そこは自分のための小さな美術館 女性作家の作品を中心に。共感を大切に。
Lifestyle 2022.10.08
同時代の女性作家の作品に囲まれていると元気が出てくる……家に在るアートとは、そんなふうに住まう人に影響してくるものだ。前田ひさえの、作品との出合い方とは?
前田ひさえ イラストレーター
部屋の奥で目を引く、恵比寿のニーディギャラリーで購入した菅祐子の花のオブジェと鈴木いづみの絵。
ピンク色がちりばめられた部屋に、同じように柔らかな空気を纏った作品たち。実は最近引っ越したばかり。そのため作品の“定位置”はまだ模索中というが「自分にないものを持っている、そんな同年代の女性作家の作品が多いですね。日々めげそうな時に、元気が湧いてくるものばかり。好きな絵が部屋にあるだけで生活が変わります」
本がたくさん並べられた棚には佐藤紀子のイラスト。
キッチンの壁にも同様に佐藤紀子作品を。その奥には、同じくユニットを組んでいる野川かさねの写真を飾っている。
部屋の中央に飾られているのは、女性の刺繍が施された布を額装したもの。「もとは小田原亜梨沙さんが制作されたTシャツだったんです。何度も着て、いよいよくたびれてしまった時に、モチーフを切り抜いて額装しました」
大のお気に入りだった小田原亜梨沙のTシャツを切り抜いて額装したもの。よく目に留まるダイニングテーブル横の壁に。
子ども部屋には、ユニットを一緒に組んでいる小林エリカのイラストが。友人のクリエイターとは作品を物々交換することもあるとか。
友人でもある小林エリカが、その場で娘の似顔絵を描いてプレゼントしてくれたもの。
では、ギャラリーで購入する際の決め手は? 「これは『私のために描かれた絵』だと感じる瞬間があって。決めるのは早いです。自分の作品は恥ずかしくて飾っていませんが、そんなふうに誰かに思ってもらえたらうれしいです」
海外からも注目を集めている今井麗のトーストの絵は、10年以上も前に購入した初期のもの。
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準備中
「額装しているTシャツを手がけた、小田原亜梨沙さんがディレクションするギャラリーです」。アーティストとしても活躍する小田原が、寿司店の跡地を活用してスタート。完成前のカオスを目撃できる特別な場所にするべく、「準備中」というユニークな名前を授けた。
Junbicyu
東京都目黒区鷹番3-4-24
tel:090-6126-4385
www.junbicyu.com
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ニーディ ギャラリー
オーナーの清水ありさが、アート留学中に出合った小規模ギャラリーにインスピレーションを得て立ち上げた。表現する人と受け取る人を繋ぐ、インディペンデントなギャラリー。イラストレーターの前田ひさえ(写真左)をはじめ、国内外のアーティストを紹介している。
Nidi Gallery
東京都渋谷区東2-27-14
ペガサスマンション恵比寿102号室
tel:03-6277-5579
https://nidigallery.com
*「フィガロジャポン」2022年9月号より抜粋
photography: Wataru Kakuta text: Rio Tomohiro