仕込んだ。その際に開けた白ワインも残っているから、ちょうどいい。
オニオンスープでは、ブイヨンと同じくらい、白ワインも存在感が大きいと思う。
エンジン全開になりきっていないお正月明け、タマネギを切らずに済む方法をとることにした。
皮もむかない。
てっぺんをちょっとだけ開いて十字に切り込みを入れ、オイルを振りかけて200度のオーブンで45分ほど焼く。
ナイフがすっと入るくらいに火が通っていたらオープンから出し、鍋にほんの少し油を引いて火にかけ、皮をむいたタマネギを投入し、木べらで軽く潰すようにバラしていく。
そこに白ワインを注いで(大きなタマネギ3つに対して250mlくらい)、グツグツ煮込む。
水分が少なくなったら、ブイヨンを適量注ぎ、10〜15分くらい煮て、塩で味を調節。
タマネギってスライスして炒めると量がかなり減るじゃないですか?
皮ごとオーブンで焼くと水分を含んだまま瑞々しく、厚みもあって、タマネギを具として楽しめると思う。
45分と時間はかかるけれど、他にやることがあるときは、この時間放っておけるのは逆にありがたい。
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今回、勢い込んで作り始めたのに、ポトフのブイヨンが足りないと気づき、ストックしてあった野菜ブイヨンを加えた。
おかげでとても軽やかな優しい味のスープに仕上がった。
年末に買い込んだチーズが、小さいかけらでいくつも残っていたのでそれを乗せて、焼き目をつけることにした。
中に古くなったパンを入れるのも時には良いけれど、私は、カリカリのパンを添える方が好きだ。クルトンと思えるくらいにこんがりとトーストして、それを熱々のスープに浸し、チーズとタマネギを少しずつ載せて、かじる。
マーシュとアンディーブとリンゴのサラダを合わせた。
●今日の朝ごはん
・オニオングラタンスープ
(チーズ:スイスのグリュイエール、プラドゥ(pradoux、オーベルニュ地方のチーズ))
・Brut de Painsのpetit épeautre(ヒトツブコムギ)のパン
・マーシュとアンディーブ、リンゴのサラダ
(クルミオイル、シードル酢、粒マスタード、ハチミツ、塩少々)
*スープの元となったポトフの話をポッドキャストにアップしています。
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