伝説のシャンパーニュ醸造家が手がけた日本酒の新酒は、どんな味?
Lifestyle 2022.06.24
日本酒ブランド「IWA」は、あのドン ペリニヨンで28年にわたり5代目醸造最高責任者としてメゾンを率いたリシャール・ジョフロワが創立したブランド。2020年より、ジョフロワがこよなく愛する富山の地で、伝統的かつ革新的な醸造技法を用いてつくられている。今年、ブランド創立から3年目を迎え、さらに鮮烈で深い体験へと誘う「IWA 5 アッサンブラージュ 3」を発売。
IWAのすっきりとした美しいボトルデザインを手がけたのは、世界的なプロダクトデザイナーのマーク・ニューソン。日本酒「IWA 5 アッサンブラージュ 3」720ml ¥14,300 Photography : JONAS MARGUET
IWAの個性は、日本酒にとって画期的な手法といえる、ジョフロワの卓越したアッサンブラージュ技術(複数の原酒を組み合わせるワイン・シャンパーニュの伝統的な技法)によって生み出される。それは豊かな創造性のもと、あらゆる可能性を追求し、完璧なバランスを目指し続けることにほかならない。そのため、アッサンブラージュは毎年違った表情を見せ、その魅惑に満ちた変容にこそIWAの精神が宿っているのだ。
「アッサンブラージュ 3は、世界的に混乱が続くこの状況下において、フランスに原酒を運び、つくり上げた2度目のアッサンブラージュです。IWA 5のプロジェクトは、実験的な工程を繰り返し、進化を続けています。非常に繊細で絶妙なバランスの上に、アッサンブラージュ 1と2からの教訓を活かしながら、“遊び”のエッセンスを加えました。この存在感と無重力のパラドックスとも言えるバランスこそが、私の創作活動の喜びです」とジョフロワは語る。
富山県立山町白岩に昨年完成した酒蔵は、リシャール・ジョフロワと親交のある建築家・隈研吾が設計。Photography : NAO TSUDA
「IWA 5 アッサンブラージュ 3」のトップノートは、輝きや植物のアロマを感じさせ、フルーティというよりはフローラルな感覚。しばらくすると香りのトーンが落ち着き、深く複雑な味わいへと導かれる。またIWA 5のアロマの特徴であるホワイトペッパーをはっきりと感じることができ、繊細なバランスと調和も。また軽やかさの中に力強さがあり、全ての感覚がなめらかに調和する。緻密で深みがあり、口当たりのよい余韻は、日本酒ファンにとっても記憶に残る新たな体験となるはず。
酒蔵内での酒づくりの様子。Photography : NAO TSUDA
伝説のシャンパーニュメゾン、ドン ペリニヨンの5代目醸造最高責任者を28年間務めたリシャール・ジョフロワ。何度も訪れるうちに日本に魅せられ、世界に向けた真の日本酒づくりという新たな挑戦に挑むことを決意。長年の友人である隈研吾からこのプロジェクトの鍵となる人物である桝田酒造店の蔵元、桝田隆一郎を紹介されたのが、富山に酒蔵を構えるきっかけとなった。長い日本酒に新たな変革をもたらしている。Photography : MARION BERRIN
text: Natsuko Kadokura