E.T. vs メアリー・ポピンズ、イギリスのクリスマスCM合戦。

Lifestyle 2021.11.14

イギリスで毎年恒例のクリスマス広告のシーズンが幕を開けた。毎年好評のジョン・ルイス百貨店だが、2021年のキャンペーンの評判はいまいち。ネットユーザーの間ではドラッグストア、ブーツの広告が人気を集めている。どちらのCMもクリスマスらしいファンタジーだ。

「The Boy and the Piano」「Edgar the Dragon」「Give a Little Love」に続き、百貨店チェーンのジョン・ルイス&パートナーズが今年の新作クリスマス物語「The Unexpected Guest(思いがけないお客様)」を発表した。同百貨店は2007年から毎年クリスマスシーズンに、映画並みのクオリティの広告キャンペーンを展開。バックミュージックにはこれまでエルトン・ジョン、エリー・ゴールディング、リリー・アレンといったミュージシャンたちを起用してきた。以来イギリスでは、消費者の心をつかもうと、多くの企業が広告グランプリのトップの座を狙ってクリエイティビティを競い合っている。

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E.T. 風おとぎ話。

ジョン・ルイスの2021年のクリスマスキャンペーンは、友情と寛容というテーマ。ティーンエージャーのナタンとスカイという名の宇宙人の少女の出会いを描いた。全編に流れるのは、ジョルジオ・モロダーがプロデュースした、フィル・オークリーの1984年の曲「エレクトリック・ドリームズ」のカバーバージョンだ。中学校から帰宅する途中で、ナタンは空から奇妙な形の光る物体が落ちてくるのを目撃する。好奇心に駆られた少年は現場に向かい、家に隣接する森に不時着した空飛ぶ円盤と操縦士のエイリアンを発見する。おりしも、家ではクリスマスの準備が着々と進行中。ナタンは宇宙からやってきた少女に、ツリーや飾りつけや「ミンスパイ」(ドライフルーツのパイ包み)といったクリスマスの伝統的な習慣を紹介する。ただし今回、クリスマスプディングは登場しない。

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”最初の興奮が蘇る魔法のクリスマス”。

スティーブン・スピルバーグ監督が生んだかの有名な「E.T.」の引用と見るネットユーザーもいるが、動画の結末に不満を漏らす人たちもいる。「美しいストーリーだけど、やや空疎で味気ない」といったコメントや、「クリスマスのエスプリが感じられなかった」という人も。とはいえ2018年以来、ジョン・ルイスは立て続けにヒットを飛ばしてきた。なかでも話題になったのは、エルトン・ジョンへのオマージュや、ドラゴンのエドガーというキャラクターが登場したキャンペーン。公式サイト上で同社は、顧客たちの「最初の体験が蘇る魔法のクリスマスを再現」したかったと説明している。がっかりする声もあるとはいえ、ジョン・ルイス&パートナーズが運営するYouTubeチャンネルで11月4日に公開された動画の閲覧回数は、すでに194万回を超えている。

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ジェナ・コールマンと魔法のバッグ。

いまのところ閲覧回数ではライバルに及ばないものの、同じ日にYouTubeで公開されたドラッグストアチェーンのブーツの広告はネットユーザーの心に響いたようだ。タイトルは「Bags of Joy(幸福のバッグ)」。ブーツで購入したバッグをプレゼントに贈られた若い女性(演じているのはドラマシリーズ『ザ・サーペント』でおなじみの女優ジェナ・コールマン)が主人公だ。バッグの中に手を入れた彼女は、すぐにバッグに魔法の力が備わっていることに気づく。コスメ、香水、アクセサリー、おもちゃ、カメラ……この魔法のバッグの力を借りて、彼女は街に出てあちこちでプレゼントの雨を降らせる。消費文化の賛美という面はあるものの、このメアリー・ポピンズ風クリスマス物語にネットユーザーは大喜び。今年はジョン・ルイスに代わって、クリスマスCM王者となりそうな勢いだ。

text :Stéphanie O’Brien(madame.lefigaro.fr)

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