ウールの服は洗わなくていい? 専門家が解説。
Lifestyle 2023.12.29
ウールには天然の抗菌作用があり、洗濯機で洗う必要がないと言われている。Atelier Laines d'Europe(ヨーロッパ・ウール工房)協会のコーディネーター、マリー=テレーズ・ショパンによる最新情報をお届けしよう。
ウールの服を洗う必要はあるのだろうか?マリー=テレーズ・ショパンが説明する。photography: Edward Berthelot / Getty Images
冬のクローゼットの中で、最も重宝されるアイテムのひとつがウールのニットだ。羊毛から作られる動物性繊維であるウールには、自己洗浄の特性があるらしい。その効果をもたらすのはラノリンだ。ラノリンは、ウールに含まれているスイント(羊毛に含まれる水溶性の脂質)を精製することで得られる天然油脂で、抗菌剤を含んでおり、編み物内で細菌の増殖を防ぐ。すると、ウールのニットはつねに清潔なままなのだろうか? この質問に対しては、Atelier Laines d'Europe(ヨーロッパ・ウール工房)協会のコーディネーター、マリー=テレーズ・ショパンが指摘するように、いくつかの基準を考慮する必要がある。
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ますます希少になっているラノリン
「羊には汗と脂肪を分泌する腺があります。羊毛繊維を包む脂肪層はラノリンで、羊を保護しています。しかし、ニットになる前に、ウールは工場でラノリンを完全に取り除く洗浄工程を経ることになります。ラノリンを抽出する大規模な工場では、製品は精製され、ラノリンは残りません」とマリー=テレーズ・ショパンは説明する。よって、スーパーマーケットやブティックでウールニットを購入しても、ラノリンは全く含まれない。古着屋で売られている洋服も同様だ。そのほとんどは大手小売店のものであり、加工の際に同様のプロセスを踏んでいる。
マリー=テレーズは、抗菌性のあるウールの衣類を購入するためには、「手作業で糸を紡いでいる職人の店に行くことをお勧めします」と語る。総括すると、ウール製の衣類は工場での処理後にラノリンを失い、自己洗浄効果はない。
昔ながらのレシピ
だからといって、ウールの服を頻繁に洗濯する必要はない。実際、ウール素材にはもうひとつの長所がある。専門家は、ウールの衣類を好きなだけ洗濯機で洗っても問題ないと認める一方、昔ながらの方法を使って洗うこともできると断言する。
「ウールには化学繊維にはない湿気を吸収する能力があります。昔はウールをベランダに干していました。夜中の湿気を吸収してくれるのです。朝になると、太陽の暖かさで衣服が乾き、ホコリを取り除いてくれます。ウールは呼吸しているのです」。これは特に素材が良質である場合により効果的に機能する。
text: Augustin Bougro (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi