「赤ちゃんはどこからくるの?」、結局どう答えるのが正解?
Lifestyle 2021.09.06
子どもからの質問で保護者が身構えてしまうもののひとつが、この「赤ちゃんって、どこからくるの?」ではないでしょうか。突然の質問に動揺してしまい、「もう少し大きくなったら説明するね」とごまかしたり、「そんなことを聞かないの!」と叱ってしまったりするかもしれません。中には、私たち保護者世代が子どものころに言われたであろう、「コウノトリが運んでくるんだよ」というウソをついてしまうケースもあると聞きます。保護者向けの性教育サイト「命育」の代表・宮原由紀の著書『子どもと性の話、はじめませんか?』(2021年 CCCメディアハウス刊)から、子どもを導く大人の心構えを抜粋してお伝えします。
長年の疑問、解決します。photo: Daniela Jovanovska-Hristovska_iStock
子どもにとって「赤ちゃんって、どこからくるの?」という疑問は、日常的に投げかけてくるほかの質問と同じです。大人の過剰な反応を子どもは敏感に察知し、性に関する話を「してはいけないもの」とタブー視してしまい、困ったときに相談をしてくれなくなる可能性も。いざというときにうろたえないためにも、伝え方をおさえておくことが大事です。
「どうしてその話を聞きたくなったの?」と聞くと、子どもが何について知りたいかがわかりやすくなります。テレビや動画で出産シーンを見たから、お友達の家に赤ちゃんが生まれたからなど、知りたいと思ったきっかけがあるかもしれません。
幼児期には、事実をシンプルに伝えるのが、おすすめです。性の話がまだ「エッチなこと」というイメージがついていないうちに、ウソをついたり、ごまかさずに事実を伝えることで、案外「ふーん、そうなんだ!」とすんなり納得してくれます。
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伝え方のポイント
それでは、具体的な伝え方を見ていきましょう。
STEP① 最もシンプルな答え方
「赤ちゃんはお母さんのおなかの中で育って、赤ちゃんの通り道、お母さんの腟というところから出くるんだよ」
STEP② 「もっと知りたい!」子には
「男の人の体の中に赤ちゃんのもとが半分あって、女の人の体の中にも赤ちゃんのもとが半分あるよ。男の人の赤ちゃんのもとをおちんちん(ペニスというよ)を使って、女の人の腟という入口から、女の人が持っている赤ちゃんのもとに届けてあげると、女の人の体の中で赤ちゃんになるよ。赤ちゃんが大きくなると、今度は腟が出口になって、生まれてくるんだよ。人間も動物も同じなんだよ」
STEP③ 包括的な答え方
体の構造上では「STEP②」のように生まれてくると伝えつつ、トランスジェンダーや体外受精などの生殖補助医療によって誕生したケースも考慮した包括的な伝え方もできます。
「すべての女の人が腟(男の人の場合は、ペニスなど)を持っているわけではないけれど、ほとんどの女の人が腟を持っているよ」
「女の人の赤ちゃんのもとに、男の人の赤ちゃんのもとを届けるために、お医者さんの助けを借りることもあるよ」
突然の質問に、その場では答えられなくても大丈夫。「必ず調べておくから、少し待っていてね」と、準備をする時間をもらいましょう。性に関する絵本を買ったり、伝え方の練習をしたりしたあとで、「この前、聞いてくれたことなんだけどね」と会話を始めてみてください。「うまく伝えよう」と身がまえず、自分の言葉で伝えるよう工夫してみてくださいね。
『子どもと性の話、はじめませんか? からだ・性・防犯・ネットリテラシーの「伝え方」』
\1,540(税込)
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text: Yuki Miyahara