独学のダンスでバレエ界の注目を集める7歳の少年。

Lifestyle 2022.01.04

From Newsweek Japan

文/ラマー・マーシャル(メリーランド州在住)

おじいちゃんがくれたスマホで見たダンス動画が夢への入り口に。7歳のバレエダンサーのサクセスストーリー。

211226-newsweek-15.jpg7歳になったばかりの筆者はバレエ団の公演に出演。 photo: Ramona Graysonon

僕はいま7歳だけど、開脚(スプリット)と空中回転(フリップ)は4歳からやってる。おじいちゃん(僕はポップポップと呼んでる)がくれたスマホでYouTubeのダンスの動画を見ていた。ソフィー・ドッシって女の子の動画を見た。身体を自由自在に曲げるコントーションを独学で覚えて14歳で(人気オーディション番組)『アメリカズ・ゴット・タレント』に出た人。僕は身体が柔らかいけど、彼女はもっと曲がるんだ!

それからYouTubeでもっと動画を見て、家でスプリットやフリップを何度も練習した。できた時はむちゃくちゃうれしかった。ママとポップポップは僕にレッスンを受けさせてみようかと話していた。僕が体操をやりたいっていつも言ってたから。

僕とママは2年前にデラウェア州ウィルミントンからメリーランド州に引っ越したけど、ポップポップはいまもウィルミントン近くに住んでいる。2021年9月にポップポップがつくったコミュニティガーデンのイベントに行った。

ミス・デラウェアのソフィー・フィリップスがガーデンに来て、僕のダンスとフリップを見た。「すごい、レッスンを受けたことは?」と聞かれ、ないって言ったら、彼女は僕が踊ってる動画を自分のSNSでシェアした。バレエの先生を見つけるのを手伝うって。彼女はいい人で、いまは僕の友達だ。

 

身体のやわらかさや運動神経に驚き……マーシャルが躍る様子。Sophie Phillips/Instagram

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側転なら先生よりたくさんできる。


その動画をアクア・ノニ・パーカーっていうダンサーが見て、ウィルミントン・バレエ団にシェアした。バレエ団の芸術監督のベンジャミン・スターリング・キャノンとクリストファー・デイビスから1年間の奨学金が受けられると言われた。いまはバレエ団のバレエスクールで木、金、土、日にレッスンを受けてる。忙しいよ! 送り迎えもバレエスクールがしてくれるんだ。

バレエスクールの女の子たちにからかわれるかなと思ってたけど、そんなことなかった。初めてレッスンに行ってみたら、よかった! 生徒は僕のほかに男の子2人と女の子5人。でも先生が男の人だとは知らなかった。女の先生に教わるんだと思ってたんだ。だけど側転なら僕のほうがクリストファー先生よりたくさんできる。何回もできる。

膝を少し曲げるドゥミ・プリエを教わって、踊ってたらベンジャミン先生が素晴らしいドゥミ・プリエだ、って。踊り終わったら女の子たちが拍手していた。でも僕はやっぱりフリップが好き。

ウィルミントン・バレエ団が上演する『くるみ割り人形』に僕も出るんだ。もう1カ月くらい練習してきた。ママは僕のことが自慢だって。ちゃんと練習してるから。家族全員が見に来る。ママは毎晩通うって言ってた。

公演が終わったら、爪先で立てるようになりたい。ほかのダンサーはすごく上手で、かっこよく見えるから。

大きくなったらアーティストとバレエダンサーと獣医になりたい。それからコントーショニスト(軟体芸人)と体操選手になりたい。もっとうまくなったら『アメリカズ・ゴット・タレント』に出たい。ソフィー・ドッシみたいに。彼女に僕のパフォーマンスも見せたい。壁がきらきらのバレエスタジオでなら完璧だ。

ダンスの動きを友達にも教えたけど、みんなうまくできなくて。僕と同じダンススクールに通うかもって子もいた。あなたがいい刺激になってるのよって、ママは喜んでる。

ドアが次々と僕のために開いて、ママとポップポップは今度の舞台に大喜びしてる。ママが言ってた。いいことずくめで最高ね、って。


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text: Lamar Marshall

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