子どもの自尊心はなぜ大事? 親が知っておくべきこと。

Lifestyle 2021.09.12

From Newsweek Japan

人生で待ち受ける数々の壁を克服するのに必要な自信は、親の愛情と働き掛けで伸ばすことができる。

赤ちゃんの誕生で両親は、予想もつかないほどの喜びに包まれる。わが子が広い世界を発見していく様子を見守ることができるのだ。赤ちゃんが新たな環境に出合い、新しい経験をするたびに──アイスクリームを味わう喜びから、レモンジュースの酸っぱさまで──両親も子どもと共に日々の暮らしの驚きを再発見する。

だが人生はいつも甘い思い出ばかりとはいかず、時に涙は避けられない。年を重ねるにつれ、子どもはクローゼットに潜んでいるかもしれないお化けの恐怖から、初めての失恋、人生初のローンの支払いに至るまで、数え切れない困難を経験する。

人生で待ち受ける数々のストレス要因に立ち向かう上で、唯一の心の防御壁になるのは、健全な自尊心だろう。それは両親がわが子に与えることができる最も重要な遺産だ。

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親が愛情を掛けて見守ってやれば、子どもは強い自信を身に付け新たなことに挑戦する。photo: iStock

「プライドや恥といった『道徳的情動』と呼ばれる感情の兆候は2歳の終わり頃には見え始める」と、トゥレーン大学乳幼児精神衛生研究所のチャールズ・ジーナ所長は言う。「それより前の時期に、自分は大事にされているという感覚を子どもがしっかりと持てることが重要だ。それが将来の自尊心につながる」

強い自信と自尊心を持つ子供に育てる秘訣は、実は秘訣でも何でもない。子どもが大変な思いをしているときに、安心させてやればいいのだ。「大事にして愛情を伝えてくれる保護者がいる赤ちゃんは、そうした人がいない赤ちゃんとは心の状態が違う」と、ジーナは言う。

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人間関係だけでなく知能にも影響。

赤ちゃんは、何か困ったことが起きたとき、大抵は泣くことで周囲にそれを知らせる。保護者が自分の精神的苦痛に対処してくれるだろうということを、経験を通じて学んでいく。

反対に泣き声を気付いてもらえない赤ちゃんは、親や世話をしてくれる人との間に強固な絆を結ぶことができない。徐々に築くはずの自信という名の防御壁が築けなくなる。そして、感情面や認知発達の面で数々の問題が起こりやすくなってしまう。

子どもたちを就学前の年齢まで追跡調査したジーナの研究では、乳幼児期に必要な世話を受けていない子どもは友達との関係がうまくいかない場合が多く、知能テストでも後れを取っていた。

親が子どもの心の中をいちいち掘り下げて理解しようとするのは不可能に思える。でも乳幼児は心の内を何らかの形であらわにするものだから、注意深く見守ればわが子の態度からサインを読み取ることができるだろう。

「自分に満足している子どもはプライドを表に出す」と、ジーナは言う。「何か新しい能力を頑張って身に付けては人に見せたがる」。反対に自尊心の低い子はよく泣き、極端に怒りっぽくていらいらしていることが多い。ただ、朗報もある。自尊心の低い子どもでも、しっかりした世話をしてもらえる環境に置かれれば改善が見られるという点だ。
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自尊心を育む上で親が知っておくべきことがある。「頭がいいね」と子どもを褒めたがる親は多いが、必ずしもいいことではない。「知能を褒め過ぎると、子どもは新しいことに挑戦するのを怖がり、困難に遭うと諦めるようになる」と、スタンフォード大学のキャロル・ドウェック教授(心理学)は言う。

それよりも、知性は努力によって獲得できると教えたほうがいい。学ぶことの大切さを教えれば、子どもは「努力すれば賢くなれる」と考える。「知性や才能は伸ばせると考えている子どもは、困難に直面すると逆に頑張る」と、ドウェックは言う。「そして、最後には成功する」

でも何より、わが子を気に掛ける親に対して最善のアドバイスをするなら、ごく自然なことをしなさい、との一語に尽きる。わが子に愛情を掛けてやること、そして、愛されているとしっかり伝えてあげることだ。

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