年取るとお腹に肉がつきやすくなるのはなぜ?

Lifestyle 2024.02.20

年齢を重ねるにつれて、私たちの体形は変化していく。40代後半からお腹の肉が気になり始めるのはなぜなのか、専門家に聞いてみた。

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40代に入るとお腹の肉が気になりはじめるのはなぜ?photography : Klaus Vedfelt / Getty Images

加齢に伴う体の変化はある程度予想がつくし、誰もがいつかは起きるだろうと思っている。シワや白髪が出てきて肌や体のハリを失い、酒も弱くなる。週明けの夜更かしもツラい。ところが予想外のことまで起きて愕然とする。いつの間にかお腹まわりがぽってりしているではないか。食生活はこれまでと同じなのに一体どうしてなのだろう。

生理的な変化

体の変化は実のところ、30代の頃から起きている。30歳をピークに、女性も男性も体が衰えはじめるのだ。これは運動量が減ることによる影響もある。具体的には筋肉量が減少していく。

体型変化は50歳前後から、とりわけお腹周りで顕著になる。女性の場合は単純に生理的な理由がある。更年期に伴うホルモンの影響、特にエストロゲンが分泌されなくなることでお腹に肉がつきやすくなるのだ。エストロゲンが働いている間は主に太ももやお尻等の皮膚の下に脂肪がたまりやすくなり、いわゆる「皮下脂肪型」と呼ばれる脂肪分布となる。「閉経すると、卵巣からエストロゲンとプロゲステロンが分泌されなくなり、残るのは男性ホルモンとも呼ばれるアンドロゲンしかない」と言うのはマルティーヌ・デュクロ。仏クレルモンフェラン大学病院のスポーツ医学部長であり、ONAPSという、運動が健康に重要であることを広める団体の会長でもある。「すると脂肪分布も『内臓脂肪型』になる。皮下脂肪ではなく腹筋の内側に脂肪がつくようになり、肝臓や膵臓、心臓の周囲にもつく」

この現象は避けられないものだ。閉経の前後(フランスでは53歳が閉経の平均年齢)ぐらいから現れる。閉経前から起きることもあり、たった1年で体型が変わってしまうこともあれば、5年、7年かかってジワジワと変わる場合もある。「ただし更年期前からずっと運動を継続している女性は、脂肪のつきぐあいが比較的少ないことがわかっている。まさに運動効果だ」とマルティーヌ・デュクロは言う。

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運動、食事、睡眠

喜ばしいニュースもある。それは脂肪が燃焼するとき、この部位の脂肪から落ちていくことだ。内臓脂肪は、脂肪が本来つくべきではない部位についている点で健康に悪い。「内臓脂肪は炎症を起こし、心血管疾患や2型糖尿病の発症リスクを高める」とマルティーヌ・デュクロは指摘する。

どんな運動でも効果があるが、全身の筋力強化と持久力向上ができれば理想的だ。スポーツトレーナーのリュシル・ウッドワードは少なくとも週に2回、定期的に有酸素運動をおこなうことを推奨する。スピードダッシュとジョギングやサイクリングを組み合わせたインターバル走がいいだろう。並行して腹筋トレーニングもおこなおう。ケトルベル(ダンベル)運動やプランクやシザース、懸垂などで深層筋と表層筋を鍛える。

当然のことながら、脂肪太りを防ぐには健康的でバランスの取れた食事が不可欠だ。栄養士のコリンヌ・シシュポルティシュ=アヤシュは、空腹を我慢せずに摂取カロリーを抑える食事を勧めている。具体的には、キヌア、豆類(ひよこ豆、レンズ豆など)、全粒粉のパスタ、米、野菜、その他低糖質低GI値のでんぷん質食品を多く摂る食事がいい。

閉経に伴う脂肪の増加を抑えるには質の良い睡眠も欠かせない。マルティーヌ・デュクロによれば「30分か1時間、睡眠が足りないだけでも空腹感が増大し、インスリン抵抗性が高まる。するとインスリンがより多く分泌されることになり、脂肪がつきやすくなってしまい、代謝障害も促進されてしまう」そうだ。

text : Ophélie Ostermann (madame.lefigaro.fr)

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