家で子どもと実践できるモンテッソーリ教育メソッド。
Lifestyle 2019.10.24
モンテッソーリ教育をご存知だろうか。この教育の利点を、家庭内で子どもと実践することが可能だという。マリー・ロベール氏によるメソッドを紹介しよう。
自宅でモンテッソーリ教育を実践する方法とは? Photo: iStock
モンテッソーリ教育は、シュタイナーやフレネに並んで非常に人気の高い代替教育法のひとつ。 1907年、イタリアで医師として精神病院で働いていたマリア・モンテッソーリによって考案されたこの教育方法は、特に「発見・センサリー(感覚)教育・自由」に基づいている。
公立学校に失望し、多くの親たちが子どもを別の教育機関に通わせたがっている。モンテッソーリ教育はもともと恵まれない子どもたちを対象としていたが、現代社会では当時のような奨学金は期待できない。
しかし、いくつかのモンテッソーリ教育の原則は、子どもの誕生から家庭内でも日々実戦することが可能だ。南フランス、マルセイユにあるモンテッソーリ・インターナショナル・スクールの教育ディレクター、マリー・ロベール氏のアドバイスを紹介しよう。
子ども部屋を見直す
モンテッソーリの教育学では「整えられた環境」と呼ばれる概念がある。子どもが生まれると、親はその子の最良の発達のため、人生における初めての場所のひとつである子ども部屋を整える。
「子どものために部屋のレイアウトを作る際には、子どもの関心事に重点を置きましょう」とロベール氏は言う。
ではその実践法とは? 0〜3歳の子どもに対して囲いのあるベビーベッドの使用は避け、床にマットレスを敷く。そうすることで限られた場所に閉じ込めないようにする。ハイハイでも取りたいものが手に取れるように、子どもの身長に合った棚を用意する。また、鏡も置こう。これも身長に合わせ、鏡の手前にはバーを設置し、自らそれを掴み、自分の顔を見られるようにしてあげよう。
ちなみに、モンテッソーリ商品もあるが比較的高価である。家庭で手作りしてもよいだろう。
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実生活から学ばせる
マリア・モンテッソーリは「知性は手から生まれる」と述べていました。
– マリー・ロベール氏
コップ一杯の水を片手で上手に飲めないなど、完璧な動作ができなくても、積極的に自分でやらせたほうがよい。「マリア・モンテッソーリは『知性は手から生まれる』と述べていました。子どもにとって使いやすい家具を選び、自主的に何でもできるような環境を整えてあげると子どもたちもやる気が湧きます」とロベール氏は説明する。
親が食事の支度をしている時は、子どもに「注ぐ練習」をさせてみるとよい。テーブルの上にふたつの容器を用意して、たとえばひとつは空っぽのまま、もうひとつにはレンズ豆を入れておく。子どもが使いやすい大きめのおたまを用意し、レンズ豆をひとつの容器からもうひとつの容器に移させる。大きい子ども(6歳くらい)にはまな板にオレンジを置き、切らせて、果汁を絞らせるのもよい。
食卓においては、自分で食事することが多少なりともできるようになったら、ハイチェアはやめて、身長に合ったテーブルと椅子を準備しよう。
仕分けの練習のためには、衣類を色ごとに分けさせるとよい。これにより、自主性と運動スキルが向上する。
3色(赤・青・黄)のものをそれぞれ複数個用意しておく。子どもの脇に座り、簡単な説明だけをして同じ色にグループ化する。その後、同様に子どもにやらせてみよう。これは集中力を養うことに繋がる。
また、子ども自身で住まいの環境を整えられるように食卓や床の掃除を手伝わせよう。そのために床に(テープなどを使って)枠を描き、その中をほうきで掃除するように指示しよう。もし庭がある場合、子どもにジョウロを与え、一緒に植物に水をやったり、枯れ葉をほうきで掃き集めたりしてみよう。
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自分で身支度できる喜びを教える
毎晩、歯を磨こうと子どもを説得してイライラすることから解放されよう。「重要なのは、楽しく喜びを感じながら、清潔にすることの重要性を子どもに理解させることです」とロベール氏は述べる。
子どものための歯ブラシ、歯磨き粉、そしてできれば香り付きのハンドクリームを子ども部屋に置いてておこう。洗面所には子どものための石鹸置き場を作り、もし洗面台に届かない場合には踏み台を設置しておこう。
texte : Ophélie Ostermann (madame.lefigaro.fr), traduction : Hanae Yamaguchi